健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年5月3日

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●教えてドクター 
★5月のテーマ「健康寿命」

名古屋大学医学部 老年科学講座 教授
葛谷雅文 先生

日本をはじめ世界各国で長生きする方が増えました。しかし単に長生きするだけでなく、元気な状態で長生きするということを高齢者自身も望むようになってきました。社会からも「高齢者が多くなることは決して悪いことではないが元気な高齢者を増やしたい。」という要請があります。そういった意味では単なる平均寿命の延伸だけでなく、元気で自立した期間である健康寿命をいかに伸ばすかということが、日本を含め世界中で重要になってきました。平均寿命と健康寿命との格差は、男性では8年程ですが女性では12年程です。これには女性の方が長生きするという要因も含まれています。健康寿命の定義には様々なものがありますが、一般的には「人に頼らず自立した期間」を言います。日本には介護保険制度がありますので、日本の制度に当てはめて考えますと、「要介護認定を受けていない期間」と言い換えることができます。
 
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
中川 絵里子 さん(認知症の人と家族の会 三重県支部 代表)

●特に力を入れていること
「公益社団法人 認知症の人と家族の会」という当事者団体でボランティアとして活動しています。本部は京都にあり47都道府県全てに支部があります。約40年前から認知症について集い・相談・会報の3つを中心に取り組んでいます。集いについては「認知症カフェ」の例がわかりやすいでしょうか?「認知症カフェ」とは認知症に関わる者同士が情報交換をしたり、コーヒーやお茶をいただきながらホッと一息ついたりする場所です。相談としましては、行政の委託先や認知症の人と家族の会の支部などにより、電話相談がどの町でも受けられるようになっています。電話相談では家族や自分が認知症かもしれない、または認知症と診断された、そういった場合に「この先どうしたらいいのか?」、「どこに相談に行けばいいのか?」といった不安や、誰にも話せない気持ちを話すことができます。会報では認知症に関する制度や介護サービスの情報、専門家や介護の先輩、認知症当事者のメッセージを読むことができます。どこで認知症の集いや認知症カフェが行われているか、といった情報も掲載されています。ホームページもあるのでご覧下さい。

●心に残るエピソード
私は家族が認知症かもしれないと思った時、病院で診察を受けて薬を飲んだらそれで済むと思っていました。認知症になっても仕事や車の運転は続けられると思っていました。ところが道を間違えたり頼んだ事をしてもらえなかったり、コンビニから電話で「今日は何を買うの?」と聞かれたりするようになりました。自分の買い物なのに人に聞くなんて変ですよね。そこでおかしいと思い、地域の行政の高齢福祉課という窓口へ相談に行くと、「家族の会の集いや認知症カフェへ一緒に行ってみませんか?」と連れて行っていただきました。また障害年金や医療費の減免制度などについても知ることができ、その手続き方法を教えていただきました。すると不思議なことに見通しの立たなかった先の不安が一気に無くなり、知り合うはずのなかった方々と知り合うことができ、繋がり合って、支え合い、助け合うことで安心感が得られました。

●今後の課題 
これらの認知症に関する情報は、お住まいの地域の地域包括支援センターに行かれると得ることができます。しかし「住まいの近くの包括支援センターには絶対に行きたくない。」とおっしゃる方がまだまだ多いのが現状です。それは家族や自分が認知症だと知られたくないという思いがあるからです。それでもこれから先何年もずっと認知症という症状と関わり続けなければなりません。その時々で症状も違ってきますし、認知症当事者の家族も疲れてしまうことがあると思います。そこでお住まいから遠い地区で電話相談を受けたり、認知症カフェに参加したりするのも良いと思います。最近はインターネットを利用したオンラインカフェもできてきました。参加しやすい所を見つけて、ニックネームを使用しても良いので継続して楽しんで利用していただきたいと思っています。

 
 

 
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