小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

スーパー同時通訳者・田中慶子が語る英会話の極意とは?

著書『新しい英語力の教室 同時通訳者が教える本当に使える英語術』(インプレス刊)が大ヒット中の同時通訳者、田中慶子さんが、11月27日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』(CBCラジオ)に出演しました。

小堀勝啓が田中さんから英会話の極意を伝授してもらいました。

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高校時代は不登校

実は田中さん、愛知県出身です。

田中「私は小堀さんの声を聴きながら育ちました」

小堀「こんな立派な方が育って嬉しい。いやいや恐れ多いことです」

CBCラジオを聴いて育った田中さんは、天皇皇后両陛下、総理大臣、ダライ・ラマ14世、テーラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、U2のボノ、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンなど、名だたる人たちの同時通訳をしています。

意外にも保育園の頃から集団行動が苦手だったという田中さん、高校生の時にはとうとう不登校になりました。
勉強も好きではなかったそうで、この頃に英語を学ぶこともなかったそうです。

田中さん「不登校で大学進学もできない状態だったので、ギリギリ高校は卒業できたんですけども、その後逃げるようにアメリカに一人で渡って。
そこからはサバイバルイングリッシュですね」

この人の言葉を伝えたい

田中さんが通訳の相手として難しいというのがミュージシャンやアーティスト。
話すことがあちこち飛んで全体を捉えるのが難しく、しかも行間を読むことも必要で、毎回冷や汗をかくそうです。

しかしアーティストならではの感動もあるんだとか。
通訳の仕事を始めた頃、衝撃を受けたのがU2のボノ。テレビ番組の仕事でモニターを通しての通訳だったそうです。

田中さん「その時の話が本当に素晴らしくて。アーティストなので、ものすごく感性豊かで、同時にとても哲学的で意味が深いですよ。本当に訳すのが大変でした。
だけど『この人の言葉をちゃんと伝えたい』っていう気持ちが湧いてきたんです」

田中さんは、この仕事で「いつかボノに直接会って、通訳できる日が来るまで頑張ろう」と決意したそうです。
それから10何年経った2019年、コロナ禍の直前に直接ボノの通訳をする機会がやってきました。

田中さん「駆け出しの頃、直接この人の通訳をしたいと思った夢が叶った。だからU2のボノは、私には憧れであり、特別な人でもありますね」

ダライ・ラマはどんな人?

アーティストと違った意味で難しそうなのがダライ・ラマ14世の通訳。
ダライ・ラマはチベット仏教の最高指導者で、中国がチベット王国に侵攻すると1959年にインドへ亡命。
現在はインドにチベット亡命政府がありますが、中国はチベットを国として認めていません。

そんな政治的にセンシティブなものを背負ったダライ・ラマ14世ですが、インタビューではかなり奔放な一面も見せます。

SNSでは、来日時に、コンビニで紅茶のペットボトルを買う姿がアップされています。実際の印象を聞くと…。

田中さん「人間らしいと言うと失礼かもしれませんが、ジョークもおっしゃるし。そのジョークの中に皮肉とかいろんな意味を込めたりと、お話自体がものすごく魅力的な方なんですよね」

通訳する時は、本人が伝えようと思っているであろうことを可能な限り汲み取る努力をするそうです。

田中さん「完璧はあり得ないんですけども、通訳をしながら学ぶことが多かったと思います」

まず誠実な一人の人

田中さんが通訳で心がけているのは、英語を話す人がイメージするものを、日本語を話す日本人がイメージするものに置き換えること。

「タコつぼでぬくぬくしてちゃダメだよね」という英語の表現があるそうです。しかし、日本人には「タコつぼ」にぬくぬくするイメージはありません。
それを日本語に訳す際は、瞬時に「タコつぼ」を「繭」に変えるんだとか。

日本人からすると、安全なイメージが繭にはあります。言葉の表面を訳しても、相手が伝えようとしたことが伝わらなければ意味がありません。

田中さん「『言葉の奥にあるものを汲み取って訳しなさい』って先生に教わったことを思いながら、20年以上やっています」

田中さんの新著『新しい英語力の教室 同時通訳者が教える本当に使える英語術』を読んだ小堀によると、英語のことはほとんど出てこず、コミュニケーションのことがわかるとのこと。
素晴らしい同時通訳者は、まず一人の誠実な人である、というのが小堀の感想でした。

英語体力を上げよう

小堀「これを読んだら、自分の持っている少ないボキャブラリーで、英語でコミュニケーションするのが億劫でなくなりますね」

小堀が気に入ったのは「エア会話」のススメ。
エア会話とは、日常の、犬の散歩中などの中で、相手を想定して会話をすること。

田中さん「『英語体力』って呼んでるんですけども、自分の中の英語の知識をいかにうまく使いこなすのかを、どんどんやっていくと、自分の持てる力を最大限に発揮できるようになるんです」

日本人は、学校教育で、かなりの英語の語彙力がついているそうです。あとは、それを使って、英語体力を上げるだけ。
自分の中にある英語の知識をうまく活用すればコミュニケーションはできるそうです。

田中さん「英語は、使うことが一番のトレーニングなんです。『使う機会がない』、『リアルな人間相手にはまだ話せない』という方は、相手が目の前にいると思って、自分の口から英語を発してみることです」
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2022年11月27日10時31分~抜粋

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