北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

離島にロマンを届けたい!調剤薬局を引き継いだ若手社長

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足が大きな経営課題のひとつとなっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

11月15日の放送では、離島にある調剤薬局のM&A事例について、北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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高齢で跡継ぎのいない離島の調剤薬局

日本海に浮かぶ離島の中にある調剤薬局さんの成約事例です。

北野「島の薬局ということは、住民の皆さんにとってはやめてほしくないところですよね?」

今回取り上げるのは、この離党に4つしかない調剤薬局のひとつ。
調剤薬局の評価に技術料(調剤薬局を利用する基本料金)があるのですが、この薬局は月に240万、処方箋の数も月に8百枚弱でした。
藤原さんいわく「収益的には儲かっていた」そうです。

北野「島の中でも人気の調剤薬局?」

藤原さん「私も行きましたが、島の中心部です。フェーリーや空港からも近い」

収益があるのに、なぜ薬剤師は譲渡を選択したのでしょう?

藤原さん「高齢で後継ぎがいないと」

島に行ける薬剤師がいない

当初この継承案件を引き受けるか迷ったという藤原さん。
やはりネックは離島という地理的な条件でした。
しかし、経営面に問題はないので「見つかるだろうな」と予測して引き受けました。

自社にある調剤薬局の大手チェーン店などのリストを頼りにいろいろ当たってみましたが、結局全て断られてしまいます。

藤原さん「送り込む管理薬剤師がいなかったり、今後人口が増加する見込みがないので」

関心を示してくれた買い手からは「管理薬剤師が採用できたら」という条件が出されました。しかし、島に行ってくれる薬剤師は見つからなかったそうです。

ロマンを持った若者

藤原さんやコンサルタントの方々が探した結果、ある若い男性に出会いました。
男性は愛知県の大学病院に就職した後、個人の薬局で管理薬剤師として働いていました。

この方が「島に行く」という気持ちを持っていて、調剤薬局の件を譲り受けてくれたそうです。

藤原さん「この人が『薬剤師が日本中にロマンを届ける』という、ヤクロマ(株式会社yakuroma)という名前で会社をやっていまして、ロマンをもとに飛び込んだっていうね」

薬剤師が日本中にロマンを届けるという理念をもとに、医療関係者を支援するサービスを提供している会社の若手社長さんです。

北野「島の薬局で、なかなかの決断だと思うけど、どれくらいで成立したんですか?」

藤原さん「提案してひと月くらい。条件があったんですが、それさえクリアしてくれれば買うよって」

若手社長は家族の反対にあったそうですが、なんとか説得して単身で島に乗り込んだそうです。

コミュ力の大事さ

買い手の若手社長は、島の調剤薬局承継の話を聞いた時に「町の人が困るんじゃないか」と思案したそう。

そこで「私が行こう」と思い立ったことに、藤原さんは「使命感みたいなものではないか」といいます。北野も、男気ある人だなあと感心。
収益の部分でも、買い手のニーズと合致していました。

北野「(買い手は)島にすぐ溶け込めたのかな?」

藤原さんが聞いたところ、買い手にも最初は先入観があったそうですが、入って1~2月で、近所のおばあちゃんがお店に遊びに来て、薬局なのに「文房具、売ってる?」など気軽に話しかけてくる状況になっているそう。

藤原さん「薬剤師はそれも取り寄せて、おばあちゃんに『取り寄せたよ』ってすごく仲良くなった」

北野「コミュ力大事!」

臨機応変に溶け込んでいる買い手に「やってみないとわからんね」と感心するばかりの北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2023年11月15日14時51分~抜粋

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