ロックバンド・ゴダイゴのタケカワユキヒデさんが4月14日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』にリモート出演しました。
ゴダイゴの代表作を作ってきたタケカワさんが、あの大ヒット曲の裏話を明かします。
いったいどのジャンル?
来年は結成50周年を迎えるゴダイゴ。
1975年に結成し、1976年4月にシングル「僕のサラダガール」でデビュー。この年7月にはファーストアルバム『新創世記』をリリース。
この『新創世記』のB面は組曲として作られていたため、小堀はピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾンなどの海外のプログレッシブ・ロックのバンドのような印象を受けたそうです。
タケカワ「あの時代、洋楽をそのままやってやろうっていう日本のバンドがほとんどいなかったんです。だから僕らは洋楽のジャンルというジャンルをやり放題だったんですよ」
タケカワさん曰く、日本語でやると、どのジャンルも日本の音楽の中のひとつのジャンルになるんだそうです。しかし英語でやるとプログレ、ロック、ポップス、何をやってもゴダイゴ風の洋楽として聞く人に届くんだとか。
タケカワ「そういうアプローチをしているライバルがいなかったので、やりたい放題で本当に楽しかったです」
小堀「当時、ラジオのリスナーからゴダイゴのジャンルを問われて『ゴダイゴはゴダイゴっていうジャンルだよ』って言った覚えがあります」
民族音楽で大ヒット
タケカワ「それに民族モノが嬉しかったしなあ。ワールドミュージックという言葉がまだなかった頃、僕らは民族音楽のつもりでやってましたからね」
ゴダイゴ風民族音楽の大ヒット曲が「ガンダーラ」。
タケカワさんは作曲するにあたりアフガニスタンの民族音楽のレコードを何枚か聞いたそうです。
タケカワ「うわーこれロックだなあっていう音源がいくつかあって、こういうのやりたいよなあって思ったんですよ。『ガンダーラ』ってソフトな曲になっちゃったんですけど」
ミッキー・マジック
小堀「イントロを聞くだにシルクロードの広大な旅が始まる。あのイントロで、歌い出しがこうくるのかっていう独特の世界観があります」
タケカワ「あれはミッキーのマジックですよね。僕のマイナーのコード進行の曲にメジャーでイントロをつけるってカッコいいですよね」
キーボードのミッキー吉野さんは、GSバンドのゴールデンカップスに参加して、バークリー音楽院へ留学。帰国後、タケカワさんを招き入れてゴダイゴを結成した張本人です。
イントロはメジャーのAとDを主に使って、歌い出しがFシャープのマイナー7、 Bマイナーと続きます。イントロから歌い出しに注目して聴いてみましょう。
書き直しは大切
小堀「タケカワさんの解説を聞きながらこれ聴いてみると、いやあ良くできた曲ですね」
タケカワ「知らないうちに転調している。うまくいっちゃったんですよね。お恥ずかしいですが、実は何回も書き直したんですよ」
「ガンダーラ」は、最初にプロデューサーに持って行った時は、サビはあのサビなのですが、曲の頭はメジャーコードの壮大な感じだったそうです。
タケカワさんは、全部メジャーにしたかったので、サビだけ変えようと思っているとプロデューサーに伝えると、「サビだけ残して全部変えて」と逆の注文を受けたそうです。
タケカワ「だから、あのガンダーラっていうのが良かったんでしょうね」
頭を直したのですがサビへの繋がりがよくない。そこで、もうひとつパートを書いたら、それがうまい具合に転調するパートになったそうです。
タケカワ「ちゃんとサビが一番高いところへ行くようになったんですよ。いやあ、本当に書き直しってのもやってみるもんだなと思いましたね」
音楽を言葉として捉える
タケカワさんの作曲の秘密にも迫りました。
小堀「タケカワさんはもちろん音楽の人ではあるんだけど、映画とか小説とか色んな所からインスパイアされるんですか?」
多趣味のタケカワさん、特に漫画には詳しく、手塚治虫文化賞の選考委員を務めたこともありました。
タケカワ「映画や漫画は音楽とは全く関係ないです。音楽は本当に音楽だけです」
タケカワさんは譜面の読み書きを小学校の低学年で習ったそうです。
タケカワ「調音と譜面を書く実力はそこでもう出来上がっちゃったんですけど、それ自体が言語なんですよ。僕にとって音楽は音楽という言語の中の世界なんですよ。だから他のものとは干渉し合わないです」
曲作りの罠
具体的にどうやって曲が作られていくのかを聞きました。
例えばCMソングは、歌詞があれば打ち合わせ中に作ってしまうそうです。5曲頼まれて、帰りの電車の中で5曲書いてしまったこともあったんだとか。
基本的なメロディーをサッと作ることが肝心なんだそうです。でないと大変なことに。
タケカワ「締め切りがあるのに穴ぼこに入っちゃうと同じところをずーっとグルグル回るんですよ。もうね、ホント困った」
こういうことを何度も経験しているというタケカワさん、もちろん抜け出す方法も見つけていました。
タケカワ「一番いい方法が、忘れちゃうことなんですよ。全部忘れないといけないんですよね。だから忘れる癖が結構ついたんです。もうヤバいですよ。音楽だけじゃなくいろんなことを覚えてないですから(笑)」
5月~6月には東京、大阪、愛知でコンサートがあります。
小堀「久しぶりの愛知県でのライブ。何から始まってどういう曲順になるだろうって今からワクワクしてます」
タケカワ「選曲は全部ミッキーに任せてるんで、僕らもいつもワクワクしてるんです。今回はこう来ましたか、ってそういう感じですね。楽しみですよ」
往年のファンも、CMで知った若い世代も、ゴダイゴのライブへ足を運んでみて下さい。
(尾関)
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2024年04月14日10時25分~抜粋