北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

事業承継の問題。売れない包装機械の会社をどう評価する?

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。

8月21日の放送では、野菜の包装パッケージを製造している会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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買い手が見つからないニッチな商品

今回藤原さんが紹介したのは、北関東で野菜の包装パッケージを製造している会社の事例です。

藤原「年商2億円くらいで従業員は15名ほどでした。一定の利益も出ていました」

利益も出ているのになぜM&Aをしたのでしょう?

藤原「M&Aの理由でも多い、後継者不足です」

北野「ニッチな商品でしょう?年商2億円あったのもニッチがゆえに安定していたのでは?」

この梱包資材はこの会社しか取り扱っていなかったそうで、「安定していた」と藤原さんは同意します。
独自のマーケットを持つこの会社、買い手はすぐに見つかりそうなのですが…

藤原「なかなか見つからなかった。技術は高い会社だったのですが、特定の野菜のみを取り扱っていることがネックに」

北野「どれくらい(会社に)持ちこんでいったの?」

藤原「20社ほどに持ち込んだのですが、地理的にも、商材的にも成長が描きづらいとのことで、みつかりませんでした」

北野も「そりゃニッチな商品だからそうなるわな」と納得。

M&A は細かい1つ1つの交渉が大事!

そんな中、ようやく同業である年商60億円の「包装・パッケージ資材」の会社が興味を持ったそうです。

この会社には「M&Aで年商100億円まで成長させる」というビジョンがあったそうです。
飲料メーカーなどが取引先で、ペットボトルのラベルを作っていますが、今回野菜等のパッケージ資材のノウハウを得て市場を拡大する狙いがあったと藤原さん。

同業者同士ゆえにビジネス上の理解に問題はなく、その後M&Aは順調に進んだそうです。

藤原「ただ、売り手さんが、独自の1台数百万の包装機械を製造販売していたんですけど、この包装機械は1年以上売れていなかったんです」

買い手からすれば資産評価として「この機械は本当に売れるのか…」「評価は0円なんじゃないか」と買い取ることを渋っていたそうです。
一方で売り手は「いつか売れる」「あそこに現物があるんだから値段を付けろ」と主張したため、交渉には長い時間を要したそうです。

藤原さんによれば「最終的にはディスカウントする形で折り合いがついた」とのこと。

藤原「このようにひとつひとつの交渉がM&Aでは重要になります」

北野「大手がニッチな物を買い取ったら、知らない間に機械まで作っていたのって?」

売り手本位で「売れるぞってね」と笑って答える藤原さん。

成約後にクレームが?

M&Aの後はどうなったのでしょうか?

藤原「買い手さんとしては新たな領域を手に入れて、提案の幅も広がったということで100億に向けて順調に成長されている」

そして「余談なんですけど…」と前置きし、M&A成立から半年後、一度買い手さんの財務担当者からクレームがあったことを明かす藤原さん。

藤原「M&A成立後も売り手の社長さんがなかなか引退せず、頻繁に顔を出してくるので、なんとかしてほしいと(笑)。さすがに、半年後の話なので当事者で解決をお願いした」

北野「社長は心配だったのかな。M&Aの最中だけじゃなくて、成約後にもいろいろあるんだな(笑)」

「仕事がなくなって時間ができたのかもしれない」とフォローする藤原さんに「暇だったんやな(笑)」と北野。買い手会社の従業員たちはやりづらいとしつつも、責任のない立場で見ているのは楽しいと続けました。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年08月21日14時49分~抜粋

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