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小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

映画『市子』主演・杉咲花と戸田彬弘監督、インタビュアーを褒める?

2023年12月13日(水)

エンタメ

12月8日、映画『市子』が名古屋の伏見ミリオン座ほかで公開されました。

10日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、主演の杉咲花さんと戸田彬弘監督が出演し、この『市子』の撮影秘話を語りました。

不思議な映画

戸田彬弘監督主宰の劇団チーズtheaterが旗揚げ公演として上演し、サンモールスタジオ選定賞2015で最優秀脚本賞を受賞した舞台が『川辺市子のために』。
『市子』は、これを杉咲花さん主演で自ら映画化した作品です。


3年間一緒に暮らしてきた恋人、長谷川義則からプロポーズを受けた川辺市子ですが、翌日に忽然と姿を消してしまいます。

市子を探す長谷川。そこに現れる刑事、後藤。市子ゆかりの人物に話を聞いていくうちに、市子はかつて違う名前で暮らしていたことを知ります。

過酷な境遇に翻弄されて、生きてきた市子を杉咲花さんが、彼女の行方を追う実直な恋人、長谷川を若葉竜也さんが演じています。

小堀「本当に息詰まるような展開の不思議な映画でしたよ」

脚本の力

戸田「今回は戯曲を小説にできるな、というアイデアがなんとなく自分の中で見つかって、その構成案をさらに映像に変えるみたいな流れでシナリオ化したんです」

杉咲さんは戸田監督から手書きのオファーを貰ったそうです。
そこには「自分の監督人生の分岐点になる作品」と綴られていたとか。

杉咲「脚本からは引き裂かれるような市子の痛みをものすごく感じましたし、何か生々しいものが身に迫って来るようなホンで、ここに飛び込んだらとんでもない場所に連れていってもらうことになるんじゃないかっていう感覚になって、特別なオファーを頂いたなという感覚でした」

撮影の1年前に受け取った脚本を読んでから、市子というキャラクターが頭から離れず、考えすぎてしまうので、撮影まではあまり脚本を開かないようにしていたそうです。

杉咲「どういう時間を自分が過ごすことになるのか?怖いけどすごく見てみたい、扉を早く開きたい、みたいな感覚でしたね」

杉咲花の凄さ

闇を抱えたような人物像の市子役に、なぜ杉咲さんを選んだのでしょうか?
戸田監督は、杉咲さんの出演作品『楽園』(2019年 瀬々敬久監督)を見て「絶対できる」と確信したそうです。

戸田「それだけの幅を表現できる女優さんってそんなにいないと思っていて、だからすごいなと思いますよね」

杉咲さんを選んだことが大正解、というエピソードを語る戸田監督。
クランクインして最初に撮影したカットでのこと。

戸田「団地の前で待ち合わせのところをワンカットでやったんですけど、怖いなと思ったんですよね。
市子の何考えてるかわからないけど、妙な引力があるというか、それはすごく怖いなと思ったのを覚えてますね」

市子を演じた杉咲さんから、画面越しに、見るものを惹きつける引力のようなものが出ていたそうです。

杉咲花の魅力

市子という強烈な役を演じた杉咲さんに、撮影とオフの時間の切り替えを尋ねる小堀。

杉咲「市子に入り込んでしまっている状態から離れていくことを意識してました」

撮影していない時も市子の心境を想像することで、全てを理解した気持ちになってしまわないか?それは本当にわかっているのか?と様々な思いがよぎったそうです。
そのため撮影が終わると、極力素の自分に戻るようにしたんだとか。

杉咲「ホテルに帰ったら、個人として、お腹すいたらご飯食べだすとか音楽を聴くとか。素直に自分の生活に戻っていこうという気持ちでしたね」

常に役の心情が拭えず憑依したような時期もあったそうですが、今は撮影が終わると役を切り離した方が、役とちゃんと向き合えると語る杉咲さん。

戸田「杉咲さんはまだ若いですからね。この先どこまで行ってしまうんだろう?ってみんな言ってますね」

杉咲「厳しい世界なので、求めてもらえるような人物でいられるためにアップデートしていきたいなっていう気持ちは常にありますね」

小堀「映画を観終わって外に出た時に街行く人を見ると、『この人、何かあるんじゃないか?』とか、他人の見方が変わってきたような気がします」

戸田「『どこかに市子がいるんじゃないかな?』という錯覚を感じるようなものになればいいなと思ってたので、それはすごく嬉しいです」

エンドロールの声

生活のノイズ、海の音が流れるエンドロール。
その中に内容が聴き取れない話し声が聴こえるそうです。

小堀「一生懸命聴こうとしたんですけど、歳とって耳が遠くなったので無理でした(笑)」

戸田「あれはちゃんと聴き取れないようにやってて、英語字幕もあそこは出さないんです。感じてもらえればいいなという部分です」

小堀「じゃあ大丈夫ですね(笑)」

このエンドロールについて「まさに映画を表してます」と語る杉咲さん。

杉咲「本当のことは何かわからないけど、感じ取ること、想像し続けることが他者と向き合う、関わり続けること。そう感じさせられるエンドロールだなって、自分は思いますね」

小堀「映画を『観る』と言いますが、『五感で感じるものなんだな』と思いました」

戸田「すごいいい言葉ですね、今の。確かに映画は感じるもの。僕もそれ言っていきます(笑)」

2023年に『市子』あり

この『市子』を2023年の「この一本」に挙げた小堀。
理由は「自分を変えてくれた作品だから」ということでした。


小堀「ぜひ皆さんも映画館で観ていただきたいし、終わってから、みんなの気持ちを付き合わせると、一緒に行った人のこともわかると思います。映画ってすごい贈り物ですね」

戸田「いい言葉ですねえ」

杉咲「本当に素敵なお言葉でした」

小堀「単なるくさいオジサンじゃないですか?照れる(笑)。赤くなってしまいました。本当にいい映画でしたよ」


最後は主演の杉咲さんと戸田監督から、小堀が褒められまくる異例のインタビューとなりました。 
(尾関)

 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2023年12月10日10時32分~抜粋
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