●教えてドクター |
名古屋大学医学部付属病院 神経内科 教授
勝野雅央 先生
神経内科学では(現在病院では脳神経内科という科の名前で診療することが多いのですが)、脳や神経の病気の診療を専門としています。脳は体の動きをコントロールしたり、物事を考えたり、私たちの日常の活動を全て制御しています。脳が障害されますと、脳や手足の神経や筋肉などに異常が出てきます。そういった病気を診療しています。体を動かしたり、ものを考えたりすることは私たちが生きていく上で必要不可欠なことですし、人間らしい生活をするためにも必要なことです。脳に関する具体的な病名を申し上げますと、まず患者さんの数が一番多い「認知症」があります。アルツハイマー病やレビー症体型認知症など様々な種類がありまして、認知症は代表的な脳の疾患の一つです。それから脳の疾患の中で次に患者数が多いのが「脳卒中」(特に脳梗塞)です。こちらも私たちが診療で非常に多く遭遇する疾患です。脳卒中というのは脳の血管が切れたり詰まったりして、急に症状が出る病気です。脳卒中の中で脳梗塞というのは血管が詰まる病気です。脳梗塞は急激に症状が出て、重症の場合は意識がなくなったり、体が全く動かせなくなったりします。そういった場合は救急外来を通じて緊急に対処しております。その他、皆さんがよく耳にされる病気としててんかんという疾患があります。てんかんというとお子さんの病気というイメージが強いかもしれませんが、最近ご高齢の方に非常に多い病気であるということがわかってきました。ですので私たちはてんかんの患者さんもたくさん診療しております。その他の疾患として脳や神経や骨格筋が障害されるような難病と呼ばれるものがあります。代表的なものでは「筋ジストロフィー」や「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」などがあります。こういった難病も私たちの専門分野になります。症状として一番患者数が多いのは頭痛(特に片頭痛)で、800万人位の患者さんがいると言われています。頭痛の中には、くも膜下出血のように1分1秒を争うような緊急の疾患もありますし、緊急性はないけれど毎日のように頭痛に苦しめられることで、生活に大きく影響が出る片頭痛のような疾患もあります。重要なことはいつもと違う頭痛が起こった場合に、何か緊急性がある病気が隠れている可能性があるのではないかと考え、素早く病院にかかっていただくことです。