北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

社長1人社員1人の会社が事業承継する深刻な問題

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。
そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。

12月25日の放送では北陸の給排水工事会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 経営承継支援 はじめ部長の藤原秀人に伺いました。

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社長含めて2名の会社の承継

今回藤原さんが紹介するのは、北陸の給排水工事を行っている会社の事例。どのような会社だったのでしょう?

藤原「年商は1億円ほどで、売上は毎年微増している状況でした。従業員は社長を含め2名の会社さんでしたが、50年を超える実績を持つ会社でした」

2名の会社が、どうしてM&Aを選択したのでしょうか?

理由のひとつは後継者がいなかったこと。
もうひとつは、60代半ばの社長が体調不良で、仕事へのモチベーションが下がっていること。
とはいえ、会社の経営状況は良かったそうです。

藤原「売り上げも以前より回復傾向で、(社長が)譲渡のタイミングに悩んでいたところ、業績が安定して‬いる状況でないと譲渡することが難しい、ということを知り『今だ』と決断しました」

地方工事現場の深刻な事情

買い手はすぐに見つかったのでしょうか?

藤原「当初は従業員さんが2名なので、なかなかお相手が見つからず1年が経過」

そんな中、藤原さんは社長に「同じエリアでの知り合いとか取引先で、うまく同業で引き継いでくれるとこがないか?」尋ねたところ、同じ北陸で知り合いの同業者が手を挙げたそうです。

藤原「年商は10億円ほどで、従業員さんは20名ほどでした」

北野は買い手会社が、なぜ社員2名の会社のM&Aに挙手したのかが気になるようです。

藤原「買い手さんとしては、売り手の社長さんの『技術』を評価しており、逆に他社に譲り受けられると、取引がなくなり事業に支障をきたすのでは、と心配して自社で引継いだ」

北野「社長の技術もすごいってことだね」

藤原「それとやはり、地方の工事業は人手不足で技術不足」

藤原さんは、地方では全般的に人手や技術不足が進んでいて、‬‬‬社長1人の技術も非常に貴重な存‬在なのだと危惧しました。

簡単には承継できない理由

北野「となると、売り手の社長さんはお仕事辞められませんね (笑)」

藤原「そうなんです(笑)。買い手さんも売り手の社長さん辞められると事業も立ち行かないと、最低2年間は会社に残ってほしいと要望しました」

北野「あなたの持っている技術を皆に教えてほしいと?」

藤原「体調悪くても残ってほしいと」

話し合いの上、売り手社長は「2年間は残るから、その間に従業員を採用して」など、いろいろな条件を整えて合意をしたそうです。

藤原「なので買い手さんは、2年間で売り手社長の技術を継承し体制を整えていった」

藤原さんは、この事例のように技術が社長に依存している場合などは、すぐに退任できない場合があるので‬注意が必要だと言います。北野も「オレの腕を残したい」など心当たりのある社長は早めに検討してほしいと同意しました。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年12月25日14時50分~抜粋

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