北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

他社に知られたくない!条件の多い会社譲渡は成功するのか?

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

1月24日の放送では、技術力の高く希少な裁断機メーカーのM&A成約事例を北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

他社に譲渡を知られたくない

今回は藤原さんが取り上げたのは、関西にある年商1億円超の裁断機メーカーの会社譲渡事例。
裁断機メーカーとは珍しい職種ですが、どのようなことをしているのでしょうか?

藤原さん「裁断機というと3メートルくらいの機械で、この会社は小ロットの特殊な素材、例えば、ガムテープや包帯など、グニャッとなる難しい素材をいかに切るかと」

粘着性のある商材等をカットするには、刃物の角度や強度、裁断速度等が重要で、細かい技術を要する仕事だそうです。

北野「なんとかコレ裁断できますか?という相談を受ける?」

顧客から個別の相談をオーダーメイドで対応するので、使う刃物もドイツなどから取り寄せているそうで、会社の技術力が問われます。「国内でも数社しかいない」と藤原さん。

北野「それだけ狭い世界だと、会社を売るとなると同業者にバレますよね?」

藤原さん「M&Aというのは会社を譲渡するということなので、従業員や知り合い先に知られちゃうと『潰れちゃうんじゃないか?』と不安に思われることがあるので、秘密保持が重要になります」

そのため今回は同業者に知られないよう、同業以外で買い手企業を探す必要がありました。

調査項目の多い業種の難しさ

藤原さんも依頼を受けたのですが、同業以外でこの技術をわかる会社がいるのかと悩んだそうです。

藤原さん「よく川上・川下戦略と呼ばれる方法があります、製造業から近隣の商社になって1社興味を持ったんですが、工場見学の際、商社の方には技術がちんぷんかんぷんでした」

結果、残念ながら見送りになってしまいました。

難しさを実感した藤原さんは、知り合いの弁理士に協力を仰ぎました。
そして類似の特許技術を有する会社をリストアップしアプローチを続けたところ、隣の県にある年商40億円の事務機器開発メーカーが興味を示しました。

その事務機器開発メーカーが興味を持ったポイントは何でしょう?

藤原さん「技術がわかるということと、自社製品を持てること。自社で改良も行えるということに興味を持ちました」

買い手企業は裁断機を商材として扱っていたものの、自社製品ではなかったそうです。
そこで、今回の譲渡でオリジナルブランドを作ったり、顧客ニーズに沿った改良ができると考えたそうです。

製造業のM&Aの今後

この事例は7~8年前のことだそうですが、現在はどのような状況になっているのでしょう?

藤原さんが久しぶりに譲渡した会社を見に行ったところ、既存の商品を取り扱いつつ、プラス新商品も開発しているとのことで、順調に成長しているそうです。

北野「製造業のM&Aって、今後増えていきますか?」

藤原さん「もともと後継者難で困っているところは昔からありまして、私も工業製品に限らず、食品製造とか相談が多いです」

ただ「他業種と比べると調査項目が多そう」と懸念する北野。
藤原さんは「製造設備や取引先、従業員の技術等、普通の項目よりも多い」と説明。

北野「裁断機メーカーはどことどうつながるのかと想像がつかないけど、M&Aはやれていけるんですね」

条件が多いと難しいところもあるので、早めの相談を勧める藤原さんでした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
この記事をで聴く

2024年01月24日14時49分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報