北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

新規参入者に荒らされたくない!取引先が市場を守るために承継

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

3月6日の放送では、関西で特殊な商材を扱っている会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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後継者がいない社員5名の会社

藤原さんが今回紹介したのは、関西で特殊な商材を扱われている食品卸売業の承継事例。今回はその前半です。
どのような会社だったのでしょう?

藤原「従業員は5名の小規模事業者さん、創業40年くらいの老舗の会社で年商は1億から2億円ほど」

M&Aをした理由はなんでしょう?

藤原「後継者がいないまま、社長さんが70歳を迎えられたので跡継ぎを探していた」

北野「息子さんはいなかったんですか?」

藤原「いらっしゃるのですが、東京の大手企業にお勤めになっていて。『帰って継ごう』と言っていたのですが、奥さんが関西に行きたくないと」

事務所を見せても奥様からの反対は変わらず断念したそうです。

珍しいM&Aのカタチ

この会社の社長が経営した期間は5年ほどと短かったそうです。
先代の社長はご主人でしたが亡くなったため、今まで経営など携わったことのない奥様が2代目の社長になったとのこと。

どのようなM&Aをしたのでしょうか?

藤原「最初は同業者など近隣の会社に声をかけていたのですが、特殊な商材のため相手を探すのに難航していた」

そんな中、長いお付き合いのある取引先の社長が手を挙げました。その同業の会社が譲り受けるカタチになりました。

藤原さんは、今回の事例は少し面白いところがあると話します。
まず、譲り受けた側は株を引き受け、譲渡代金を支払いました。

藤原「この買い手の社長さんは、自分たち買い手側から新社長を送り込まず、売り手さんの中の従業員から社長を大抜擢した」

北野「普通は譲り受ける側が社長さんになることが多いんですよね」

藤原「通常はそうなんですけど、今回は第三者の買い手さんが株を持ってM&Aのタイミングで社内承継するという非常に珍しいパターン」

運営の責任は譲渡する側に委ねられたそうです。

新規参入者に荒らされたくない

なぜ譲り受ける側はこのようなカタチをとったのでしょうか?

藤原「まず昔からお付き合いをしていたので、従業員たちも顔は知っていた」

北野「信頼関係があったんですね?」

藤原「売り手の旦那さんと買い手の創業者がこのマーケットを作った。40年前に一緒に」

思わず「おお!」と声を上げる北野。

藤原「まったく知らない会社に買われて、このマーケットを荒らされるよりも『金は出すから俺たちのリスクは守っていこう』という気持ちで引き継いだ」

北野「新規参入してきたらややこしくなるか」

M&Aで、この業界を知らない異業者さんが参入されることを「リスクである」と感じた買い手が、株式を一旦引き受けるカタチを選んだのです。

北野はポロリと一言「どんなニッチな職業なのか気になる」。

今回の事例がスムーズに行うことができたのは3つのポイントがあると藤原さん。その内容は次回説明しますと締めくくりました。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年03月06日14時48分~抜粋

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