北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

第三者承継M&Aが「ハッピーリタイア」と呼ばれる理由は

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足が大きな経営課題のひとつとなっています。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

10月11日の放送では「事業承継の方法」について。北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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事業承継の方法、3種類

事業承継はどんな方法があるのでしょうか?
三井住友トラストグループ株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原さんは、以下の代表的な3つの「承継」をあげました。

・家族などに会社を承継する「親族内承継」。いわゆる相続。
・家族で承継するものがいない場合、従業員に承継する「従業員承継」
・後継者が誰もいない場合は廃業するか、信頼できる他の会社への事業を承継の「第三者承継(M&A)」。

親族内承継の良い点・悪い点

まず「親族内承継」のメリットについて。

藤原さん「利害関係者である、取引先、顧客、従業員など、長年顔を合わせているので、スムーズに引き継ぎやすい」

北野「親から子へ、こどもさんも自分の会社に勤めているので、紹介していくだけですみますもんね」

経営および資産の承継を計画的に進められ、失敗を事前に防ぐことができます。
一方、デメリットはどういうところでしょうか?

藤原さん「『親子関係』というビジネスライクと違ったところで、揉めやすい」

北野「こどもさんが継いだところで経営能力なかったりしますもんね」

経営能力がない後継者では、会社の経営が悪化する恐れがあります。

従業員承継の良い点・悪い点

続いて従業員に承継する「従業員承継」。良い点はどこでしょう?

藤原さん「血縁かどうかは関係なく、能力を見て判断できることがポイント」

中小企業白書(経済産業省)によると、準備期間を5年以上とれるのでしっかり準備ができるとのことです。

デメリットについて、ある食品製造会社の事例を挙げる藤原さん。

食品製造の工場長に承継することが決まりかけた時、工場長の妻が「会社の借金をウチが背負うのか」という理由で反対を受けたそうです。
会社が黒字なら良いですが、借金があればそれもろとも引き継がなくてはいけません。

藤原さん「経営者としての奥さんじゃなくて、従業者としての奥さんが急に…。そこを説得するのは5年かかった」

北野は口頭で「いいよ」と承諾していても、実際具体的に契約しようと思ったら、急に「ちょっと待って!」となる話はよく聞くとのこと。

第三者承継のM&Aとは?

藤原さんは2005年から第三者承継であるM&Aを始めていましたが、当時は「ハゲタカ」「敵対的買収」などといわれていたそうです。

北野「M&Aが日本に馴染んでなじんでいないのは『敵対的買収』という言葉がやたら出てくるねんけど、そうじゃない場合も多いと皆に知ってもらいたい」

特に事業承継の場合「友好的なM&A」と言われていると解説する藤原さん。
友好的とは、どういう意味でしょう?

藤原さん「会社を譲りたい人と譲り受けたい人、どっちが偉いというわけではなく、対等に話し合う」

事業の引継ぎ後も、関係者全員が「やって良かった」と思える場合は「友好的なM&A」と呼ばれるそうです。
社長や従業員からも「ハッピーリタイア」と呼ばれることもあるようで、納得すれば株を譲ることもできるし、交渉が決裂すれば売らないという選択もできるそう。

さらに、一般的に、譲渡対象会社(売り手)より規模が大きい会社(買い手)に承継するので資金も安定します。

承継後の従業員の雇用は?

M&Aとなると、従業員は雇用に不安を覚える場合も多いです。

「クビになるんじゃないですか?」という話もあるそうですが、「10人ほどで営業している会社では1人辞められると、人材不足でめちゃくちゃ困る」と藤原さん。
今では逆に「残ってください」ということが多いそうです。

M&Aでは他に欠点はないでしょうか?

藤原「第三者ということで見つからないということは、正直あるかな。譲り受ける側も文化とかしっかりわかっていない場合もあるので、経営が悪化する可能性を秘めているかなと」

「従業員が馴染めない」「ゴリゴリ営業に変わった」そんな話はたまにあるそうです。とはいえ、皆がハッピーになる第三者承継M&Aを推す北野でした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2023年10月11日14時50分~抜粋

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