北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

設備の老朽化が致命的!倉庫会社社長の生き残り戦術

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。

7月10日の放送では、運送業と倉庫業を行っている会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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老朽化した設備を新しくしたい

今回藤原さんが紹介したのは、運送業と倉庫業を行っている会社の承継事例です。

藤原「年商3億円、資本金は1,000万円。従業員は30名ほど。倉庫が4拠点あり、車両も20台ある会社さん」

「中堅企業の規模だろう」という北野。経営も順調そうですが、なぜM&Aをしたのでしょうか?
「今回の事例は面白い」と前置きする藤原さん。

藤原「会社の設備の老朽化が進んでいるため、倉庫を新しくしたいという思いからM&Aを決断しました」

北野「老朽化でM&Aですか?そういう理由もあるんですね」

1億超の債務超過状態に倉庫の火災

こちらの会社の社長は1級建築士の資格を持ち、もともとゼネコンで働いていたサラリーマンだったそうです。

叔父である先代社⻑に声をかけられ入社したのですが、入社後、社長は亡くなってしまいました。
社長を引き継ぐことになり、決算書の精査をしたところ…、

藤原「実は借金だらけで、1億円を超える債務超過に陥っていたんです」

北野「叔父さんわかっていなかったんか、わかっていたんか…えらい引継ぎですよね」

その後15年間、社長は無我夢中で働き、債務超過を解消しました。
こうして財務が正常になった直後、今度はなんと…倉庫が火事に見舞われます。原因は古くなった空調設備の漏電。債務を解消するため仕事に追われて設備にお金をかけられなかったのですが、幸い保険が下りたそうです。

これを機に、社長はすべての倉庫を新しくしようと見積もりを取りました。

藤原「なんと66億円もかかることが発覚」

北野「倉庫高いわな」

当時、社長は50歳を過ぎていました。

藤原「これからまた6億の借金を負って働くのはキツイと」

これがM&Aを決断した理由だったのです。

売却後も社長を続けたい

売り手社長の意向は「この6億円を払える大手の傘下に入って、資金支援および引退せずに社⻑業を続ける」ということでした。

この条件を満たす買い手候補先が30社ありました。その中から最終的には、既存の取引先の大手運送会社さんが買い手となりました。

北野「もともと取引先の会社なら安心ですね」

藤原「長年の知り合い関係というのもあり、(M&Aの後も)会社の社長として、そのまま継続している」

買い手の大手運送会社は、M&Aによって手薄だった冷凍冷蔵倉庫事業の強化と、そのノウハウを得ることができました。

北野「ウチの中にない部門もあるということで。冷凍冷蔵の倉庫って、そりゃ6億くらい行きますわ」

倉庫の建て替えに「6億もかかるの?」と疑問を持っていた北野でしたが、冷凍冷蔵の機能があれば電気代も手間もかかるということで納得します。

「傘下に入って、社長を辞めずに仕事を続けられる。よかったですね」と安心した北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年07月10日14時48分~抜粋

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