北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

家族3人の印刷屋が、社員20名の会社を譲り受けた理由は

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足が大きな経営課題のひとつとなっています。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

12月6日の放送では、M&Aを積極的におこなって事業拡大をしている、印刷・広告を手掛けている会社ついて、北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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飲みに行くお金もなかった

今回取り上げた事例は、名古屋で印刷・広告を手掛ける会社。M&Aを積極的に行い事業を拡大しています。どんな会社なのか北野が尋ねました。

藤原さん「総合広告企業を目指すというスローガンを掲げている会社で、過去に印刷会社2社、デザイン会社1社、折り込み広告の会社1社を譲り受けた、M&Aのベテラン的な会社です」

「4社なんてすごい!」と驚く北野。15年の時間をかけて4社を譲り受けてきたそうです。

この会社の社長は、もともと親の世代から印刷業を営んでいたそうです。
大学を卒業後、すぐに家業を継がずに他のデザイン会社に勤めました。親は「5~6年後に戻っておいで」と言っていたそうです。そして経験を積んで家に戻り、二代目として家業を継ぎました。

北野「家業の印刷会社の規模はどのくらい?」

藤原さん「お父さん、お母さん、職人さんの3名くらい」

町の小さな印刷屋さんだったそうです。二代目を継いだ当時は、2年間給料なしのお小遣い制でした。

北野「家族でやると最大のデメリットがそこや!」

友人と飲みに行く時も「1万円くれ」と親からもらっていたような状況です。

M&Aを始めたきっかけは

北野「その後、息子さん(二代目社長)が事業を拡大していくんですか?」

当時「さすがにこのままではいけない」と考えた二代目社長は、成長するにはどうすればよいかとM&Aのセミナーなどを受けて勉強に励みました。
そこで「M&Aで会社は買えるんだ」という学びを得ます。

北野「後継者のいない会社を、自分が買い取って、事業拡大していくって?」

二代目社長は早速、職人気質の父親にM&Aの取り組みなど相談したところ、どこに会社を買う金があるんだ!と一蹴され「うちの会社を滅ぼす気か」とひどく対立してしまったそうです。

そこで悩んだ二代目社長は、自身の妹と社員に「親父と俺どっちについていく?」と尋ねます。
すると、「お兄ちゃんについていく」「頑張れ」と二人から後押しをしてもらいました。

藤原さん「(二代目社長は)この二人の生活は絶対守るんだ!とM&Aをやると決めました」

熱意で競合会社に勝つ

北野「それで、実家の印刷業の会社と同業の会社をM&Aした?」

家業の印刷会社は3名ほどでしたが、そのM&Aをした印刷会社は社員が20名もいました。大きい会社が小さい会社を譲り受けるのが普通ですが、それとは逆のパターンです。

さらに、譲り受ける前、他にも競合が3社ほどあったそうですが…。

藤原さん「資金力や規模では到底太刀打ちできないんですけども、その二代目社長は『俺が一生懸命育てるから譲って』という熱意。そこだけ」

とても熱意を持ってアプローチをしたそう。

北野「小さな会社が20名の規模といえば、自分のところとは全然違う。向こうの社長さんに気に入られた?」

売り手の社長は一生懸命に取り組む二代目社長の姿を見て、とても気に入ってくれたそう。他の競合に勝ち、会社を譲り受けることができました。

さらに二代目社長は他の会社にもM&Aを進めていくのですが、その経緯や手法は次回の放送でご紹介します。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2023年12月06日14時51分~抜粋

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