小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

林部智史、癒しの歌声が生まれる理由

3月26日、シンガーソングライターの林部智史さんがCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

癒しの歌声で日本の叙情歌を歌い継ぐ林部さんですが、そのストイックな歌との向き合い方について小堀勝啓が尋ねます。

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人気シリーズ4作目

今年『琴線歌 其の四 ~はやしべさとし 叙情歌を道づれに~』をリリースした林部さん。
叙情歌を集めた『琴線歌』シリーズはこれで4作目。
毎回15曲ずつ取り上げているので、本作で60曲になりました。

今回は「夕焼け小焼け」「七つの子」「赤い靴」「花のまち」「仰げば尊し」などの童謡や唱歌に加え、「なごり雪」「いい日旅立ち」などの昭和の歌謡曲も収録されています。

小堀「僕の年代でもわかる童謡や唱歌が必ず入ってて、もう耳にしなくなったいい曲がたくさんあります」

林部「実は半分以上聴いたことがない楽曲です」
 

敢えて歌い継ぐ

林部さんが聴いていない曲を歌う理由を明かします。

林部「僕の30代という世代は、音楽の教科書から歌が消えていった時代なんです。だから、コンサート、CDを含めて『歌い継ぐ』ということを大切にしていこうと思います。
あえて僕の世代だからこそ、その目標を立てました」

林部さんはいわゆる「ゆとり世代」。そこから後の世代と前の世代でギャップができている世代です。

例えば、学校が土曜休みになったり、昼食後の授業が1限少なくなったり。円周率は「目的に応じて3」と簡単になったり。

林部「いろいろ簡略化されていく中で、いまこの仕事をしていると、もっと学びたかったなと思いますね」

音楽で習う歌も、昔と今ではかなり違っています。

初めてなのに懐かしい歌

小堀「唱歌や童謡って、普通だと触れないかもしれない世界です。今はほとんどないですけども」

最近の音楽の教科書にはJポップや、ビートルズ、カーペンターズなどの洋楽も載っていますが、その代わり、日本の唱歌や童謡がなくなりました。

小堀「僕の世代の教科書でも、前の世代である大正、昭和初期の日本の世界観が歌われていたんですが、初めて聴いても懐かしい感じがあったんですよね」

林部さんも小堀に同意。

林部「不思議ですね。初めて聴くんですけど、DNAなのか?みたいな和を感じる歌だったり。歌詞も学べば学ぶほど面白い。余白がある歌が多いので大変面白いですね」

今回のアルバムに入っている「仰げば尊し」はかつて卒業式で歌われる定番の曲でした。
最近歌わなれなくなった理由は「我が師の恩」という言葉が、「先生を尊敬しなさい」ということになるからダメなんだとか。

林部「でも、それも歴史なので、僕はあえてコンサートで歌ってるんですけどね」

歌う時のこだわり

林部さんは歌う時、空腹で歌うことを心掛けているそうです。
緊張しすぎると吐き気を催してしまうため、その防止という意味もあるそうですが、何よりも空腹状態の方がいい歌が歌えるというのが持論。

林部「お腹いっぱいで幸せな歌しか歌えなくなっちゃうと怖い。空腹状態の方が飢えがあるじゃないですか。だから悲しい歌が悲しく歌える気がするんですよね」

小堀「ストイックですね。肉体的にも精神的にもあまりに満ち足りてしまうと、アンテナが鈍くなるようなところがありますもんね」

林部さんは、歌う時は朝から食べないこともあるそうです。

真逆のアプローチ

小堀「秋川雅史さんと仕事を一緒だったんですけど、お昼前に打ち合わせしてたら、ものすごく食べるんですよ」

林部「僕もお話させてもらったんですけど、いろいろ逆過ぎて。本当に食べるんですよね」

「千の風になって」で有名な秋川さんに、小堀も林部さんもびっくりしたそうです。
小堀は、あまりに食べる秋川さんに、「そんなに食べていいんですか?」と尋ねたところ「食べないと声出ないですよ」と言われたんだとか。

「しかも歌ってる時、その後の夜ご飯のことを考えてるって(笑)」と続ける林部さん。

林部「歌に関しては考えないんですか?って聞いたら、『歌い手が込めるもんじゃないから』って言われました」

小堀「違うもんですね」

その違いを面白がる林部さんでした。

こどもたちに教わること

林部さんは、現在『はやしべさとし 三十歳の旅立ち ~叙情歌を道づれに~』と題したコンサートツアー中。コンサートではこどもたちと合唱することがあるそうです。

「林部さんの歌を聴くと魂が浄化される思いがする」というファンの声がありますが、林部さん本人は「こどもの歌声を聴くと、まさに浄化される思いがする」とか。

林部「僕は、もうこの頃には戻れないなっていうことを感じますね。それにこどもって歌詞全部をかみ砕いて歌ってるわけじゃないじゃないですか。
ただ無垢に歌いたいように歌うんですよ。でも、それでいいんだなって勉強になりますね」

現在は30歳の旅。これから、40歳の旅、50歳の旅、60歳の旅は何を歌っていくのでしょうか。

林部「童謡、唱歌は色褪せないと思うので、その時の僕の歌い方で味が出せればと思ってます」
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2023年03月26日10時28分~抜粋

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