昨今、少子高齢化で中小企業・小規模事業者の後継者難が大きな経営課題の一つとなっています。「人生100年時代」の今だからこそ、元気なうちに資産管理やスムーズな承継について考えていく必要性が高まっているのです。
CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。
11月26日の放送では「住宅資金贈与」について、北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラスト不動産 中部情報営業部 柴田軒吾さんに伺いました。
悩ましい住宅の相続
今回は、「住宅資金贈与」に関する事例についてです。
国税庁のホームページには次の通り記載があります。
「令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります」
北野「不動産として遺すか、売却して資金にして贈与するか、というお話が以前このコーナーでありましたよね。相続を受ける側のこどもの数や状況によっても、考え方が変わってくるんじゃないですか?」
柴田「そうですね。お子様が二人以上いらっしゃる場合は、不動産をどのように相続させるのか、意見が分かれることもあります」
ちなみに、一つの大きな不動産しかない場合は共有名義ということになるケースも多いのですが、その場合は、権利関係が複雑になり売却して分けるケースが大半となります。理由は、いったん相続で共有名義にした場合、その後状況の変化で共有名義人の一部が売却したい等で、揉めるケースも少なくないからです。
揉めないように不動産を追加購入するケースも
もし、共有にすると後々大変になることが多いと聞きますが、その辺りはどうなんでしょうか?
柴田「例えば、大きな不動産と小さな不動産と1つずつしかない場合は公平に分けられないため、現金で補填することもありますが、前もって分けやすいように不動産を整理したり、 もう一つ取得したりされる方もお見えになります」
北野「バランスをとるためにもうひとつ取得? すごいですね」
ちなみにこどもの数が多い場合、注意しておくべき点として、相続税も大切ですが、どのように残し、分け与えていくか将来、揉めごとを起こさないよう残される古怒田地等のために本人がしっかりと道筋をつけてあげる必要があるとのこと。
話し合いが何よりの鍵に
北野「やはり『話し合い』が重要になりますよね?」
相続や贈与は、単なる遺産の分配という側面だけではなく遺した方の"想い"の部分も大きいため、事前の準備や根回し・家族でしっかり話し合うことが大切です。三井住友トラスト不動産では、その"橋渡し"をする役割も担っているといいます。
では、住宅の贈与に関して知っておくべき点や注意点は何かあるのでしょうか。
柴田「注意点というよりもメリットかと思います。通常、贈与を受けてから7年以内に贈与者が亡くなった場合にはその贈与分は、相続財産として加算される、というルールがありますが、この住宅取得資金の贈与で非課税になった資金については相続財産への加算は無いという特徴があります。うまく活用していくと良いですね」
ただ、法的知識がない一般の方には相続や贈与は分かりにくいもの。元気なうちに専門家に相談し、早めに準備と情報収集・話し合いをすることが大事です。心当たりのある方は、ぜひ一度連絡して欲しいと北野が呼びかけました。
(葉月智世)
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2025年11月26日14時48分~抜粋