北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

雑貨卸売業者の事業承継、勝機はデータと「勘」にあった

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

3月20日の放送では、愛知県にある雑貨卸売業が雑貨チェーン店をM&Aした事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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卸売会社が同業の小売店をM&A

今回藤原さんが紹介したのは、雑貨チェーン店のM&A事例。
売り手はどんな会社だったのでしょう?

藤原「もともとメガネの販売チェーンをしていた会社。メガネ以外にも進出しようということで、この方も雑貨チェーン店をM&A で買われたということなんですけど、1年後に経営がうまくいかずに、この雑貨チェーン店を譲渡すると決断」

その雑貨チェーン店は全国に約50店舗添加しており、年商は約20億円ほどでした。
一方、買い手の会社も愛知県で雑貨の卸売業をしている会社で、年商は約50億ほどです。

北野「50億の雑貨卸売業が、20億の雑貨小売店を買うわけですね」

買い手は雑貨の卸売業で、全国の雑貨小売店に商品を卸していたのですが、中国や東南アジアに実際に足を運んで商品を仕入れていたそうです。

勘が頼りの卸売業にとって魅力に感じたのは

なぜ、雑貨の卸売業さんが雑貨チェーン店をM&Aしたのでしょうか?

藤原「卸売というのは何が売れるかわからないので、バイヤーさんが現地に行って、これ流行りそうだぞという経験則…ほぼ『勘』で仕入れていました」

北野「でもその『勘』が当たっていたから年商50億になっていたんでしょう?」

この勘に頼った手法で成功していたのですが、社長が自社の精度をもっと上げていきたいと考えるようになったところ、たまたま今回の売り手である雑貨チェーン店のM&Aの話に出会ったそうです。

売り手のどの部分に魅力を感じたのでしょう?

藤原「全国に50店舗あるので、POSシステム(商品が販売された時点で、店舗名や時間、商品、価格、数量などのデータをリアルタイムで記録し集計するもの)を使っていたこと」

日々どんな商品がどんな人に売れているかなど、顧客の購買データを手に入れて把握することができるということに非常に魅力を感じたそうです。

北野「今どんなものが流行っているんだかとか、わかるんですもんね」

藤原「例えば花瓶1つにしても、今は丸みを帯びた花瓶がどこで売れている、なんていう細かいデータもすぐに把握することができた」

「そのデータは欲しくなる!」と同感の北野。
データを元に仕入れができるようになれば、今までのように勘に頼ることなく「もっと売上の機会を伸ばせるのではないか」と考え、今回のM&Aに至ったそうです。

データ取得システムの活用でチャンスを逃さない

「それにしても、勘で50億の利益はすごい!」と繰り返し感心する北野ですが、気になることがあるようで…、

北野「やはり勘だと当たらない商品もあったでしょう?」

藤原「そうなんですよ。やはり在庫を抱えてしまったりすることも。チャンスロスをして、本当は売れる商品も見逃すことも」

買い手の会社も売上があるとはいえ、いろいろ課題を抱えていたので、今回のデータ取得のシステムを活用するためのM&Aは会社にとっても面白いテーマだったのではないか、と藤原さん。「こういうパターンもあるんだね」と納得する北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年03月20日14時49分~抜粋

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