小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

マスカーニが書いたドロドロの歌劇にぴったり合う曲とは?

シンガーソングライターの平原綾香さんが、1月15日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

番組ではクラシックの名曲、エピソードを紹介するスペシャル企画『平原綾香と開くクラシックの扉』を放送。
平原さんが今回取り上げたのは、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲」です。

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パン屋の息子、作曲家になる

平原「マスカーニさんはフルネームがピエトロ・マスカーニ。おいしそうでしょ?」

小堀「ワインを抜きたくなる名前です」

平原「マスカーニさんは81歳まで生きました。嬉しくなっちゃう。クラシックの方って、すぐ亡くなってしまうイメージだったから」

クラシック音楽家はシューベルトが31歳、モーツァルトが35歳、フォスターが36歳と、若くして亡くなる人が多い印象。日本人では滝廉太郎が24歳で亡くなっています。

マスカーニは、パン屋の両親の元に生まれました。
父親は法律を学ばせましたが、音楽の道へ進み、才能を見出されて有名になりました。

胸アツな二人

マスカーニのライバルは、「蝶々夫人」「ラ・ポエーム」を書いているプッチーニ。
フルネームはジャコモ・プッチーニとちりめんじゃこ風で、こちらも食べたくなるような名前だというふたり。

平原「二人ともお金がなかったので共同生活してたんですって。すごいと思いませんか?胸アツですよね。
二人でお金を出し合って、一つの楽譜を買って、一生懸命勉強してたみたいです」

マスカーニは1863年12月7日生まれで、プッチーニが1858年12月22日生まれ。
マスカーニはミラノ音楽院に通う学生の時には、同じイタリア人で5歳先輩のプッチーニと同居をしていました。

天上の音楽

マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲」は平原さんにとっても縁深い曲だそうです。

平原「カバーをして欲しいというオファーをいただいて、『I Love You』というタイトルで、カバーしてるんです。尾崎豊じゃないんですけど」

平原さんが詞をつけアレンジした「I Love You」は、2019年リリースしたアルバム『はじめまして』の2曲目に収録されています。

平原「実際にカバーしましたが、本当に天上の音楽。天国を感じる曲って言うと変なんですけども、こんなに美しい曲ってあるんだろうかって思うような音使いなんです」

お話はドロドロ

平原「ですが、実際にこの『カヴァレリア・ルスティカーナ』というタイトルの歌劇を見たら、ドロドロのお話なんです。ドロドロです」

美しい曲なのにドロドロ。「カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲」は、フランシス・フォード・コッポラ監督の映画『ゴッドファーザーPART3』で使われていました。
ずばり『カヴァレリア・ルスティカーナ』を観に行くシーンもあります。

平原「歌劇では、最後決闘するんですけど、決闘するのも、相手の耳を噛んだら決闘の合図みたいな。耳を噛むって何?みたいな」

天上の音楽とは裏腹な歌劇の物語に、少し引き気味の平原さんです。

耳を噛む理由

シチリアの風習で耳を噛むのは、その決闘を受けるという合図だそうです。
映画『ゴッドファーザー』の登場人物イタリア系マフィアでコルレオーネ・ファミリーのドン、ヴィトー・コルレオーネの出身地がシチリア島のコルレオーネ村。

「カヴァレリア・ルスティカーナ」を書いたマスカーニはイタリア人。マフィアの起源はイタリアのシチリア島。19世紀から勢力が拡大していきました。

マスカーニが「カヴァレリア・ルスティカーナ」を書いたのが1890年。
この頃にシチリアマフィアの恐ろしさは、イタリア人なら知らない人がいないくらい有名だったと考えられます。

美しさが際立つ

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の中では、最後に決闘場所に行くまでの間に演奏されるのがこの間奏曲だそうです。

小堀「こんな綺麗な曲なのに、血生臭いことに行くという曲なんですね」

平原「だからこそ、この曲が怖いほどの美しさを放つんですよね」

映画でも決闘シーンや戦争の激戦のシーンで綺麗なクラシックが流れる時があります。

平原「そうすると余計物悲しくなるんです。そういうのを、マスカーニは、その時から意識して作ってたと思うと恐るべしです」

来月23日、名古屋市の愛知県芸術劇場大ホールで『平原綾香と開くクラシックの扉コンサート2023』が開催されます。
こうしたエピソードを持つ楽曲も裏話とともに楽しめるコンサートとなっているそうです。
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2023年01月15日11時08分~抜粋

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