北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

所有権ごちゃごちゃの薬局を引き継ぐ薬剤師の思い

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足が大きな経営課題のひとつとなっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

11月22日の放送では、三重県の多気郡にある調剤薬局のN&A事例について、北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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地元の人たちの「かかりつけ薬局」

今回取り上げた事例は、三重県多気郡の山間部にある調剤薬局のM&A。
売り手の父親の代から87年続き、調剤や漢方相談も受けていました。
買い手はどんな人かを尋ねる北野。

藤原さん「個人の方で、病院で20年以上薬剤師をしていました」

買い手には、病院の前にある「門前薬局」のような医療機関を限定するスタイルではなく、不特定多数の処方箋や漢方を扱い服薬指導までできる、「面薬局」と言われるかかりつけ薬局を作っていきたい思いがあったそうです。

藤原さん「しかもこの方(買い手)の地元で、この薬局(の案件)が出てきたのでピッタリ」

地元で面薬局を探したいとも考えていたそうで、立地的にも合いました。

複雑になりやすい「所有権」

今回のM&Aは、この後スムーズに進んだのでしょうか?

藤原さん「当初はスムーズに進んでいたのですが、途中で土地に関する問題が出てきました」

87年と長く経営している場合、土地を含めた相続が発生します。この薬局も土地の所有権が親族間で複雑になっていたそうです。

例えば親族間で「あの人が土地を持っているんだろうな」と思っていても、実際調べてみると贈与されていて、息子に所有権が移っていたなどの問題が判明したのです。

北野「当の住んでいる本人が知らない場合もありますよね」

もし、有権者の1人でも「土地は売らないよ」と反対した場合、案件がとん挫もしくは長期化する懸念もありました。
​​​​​​​他にも業歴のある会社などは、土地以外にも、連絡のとれない所在不明の株主がいた…などのも問題も考えられます。

事業承継型融資

一方買い手側にも、個人ということもあり資金面の問題がありました。

藤原さん「金融機関を回られたそうですが、ほぼほぼ断られた」

買い手も不安になり「本当にできるのか」と心が折れそうになっていましたが、当時のコンサルタントは「あきらめないでください」とアシストしていたそうです。
そんな中、ある金融機関から「事業承継型融資」を提案されます。

「事業承継型融資」とはどのようなものなのでしょう?

藤原さん「売る会社が地域に密着していて、かつ利益がちゃんと出ていれば、個人の方でも事業承継を目的に融資しますと」

北野「よかったね。でも当然審査はある?」

今回が第一号案件とのことで前例がなく、3か月程度のやり取りの後、無事に審査を通過して融資を受けられたそうです。
「事業承継型融資」という言葉を初めて聞いたという北野と松岡。

北野「こういうのどんどんやってほしいですよ。今のご時世」

これから個人で独立したい人は、今回のように立地条件の悪さや、資金面で難しいなどがあっても、「はじめチャット」などM&Aのマッチングサイトを活用して相談してみてほしいと藤原さん。

北野「『どうせこんな辺鄙なところ売れへんやろう』なんて発想はやめた方がいいね」

藤原さんは「相手は必ずいます」と背中を押しました。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2023年11月22日14時47分~抜粋

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