北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

会社売却・事業継承は、妻の方が冷静に対処できる?

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

4月24日の放送では、関東にある介護事業デイサービスの承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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奥さんが社長代理に

今回藤原さんが紹介した承継事例は、関東でデイサービス事業を営んでいる会社。どのような会社なのでしょう?

藤原「M&Aの業界でも相談が多い介護事業のデイサービス。規模は、従業員さんは約10名で、年間の売上は5千万円ほどでした。代表は社長さんと、その奥様が取締役をされていました」

なぜこの会社はM&Aを選択したのでしょうか?

藤沢「社長がご病気になられて、代わりに奥さまが経営をされていたのですが、経営に不慣れのため、数千万の借金ができてしまった」

そんな営業損失が膨らむ状況で奥さまは対処方法がわからず、先行きが不安であったためM&Aを決断したのだと藤原さん。

北野「実際お話をすすめたのは奥さま?」

藤原「奥さまから電話が掛かってきて相談を受けた。対応したスタッフはその日の午後に駆けつけて打ち合わせをした」

夕方には病中であった社長も同席したのですが、当日に状態が悪化したため入院したそうです。残念ながら、社長はその1ヶ月後に亡くなられました。

プロの仕事は早い

「急ピッチでM&Aを進めなくてはいけない状況だった」と振り返る藤原さん。
買い手はすぐに見つかったのでしょうか?

藤原「初回の面談から2週間後に、買い手候補先が5社」

現地視察まで進んだ会社は3社で、そのうちの1社と交渉を進めることになりました。
買い手はどのような会社なのでしょう?

藤原「介護に知見のある会社」

北野「ないと難しいですよね」

介護福祉関連事業をしている会社で、売上は1億円未満。挙手した理由は、介護福祉関連の新たなサービスを展開したいと考えてたそうです。
M&Aは順調に進んだのでしょうか?

藤原「初回面談から約2か月後に、株式譲渡契約書を締結しました」

北野「早かったですね!」

ポイントは、弁護士や会計士などでも契約交渉はできるのですが、今回はM&Aに関する法務・会計・税務に精通しているチームに依頼したので、迅速に進めることができたそうです。

経営者の妻の冷静な目

北野「奥さまの気持ちになったら、会社は傾いているわ、旦那さんは亡くなるわで大変だったでしょうね」

藤原「奥さまも精神的に不安定な状況でしたが、買い手の人がとてもいい人で、それを踏まえて友好的に『すぐ進めるよ』と」

株式譲渡契約書を締結した時点で、買い手から代表者を立て二人代表の形を取り、手続きを進めていきました。結果、安心してM&Aを完了させることができました。

北野「奥さまが相談されるということは、まぁまぁあることなの?」

藤原「あります。実はこのラジオでも奥さまから連絡が来たケースもあったりするので」

藤原さんの所属している団体のセミナーなどの参加者でも、社長ではなく妻が参加することもあるといいます。

北野「旦那さんである社長が病気になったからなの?」

藤原「社長はやっぱり『俺の会社を売りたくない』となるので(笑)。奥さまが、そうは言っても『私の肩の荷おろしてよ』という理由で、こっそり行かれることも」

北野「ウチの番組でも、老後の考えたらぼちぼち手仕舞いを考えて、条件さえ合えばってなる?」

とはいえ「社長の方は元気なうちはやっていきたいと思う」と続ける藤原さん。
経理や総務の業務に携わっていることが多い妻の方が冷静に見ているということを知って「面白い」と北野。

藤原「いつまで総務させるんだってね(笑)」

「奥さまの冷静な目は大事」と納得する北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年04月24日14時44分~抜粋

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