北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

高齢化や継承者不足…中小事業者が抱える「承継問題」とは?

昨今、少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題の一つとなっています。
そのため経営者は、早期に事業承継に向けた準備が必要と言われています。

CBCラジオの『北野誠のズバリ』「カイシャのシュウカツ」では、会社の就活にもあたる事業承継について、専門家をゲストに学んでいきます。

10月4日の放送では「中小企業の事業承継の現状」について、北野誠と松岡亜矢子アナウンサーが三井住友トラストグループ株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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カイシャの承継問題の現状

中小企業の事業承継の現状は、中小企業庁によると2025年までに平均的引退年齢とされる70歳を超える中小事業者は245人余り、このうち半数強の127万人は後継者が未定となっています。

北野「廃業される数も多いのでは?」

東京商工リサーチによると、2022年の休廃業・解散件数は前年比1.8%と増えていました。コロナの影響もあるそうですが、4万9625件と過去5年で21%増えています。

北野「赤字で辞めているのか、黒字のままでも休廃業するかな…年齢とかも?」
藤原さん「どちらもあるんですよ」

このうち損益が黒字のまま休廃業した企業は約半分の55%を占め、理由として、黒字だけど高齢になって相手が見つからないといいます。
休廃業時の社長の平均年齢は過去最高の71.6歳。高齢化を理由に事業存続を諦める人は今後も増えそうとのことでした。

モノづくり大国の愛知でも激減?

北野「愛知県は製造業も多いじゃないですか、その辺はどうですか?」

2020年の工業統計表によると、愛知県の製造業は、製造品出荷額等で47兆円を超え、43年連続日本一の座を誇ります。
愛知県の製造業における従業者4人以上の事業所数は17,611社と全国の8.1%を占め、全国第2位の位置にあります。

しかしそれらの事業者の中には、経験が必要な職人技の仕事ができる人材をかかえた、オンリーワンの事業所も少なくないと言われているそうです。

藤原さん「愛知県の事業承継の相談ってめちゃくちゃ多いです。技術、特に精密機器、自動車であったり航空関連、医療だったり技術が非常に高いので」

北野「経験が豊富な方が多いわけじゃないですか。もったいないですよね」

親族承継のデータが逆転!

愛知県内でも、高齢化による廃業が多いのでしょうか?

藤原さん「増えています」

自動車産業だけでも、愛知県内でこの1年で3000社余りが休廃業や解散を選択しています。(日経ビジネス記事より)
今までものづくり王国として、培われてきた職人たちの技術もなくなる可能性があることも問題ですが、藤原さんは「地域の経済が衰えていく原因になる」ということも懸念しました。

北野が「事業承継を考えることは必要ですね?」と尋ねると、藤原さんは面白いことが起こっていると答えました。

藤原さん「今までは親族や社内の方(が一番だった)、最近になってM&A(第三者承継)これは2022年に、ついに親族内より親族外が承継するデータの数値が入れ替わったんです」

今までは「自分のこどもや身内に継がせよう」というのが主流でした。
しかし「こどもがいない、継ぎたがらないとなると『他の人でもいい、誰かにこの技術を引き継ぎたい』という考え方に変わってきたのでは」と北野。

藤原さん「息子さんが必ずしもお父さんの職業じゃなくて、違う職業に就くというのがあったんですけど、そもそも親族以外に承継するのが増えた」

今後も、家族内、会社内で、事業承継はもちろん後継者がいない会社は、M&Aで事業を存続させるという選択が広がっていきそうです。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2023年10月04日14時47分~抜粋

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