現在公開中の映画『658km、陽子の旅』の熊切和嘉監督が、7月30日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。
同じ北海道帯広市出身の小堀勝啓が、新作の見どころを尋ねます。
熊切和嘉監督、新作『658km、陽子の旅』で絶対入れたかったセリフを明かす
三冠受賞
『658km、陽子の旅』は上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の三冠を受賞したロードムービー。
小堀「僕の中では熊切監督は全体的にねっとりとエロいというイメージです。今回もそういうのかなと思ったら、ものすごく心に沁みる映画でした」
夢破れて東京でくすぶってる40過ぎの女性、陽子が主人公。父親を亡くし、葬儀に間に合うように東京から青森まで向かいます。しかしお金がなくてヒッチハイクをせざるを得ません。果たして葬儀に間に合うのか?というストーリーです。
小堀「僕の中では熊切監督は全体的にねっとりとエロいというイメージです。今回もそういうのかなと思ったら、ものすごく心に沁みる映画でした」
夢破れて東京でくすぶってる40過ぎの女性、陽子が主人公。父親を亡くし、葬儀に間に合うように東京から青森まで向かいます。しかしお金がなくてヒッチハイクをせざるを得ません。果たして葬儀に間に合うのか?というストーリーです。
陽子はもう一人の自分
小堀「道中、いろんなアクシデントがあってハラハラドキドキ。最後は葬儀に間に合うようにと祈るような気持ちで見てました。いい脚本ですね」
熊切「世間が見ようとしなかった陽子像がいっぱい存在するんです。そういう人に光を当てることは映画のやるべきことなんじゃないかとすごく思ってましたね」
夢を抱いて東京に出てきて20年。42歳になった主人公の陽子は就職もできず収入もなく、親とも疎遠になっています。
ちなみに本作品は上海国際映画祭でも共感を得たようです。
最近の中国でも格差社会が社会問題となっており、地方から上海に出てきた人も大勢いることが高評価の背景にありそうです。
熊切「陽子は他人事と思えない。自分にも起こり得た人生だと思うので、それで撮りたかったってのはありますね」
熊切監督の実家は水道関係の商売をしていたそうです。映画製作を目指していた熊切監督は、父親から「水は人間にとって必要だけど、映画は必要ない」と否定されていたんだそうです。
熊切「世間が見ようとしなかった陽子像がいっぱい存在するんです。そういう人に光を当てることは映画のやるべきことなんじゃないかとすごく思ってましたね」
夢を抱いて東京に出てきて20年。42歳になった主人公の陽子は就職もできず収入もなく、親とも疎遠になっています。
ちなみに本作品は上海国際映画祭でも共感を得たようです。
最近の中国でも格差社会が社会問題となっており、地方から上海に出てきた人も大勢いることが高評価の背景にありそうです。
熊切「陽子は他人事と思えない。自分にも起こり得た人生だと思うので、それで撮りたかったってのはありますね」
熊切監督の実家は水道関係の商売をしていたそうです。映画製作を目指していた熊切監督は、父親から「水は人間にとって必要だけど、映画は必要ない」と否定されていたんだそうです。
20年ぶりのオファー
主人公、陽子を演じるのは菊地凛子さん。
2006年、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』でアカデミー主演女優賞を獲って以来、『パシフィック・リム』などの人気作で日本を代表する国際女優としての地位を築いています。
実は熊切監督は、菊池さんが『バベル』で有名になる5年前、2001年の商業映画デビュー作『空の穴』で一緒に仕事をしていたそうです。当時は菊地凛子という名前になる前。ヒロインを演じてもらったそうです。
20年ぶりとなった菊池さんとの仕事ですが、実はオファーを出すのにためらいがあったんだそうです。
熊切監督「向こうはハリウッド映画に出てますから。僕の映画はあい変わらず低予算。断られたらショックじゃないですか(笑)。ちょっとためらったんですよ」
2006年、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』でアカデミー主演女優賞を獲って以来、『パシフィック・リム』などの人気作で日本を代表する国際女優としての地位を築いています。
実は熊切監督は、菊池さんが『バベル』で有名になる5年前、2001年の商業映画デビュー作『空の穴』で一緒に仕事をしていたそうです。当時は菊地凛子という名前になる前。ヒロインを演じてもらったそうです。
20年ぶりとなった菊池さんとの仕事ですが、実はオファーを出すのにためらいがあったんだそうです。
熊切監督「向こうはハリウッド映画に出てますから。僕の映画はあい変わらず低予算。断られたらショックじゃないですか(笑)。ちょっとためらったんですよ」
映画には空気も映る
熊切監督の不安をよそに、菊池さんはオファーを快諾。ほぼすっぴんで、東京から青森に向かう陽子を演じたそうです。
熊切監督「初日から20年ぶりとは思えない感じで息があった。まさに自分が求めていた陽子像がそこにいました。菊池さんはなんかすごく合うんですよね。だから非常に充実してましたね」
小堀が印象に残ったのは最後の方で、お人よしを絵に描いたような老夫婦にヒッチハイクで乗せてもらった陽子が、彼らと別れるエピソード。
陽子の心が解れていくようなシーンがあるそうです。
小堀「皆さん、観ていただくといいですが泣きそうでしたね」
熊切監督「あそこは僕も撮ってて泣いちゃったんですよね。不思議なことになぜかスタッフがみんな涙したんですね。
演じてる皆さんもぐっと来てたし。それって映画に映るんだなと思いましたね」
熊切監督「初日から20年ぶりとは思えない感じで息があった。まさに自分が求めていた陽子像がそこにいました。菊池さんはなんかすごく合うんですよね。だから非常に充実してましたね」
小堀が印象に残ったのは最後の方で、お人よしを絵に描いたような老夫婦にヒッチハイクで乗せてもらった陽子が、彼らと別れるエピソード。
陽子の心が解れていくようなシーンがあるそうです。
小堀「皆さん、観ていただくといいですが泣きそうでしたね」
熊切監督「あそこは僕も撮ってて泣いちゃったんですよね。不思議なことになぜかスタッフがみんな涙したんですね。
演じてる皆さんもぐっと来てたし。それって映画に映るんだなと思いましたね」
北国の人のニュアンス
小堀「僕は北海道の人だから東北にも通じるんですが、北の人の言葉のニュアンスがすごく分かるところがあって」
熊切監督「なんもなんも、ですね」
同じ北海道帯広市出身で、小堀の言わんとしている場面をすぐに理解する熊切監督。陽子を助けた相手が「なんもなんも」と言うんだとか。
「なんもなんも」は英語で言うところの「ユー・アー・ウェルカム」。
「気にしなくていいんだよ」ぐらいのニュアンスだそうです。
熊切監督「どうしても言わせたかったですね」
小堀「温かくなるようなシーンでした」
熊切監督「なんもなんも、ですね」
同じ北海道帯広市出身で、小堀の言わんとしている場面をすぐに理解する熊切監督。陽子を助けた相手が「なんもなんも」と言うんだとか。
「なんもなんも」は英語で言うところの「ユー・アー・ウェルカム」。
「気にしなくていいんだよ」ぐらいのニュアンスだそうです。
熊切監督「どうしても言わせたかったですね」
小堀「温かくなるようなシーンでした」
映画の神様が味方した
ラストシーンは雪が降って欲しいと願っていた熊切監督。しかし二週間で撮り切らなければいけない制約があります。
小堀「ハリウッド映画なら、わざとこうやって降らせるかというぐらいのシーンもありました」
熊切監督「あれ、偶然なんですよね。最後は本当に奇跡。映画の神様が味方をしてくれたとしか思えないような感じで見事に降ってくれたんです」
小堀「映画の神様いますよね」
熊切監督「と思いたいです」
小堀「このロードの終点が、陽子の人生の新しい出発点になるような気が、僕はしましたよ」
熊切監督「そうみていただけると嬉しいです」
映画の神様が降らせた奇跡の雪、「なんも、なんも」のシーンなど、『658km、陽子の旅』はぜひスクリーンでご確認ください。
(尾関)
小堀「ハリウッド映画なら、わざとこうやって降らせるかというぐらいのシーンもありました」
熊切監督「あれ、偶然なんですよね。最後は本当に奇跡。映画の神様が味方をしてくれたとしか思えないような感じで見事に降ってくれたんです」
小堀「映画の神様いますよね」
熊切監督「と思いたいです」
小堀「このロードの終点が、陽子の人生の新しい出発点になるような気が、僕はしましたよ」
熊切監督「そうみていただけると嬉しいです」
映画の神様が降らせた奇跡の雪、「なんも、なんも」のシーンなど、『658km、陽子の旅』はぜひスクリーンでご確認ください。
(尾関)
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