北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

従業者たった2名、都心のオンライン販売会社がマッチングできた理由

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

2月21日の放送では、関東地方でシャンプーの製造業を営んでいた小さな会社のM&A事例を北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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年商1300万・従業員2名の小さな会社

今回藤原さんが紹介したのは、関東にあるシャンプーの製造業をしていた会社の譲渡事例。
どのような会社だったのでしょう?

藤原「年商1300万。従業員が2名でヘアケア事業をやっています」

北野「そんな大きいわけではないですね」

この会社は、製品製造のための自社工場を持たず、外注工場に委託して製造を行う「ファブレス」という業態です。
語源は工場などの施設(fabrication facility)を持たない(less)という意味からファブレス(fabless)と表現されています。

藤原「やっていることは、商品を企画して作っていただいて、小売りで販売すると。なので、従業員も1名いるんですけど、ほぼオンライン」

商品を企画した後に製造依頼をして、出来上がった商品をオンラインで販売。受注が来たら発送するという流れです。

社長はすべて任せてアメリカ在住

藤原さん曰く、この会社は30年ほど前から営業していて業歴は結構長く、固定客もいたとのこと。百貨店などにも卸していたそうです。

ちなみに社長は関東には住んでいなくて、拠点はアメリカです。

北野「もう形が出来上がっているんやろうな。いっぺん軌道に乗ってしまったら、することないんやろうな」

つまり、アメリカ在住でもシャンプーの製造会社を運営できるのでしょうか?

藤原「はい。従業員さんにお任せして、アメリカで別の事業をされていた」

ビジネスモデルが出来上がっていたので、リピーター客により売上も安定していたそうです。

会社の所在地も魅力に

今回のM&Aはどのような展開になったのでしょうか?

M&Aの現場では売り手と買い手が直接顔を合わせることが多いものですが、この件では社長がアメリカ在住のため難しかったそうです。
時差の問題もあり、オンラインを活用するなど大変だったと藤原さんは振り返ります。

一方、譲り受けた買い手はどのような会社だったのでしょう?

藤原「九州で化粧品を製造している会社さんで、たまたまシャンプー事業をやりたいと探していました。
会社の株式を譲渡する形だったんですけど、買い手さんは、ホールディング会社を持っていたので、その子会社になりました」

売り手の会社は東京都港区の青山にありました。
九州に会社を持つ買い手は東京に拠点を持つことを望んでいたので、青山であればアンテナショップにもなれるしブランディング的にもよかったそうです。

広く募るメリット

今回はどのような形で買い手を見つけたのでしょう?

藤原「経営承継支援の『はじめチャット』のオンラインのほか、大手マッチングサービスにもいくつか情報を掲載しました」

3社の問い合わせがあり、その中の1社とやり取りをして成立。3~4ヶ月とかなりのスピード成約でした。

北野「すぐに成約させるには、いくつか掲載する方がいいんですか?」

藤原「そうですね、M&Aのマッチングサイトは増えていて、大手さんだとマッチングの率も高い。経営承継支援を経由していただくと、年商1300万の小さな会社でも相手を見つけるアドバイザーさんを紹介できます」

M&Aを検討した場合、いろいろなところに広く募ることがポイントだと実感した北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年02月21日14時49分~抜粋

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