北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

病気になると難しい?事業承継は健康なうちに

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

4月17日の放送では、愛知県にある自動車関連製造業の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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病中の買い手探しは難しい

今回藤原さんが紹介したのは、愛知県で自動車関連の製造業をしている会社。どんな企業なのでしょうか?

藤原「売上が50億から60億円ぐらいで、利益も毎年5~6億円出ている。財務的には超優良会社。事業も自動車製造業の中でも有望な分野をしている」

利益も毎年出ている優良会社が、なぜM&Aをするのでしょう?

藤原「現在の社長さんは2代目で、お父様から会社を引き継いで親族内承継をうまくいったと。しかし就任されて2年後ぐらいに病気が発覚したんです。

医者からもドクターストップがかかってしまいました。
「売り手が病気だとM&Aを進めるのは大変なのではないか」と懸念する北野に、「結構大変です」と藤原さん。

病中の買い手探しが大変な理由は何でしょう?

藤原「理由のひとつ目は『トップがご病気だと事業の引き継ぎがちゃんとできるのか』と入り口で見送りになるケースがある」

ふたつ目の理由は、M&Aは秘密裏に進めることが多いため、社長不在だとヒアリングや会社の資料収集に時間を要してしまうとのこと。

買い手の候補は全て「ファンド」

今回のケースで買い手の候補者はどのくらいあったのでしょうか?

藤原「最初の段階では154件。その中から買い手さんの責任者までつながったのが29件。最終的に面談まで進んだのは4社」

その4社は、どのような会社だったのでしょう?

藤原「4社とも自動車関連の企業ではなく、全部『ファンド』でした」

北野「ファンドってどういうのですか?」

藤原「中小企業のM&A業界で使う『ファンド』というのは、後継者がいない今回のような中小企業さんに投資する会社と覚えていただければ」

ファンドは売り手から譲り受けることを目的に、金融機関や投資家からお金を集めます。主に今回のように取引金額が数十億円を超えるような規模の話の時に登場します。

今回のケースでは、事業会社の買い手の中で、それだけのお金を出せる会社がいなかったので、結果的にファンドの会社に絞られたのです。

「乗っ取りではなく投資信託ですよね?」と確認する北野。

早めの準備が大切

その4つのファンド会社の中から1つが選ばれた基準は何だったのでしょう?

藤原「売り手の自動車製造業の社員も、あまりファンドについて詳しくなく不安になっていました。社員も納得するような、誰もが知ってる日系の大企業のファンドを選んで、社員も安心しました」

そして北野は、今回のことで「社長が病気だとM&Aは進めにくい」と気づきがあったようです。

藤沢「そうなんです。やはり買い手さん側が受ける印象も違う」

前述にもありましたが、引き継ぎの面でも頓挫しやすいといいます。

藤沢「いつ病気になるか予測するのは難しいかもしれませんが、もし今後M&Aを検討するのであれば、健康な状態の時にM&Aの会社とコンタクトだけしておくのも重要」

北野も「早め早めの準備が大切」と納得。M&Aの時は秘密裏に動くことが多いので「元気なうちに意思は伝えておいた方がいい」と促しました。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年04月17日14時48分~抜粋

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