毎週金曜日の『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、おたより復活デーと題し、過去に読みきれなかったメッセージを紹介しています。
8/11は夏らしいメッセージを次々と紹介していきました。今回はその抜粋です。
大流血なのに、全然違う場所の血を吸う蚊の気持ちは?
痒くなるから蚊が嫌い
「僕は虫が大嫌いなんです。建築職人をしてる僕にとって、一番嫌いな虫は蚊です。血を吸われた後に痒くならなければ、いくらでも血を吸ってくれて構わないんですが、痒くなるのでムカつきます」(Aさん)
このおたよりに対し、つボイノリオはこう語ります。
「これは、ある和尚さんも言ってました。『よければ俺の血を吸え』。お互いに生きているんだからと。昔の話ですから、蚊が病原菌を運ぶとか、そういう知識がないんでしょうけども、この方の言うように、痒くなければ、そして病原菌を運ばなければ『ちょっとぐらい、吸わせたってもいいぞ』という気持ちにはなりますよね」
なぜ直接血を吸わないのか?
Aさんのおたよりは、さらに続きます。
「建築職人の僕が使うカッターは切れ味が鋭く、皮膚を少し切っただけでも、痛くないんですけども、ブワーっと血が出ます。そのカッターでこないだ作業していたら、指を切ってしまいました。
しまったと思いながら、ブワーっとあふれ出てくる血を見ていたら、今度は別のところで、蚊が腕に止まってチューチュー血を吸ってるんです。とにかくパーンと叩いて殺してやりました」
「おいお前、こっちのブワーっと出とる方を吸えや。なんで、こっからわざわざそっちに吸いに行く?」と、つボイがAさんの気持ちを代弁。
小高直子は「蚊にとっては、刺して吸うのが気持ちいいのかもしれない」と、こちらは蚊の気持ちを代弁。
つボイ「それとも、やっぱり蚊に言わせてみれば、あの身体の中の、新鮮な血を吸うのが生き甲斐であって、いっぺん空気に触れてしまった新鮮味のないそんな血は、血ではないと」
小高「でも出てきたばっかだよ?蚊にとっては、湧き出る養老の滝みたいなもんでしょ?」
そこで実体験を基に、つボイがファイナルアンサー。
「血の中には血小板というのがあって、空気にいったん触れると、固まろうとしますでしょ。身体の中では血は固まろうとしません。固まってしまったら私のように心筋梗塞になります」
(正確には、血小板は空気に触れて固まるのではありません)
「そんな固くなり始めた血は吸えーへんわさ、とか言って、どんなに血が出ていようと、こっちの方を吸ってるわけですよ」
歳をとると、文学は読むより聴く?
「昨日つボイさんから紹介があった、泉鏡花の『外科室』を早速買ってきました。購入したのは岩波文庫ですが、字が小さいので目が疲れそうです」(Bさん)。
読書が好きな方も、年齢が重なってくると、目がショボショボして読むのが辛くなる時がありませんか?そんなつボイが、最近とった方法がこちら。
「最近は文学作品の朗読サイトがあるんです。これで耳から知ることができます。本当は、自分で読んで、心の中で作者の声やら風景を再現するのが、読書の楽しみであります」
どんなに上手い朗読の方でも、その人の声で表わされると、ちょっと自分のイメージと違うと思ってしまうところ。
ではなぜ、つボイが、朗読サイトまで使って文学に触れようと思ったのでしょう?
『人間失格』を聴いてわかったこと
「例えば太宰(治)でも何でも、どんだけでも喋れますよ。でも『走れメロス』しか読んでない。『これで、よう俺喋っとるなあ』と自分でも思う。これではやがて化けの皮が剥がれる、と思ったんです」
先日、その朗読サイトで『人間失格』を全て聴いたというつボイ、こんな発見があったそうです。
「レギンスという言葉が、この中にバンバン出てくる。レギンスが流行った時に、新しいファッション用語かなと思いましたが『人間失格』の中に出て来てます」
そしてこんな会話も。
「電気ブランが『人間失格』の中で出てきた。これは西尾市、当時の一色出身の神谷伝兵衛。あの方が東京の浅草に作った"神谷バー"で、今でも飲める」
「電気」は当時の流行語
神谷伝兵衛は、現在の名古屋鉄道の前身のひとつ、三河鉄道の経営に参画した実業家で、後に同社の社長にも就任しています。
地元では名士として親しまれ、没後には彼の故郷にできた駅に「神谷」(後に「松木島」に改称)と名付けられたほどでした。
その神谷が開いた「神谷バー」は、1880年(明治13年)に日本初のバーとして浅草にオープンし、137年経った現在も営業を続けています。
「この辺で言うと、明治村の帝国ホテルの辺りでしたかね、僕らが行った時は電気ブランが飲めました。日本で最初のカクテルです」
街灯がガスから電気になった当時、「電気」というだけで新しさがあり、そのため「電気○○」と命名するのが流行していました。
その時代に作った、当時最新のカクテルが「電気ブラン」なのです。
もっともらしく言うつボイに「朗読サイトで聴いたんだね」と小高。
「だから私がこれから喋る文学の話は、たぶん読んでない。聴いた話が多い」
前もって宣言するつボイでした。
(尾関)
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