●教えてドクター |
愛知医科大学 医学教育センター長/愛知医科大学メディカルクリニック総合診療科
伴 信太郎 教授
慢慢性疲労症候群の診断に当てはまる症状は、まず期間の長さです。激しい運動や今までにない活動をした時に、2、3日疲れて活動できないのは誰しも経験することです。ところがその状態が長引いて6ヵ月以上続くことが診断の必要条件とされています。症状としては疲労感や倦怠感以外に、十分に寝た気がしないという症状があります。これは時間の問題ではなく、夜寝て普通の人は「ようやく疲れが快復したな。」と感じるのですが、その回復感が無いという症状です。それから頭に霞がかかったようで頭が働かないという症状があります。その他にも、立ち眩みや動悸等の起立性調節障害と呼ばれる症状もあります。こういった症状がそろって6ヵ月以上続いているということが診断基準になっています。こういった場合、まずはかかりつけ医の先生に相談することになります。そのかかりつけ医の先生への相談で10人に1人程、血液検査やレントゲン写真や心電図により、「おかしいな」ということで何らかの病気と診断がつく場合があります。そこで診断がつかない場合に、気分が落ち込んでいるということで「うつ病ではないか?」ということで精神科や診療内科に紹介されるというのがよくあるパターンです。慢性疲労症候群は免疫のバランスが少し狂うことでおこる頭の中の神経炎症と言われています。体の病気と考えていても、精神科の先生の所へ行くと、うつ状態という診断になって、治療期間が長引いてしまいます。そこで「やはりおかしい」ということで慢性疲労症候群の診療を専門としている施設にご紹介いただくと治療が1歩前進すると思います。