北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

コロナ禍の最悪なタイミング!事業承継は果たして成功したのか?

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

1月17日の放送では、小売店のM&A成約事例を北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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全国50店舗展開の会社

今回藤原さんが紹介したのは、愛知県にある小売店のM&A事例。どのような会社だったのでしょう?

藤原「全国に約50店舗展開している雑貨小売店」

北野「まあまあ大きいじゃないの!」

ただ経営がうまくいかなく、譲渡を検討していたそうです。
50店舗をもつ小売りチェーンの会社が、M&Aという手法を取り入れたことに疑問を持つ北野。

藤原「実は、50店舗のチェーン店も別の会社から過去にM&Aで譲り受けていまして。数年経営したけど難しいなと…」

そこで自社よりも、この事業を成長させることができる力のある会社に託すのがよい、と判断し譲渡を決めたそうです。

M&Aアドバイザーの仕事

どのように、この小売チェーン店を成長させる力のある会社を探したのでしょうか?

藤原「M&Aアドバイザーが小売チェーン店の事業分析をデータを元に顧客分析、財務分析を行って、数社の相乗効果のある会社をピックアップしました」

M&Aアドバイザーとはどんな仕事なんでしょうか?

藤原「国内の中小企業市場に分けてお話しさせていただくと、会社を譲渡したい売り手さんと、譲り受けたい買い手さんの間にアドバイザーが入って、お互いの利害を調整するという仲介役」

つまり、結婚に例えると仲人さんの役割ということです。

藤原「今回のアドバイザーは、さらに買い手の会社社長の自伝や書籍まで読みつくしてプレゼンにあたりました」

シェア拡大のメリット

その絞り込んだ買い手とは、どんな会社だったのでしょう?

藤原「同じ業種(雑貨小売店)の大手企業で、調べたところ現在5000店舗」

北野「それはすごいな!でも50店舗展開していても中堅規模ですから、必然的に大きいところじゃないとね」

とはいえ、このような大規模な会社に、どのようにアプローチしたのか北野が尋ねます。

藤原「さすがに5000店舗の社長に会うということになると、DMや電話だけでは窓口で断られる可能性が高い」

そこでアドバイザーはしっかり調査し、買い手企業の成長戦略を理解した上で、メールを送りました。

具体的には、買い手企業は低価格帯から中価格帯の業態を始めたばかりでしたが、売り手会社は中価格帯で既に50店舗を展開していたので、一気にシェア拡大のメリットがある旨を詳細に記載しました。

後日、買い手企業の役員から連絡があり、社長との面談が叶いました。

最悪のタイミング

予想通り、お互いの顧客層が異なるのでシェア拡大のプラスにはなったのですが、大きな問題が立ちふさがります。

藤原さん「コロナ禍で雑貨小売チェーンにお客さんが来ない」

そのため売上の目途が立たない、という最悪のタイミングでした。

ところが、買い手の社長は「いま譲り受けないと」とM&Aを決断します。
その理由は、販路拡大や商品価値の高さにありました。現在の経営状況はどうなのでしょうか?

藤原さん「コロナも落ち着いて、仕入れ力も強いのでコスト削減に繋がり、利益体質になりました」

今ではうまく軌道に乗っているそうです。

北野「コロナのタイミングってみんなどうしていいかわからない。そういう意味ではM&Aの早めの決断は大事だね」

売り手会社の社長も「あと1年遅ければ、企業価値がさらに棄損し、買い手も手を挙げてもらえずに売ることもできなかった」と話していたそうです。
M&Aアドバイザーのしっかりした分析と、買い手社長の早めの英断によって、非常事態の影響を最小限に抑えられた事例でした。
(野村)
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年01月17日14時47分~抜粋

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