つボイノリオがあの永六輔さんだったらどう答えるんだろう、と考察していく「つボイノリオの誰かとどこまで」。
第915回の6/2は5月下旬に届いたこんなおたよりからスタートしました。
「昨年スーパーで二人用のそうめんを買って、そうめん流し器で流してたら、初めはスムーズに流れてたのですが、モーターがウィーン、ウィーンと苦しげな音を立てて、そのうち動かなくなって壊れました」(Aさん)
人にとって「鏡」とは?つボイノリオ、実体験を語る
鏡にまつわるエピソード
つボイが「この方は、ひとりそうめん流しですが、最近ひとりカラオケとかひとり焼き肉とか流行ってますよね」とひとりでの食事について切り出します。
「名古屋大学の研究チームは、ひとりぼっちのわびしい食事を鏡を見ながらの食事をすれば、美味しさが増すという研究結果をアメリカの科学誌で発表しました。実験では、高齢者も大学生も鏡を見ながら食べた方が美味しく感じて、食べる量も5%から13%も増えたらしいです。鏡でなくても、人が食事をしている写真や、食事シーンの映像でも同様の効果が得られる可能性があるかもしれません。確かに食欲だけでなく、人が合体してる画像や映像を見ると性欲は増すしますよね」(Bさん)
最後の一文はあまり美味しさが増すこと繋がりはないようですが、このおたよりにある「鏡」との繋がりで、次のメッセージを紹介するつボイ。
鏡を見ない方が良いこともある
「昨日の中日新聞北勢版に末期がん患者に安らかな生活を、ということで、みたき総合病院が四日市初の緩和ケア病棟なごみを開設するとの記事がありました。顔や体の変化を見たくない人のために洗面台では鏡を覆うスクリーンがついているとのこと。先日、小林麻央さんのブログで『痩せる』のタイトルで、着替えの時に裸で鏡の前に立ったら、恐れていた姿に衝撃を受けて泣いてしまった。心を落ち着かせてこどもたちの写真・動画を沢山見てご飯を食べたら、看護師さんに褒めてもらいました。精神力までやせ細ってないです。と、切ないブログが書いてありました」(Cさん)
病気によって変化した自分の姿を見せないようにすることで、患者に少しでも安らかに過ごしてほしいという病院の試みについてです。
「ああ、なるほどなあと思いましたね。鏡にはいろんな作用、使い方もあるもんだなあと思いました」と語るつボイ、自分の体験を語り始めます。
原因不明の痩身にショック
「がんの人も含めて病気の人は、いろいろなとこで落ち込んだり、感じたりするんです。
いま体重70キロの私が、最悪49キロまで落ちたことがありました。どこの医者行っても、なんでこんなに痩せたのかわからへんと言う。20代の頃の話です。
公園のベンチに座った時に、坐骨と公園のベンチがコツンと当たり、何とも寂しい気分になりました。
お風呂で使う椅子がありますよね。お風呂に入って健康でふっと座ってた時と、コツンと座る時とでは全然気分が違います。『はあ、こんなにもまた痩せたか』と、ものすごいショックを受けたことがあります」
しみじみ語るつボイ。
もちろんありのままの自分に対面する勇気を持つ人もいるでしょう。しかし、いざ様々な病状を感じると落ち込んでいくという方も多いはず。
今回の緩和ケア病棟にある鏡のスクリーンも、そうした配慮から考えられたのでしょう。
鏡で共有の疑似体験
一方で、小高直子は鏡がもたらすプラスの効果についても語ります。
「ご飯を食べる時に、鏡に映る自分を見たら食欲が増すというおたよりがありましたけど、これ本当は相手がいるっていう疑似体験ですよね。何かを共有することによって元気が出るとか癒される効果があると類推できますね。
小林麻央さんもブログで発信することによって、同じような境遇の方やそうじゃない人からも話が聞けて元気出る、というよなコメントもあるみたいで。共有することは、すごく身体に良いことなんだとわかりますよね」
ポジティブに働くこともあれば、残酷な現実を映し出すこともある鏡。
いまのあなたにとっての「鏡」は、どちらに作用していますか?
(尾関)
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