北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

事業主は注目!廃業前に自社の価値を考えよう

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足が大きな経営課題のひとつとなっています。
CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

12月13日の放送では、M&Aを積極的におこなって事業拡大をしている、印刷・広告を手掛けている会社ついて、北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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社長が亡くなり経営がとん挫

前回、番組で紹介した、名古屋の印刷会社の続きです。

家族3人で営んでいる印刷業を継いで、社員20名の会社をM&Aをした二代目社長。
自身の会社よりも規模の大きい印刷会社を譲り受ける珍しいパターン。この会社を含み、これまでに4社M&Aをして譲り受けています。
総合広告企業を目指すというスローガンを掲げる情熱溢れる社長です。

北野「2つ目にM&Aされた会社はどんな会社だったんですか?」

藤田さん「愛知県岡崎市でクオリティの高いデザインを手掛ける会社です」

会社のロゴデザインやパンフレットやノベルティ、商品のプロモーション動画なども制作していました。そんな中、経営者が亡くなってしまい奥様が代わりに引継ぐことになりましたが、経営がわからずに困っていたそうです。

そこで昔から顔見知りだった、この二代目社長に「引継いでほしい」との依頼が来たのです。

自社の弱点を見極める

北野「このデザイン会社のいいところはどこだったんですか?」

以前からクオリティの高いデザインをする会社として有名でした。市役所や大学など地元での取引が多かったそうです。さらに、YouTubeなどが一般的になる10年以上前から動画制作を手掛けていました。

一般的に買い手というのは経営者や経営企画が外部の環境などをみて買うかを決めるそうですが、「二代目社長は違った」と藤原さん。

藤原さん「現場の営業の子に『お客さんはいま何に困っているの?』というところから聞いた」

自社の現場の社員に「いま、何が足りないか」ということについて、生の声を聞いたのです。すると、動画などwebに関する技術や商材が足りないことがわかりました。

このデザイン会社は動画などwebに関する技術を持っていたので、自社の弱い部分を向上させていくのにピッタリだと、二代目社長は引継ぐ決心をしました。

北野は「自分のところにない技術を持っているからね。そういうM&Aだと、自分のところの会社の士気も上がりますよね?」

藤田さん「従業員も『自分の意見を取り入れてくれた』とさらに自信をもって営業できるようになりました」

結果「デザイン力の向上」と「提案力の向上」に繋がったそうです。

諦めないで!自社の価値に気づいてほしい

1社目のM&Aは、譲り受ける会社の方が規模が大きかったのですが、2社目はどうだったのでしょうか?

藤原さん「2社目のデザイン会社さんの方が社員数は少なく、営業人材が不足していました」

今回のM&Aでデザイン会社は後継者も見つかり、買い手である印刷会社の営業担当者が、デザインに関する営業についても一緒に提案やフォローをしてくれるので、結果的に売上増加につながったと藤原さんはいいます。

北野は「すごいな」と感心しつつ、二代目社長に興味を持ちます。

北野「このM&A戦略は確固たる意志を持ってやっていますね」

藤原さんは先日、二代目社長と会食をした時に「伝えてほしい」と託された言葉があったそうです。

藤原さん「M&Aをしないで、廃業を選択する社長が周りにめちゃくちゃ多いと。生産ができるだけの余裕がある会社は、財産価値であったり事業価値があるので、小さいから売れないと考えるのではなく、ぜひ相談してほしい」

廃業を選択する前に「せっかくここまで持ってきた技術があるのだったら、誰かに受け継いでもらいたい」を叶えられるのがM&Aの良いところだと実感する北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2023年12月13日14時49分~抜粋

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