小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

今こそウクライナを想いながら観たい名作『ひまわり』

ロシアによるウクライナ侵攻以来、各地で緊急リバイバル上映されているイタリア映画作品があります。

そのタイトルは『ひまわり』(監督ヴィットリオ・デ・シーカ)。
1970年に公開されたイタリア・フランス・ソビエト連邦(当時)・アメリカ合衆国の合作映画です。

4月17日の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』(CBCラジオ)では、なぜ『ひまわり』がいま注目されるのか、小堀勝啓が解説しました。

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聴くだけで泣けるテーマ曲

BGMは映画『ひまわり』のメインテーマ。数々の名作を手掛けた名匠、ヘンリー・マンシーニによる楽曲です。

小堀「聴くだけで涙腺がヤバくなってくる、いい映画です」

この映画は、今から52年前の1970年に公開されたイタリア・フランス・ソビエト連邦(当時)・アメリカ合衆国による合作です。
アカデミー外国語映画賞を始め、世界の映画賞を総なめして、日本でも大ヒットしました。

ヴィットリオ・デ・シーカ監督は『自転車泥棒』(1948)、『ミラノの奇蹟』(1951)、『昨日・今日・明日』(1963)、『悲しみの青春』(1970)などで知られています。
 

名作に日本が貢献

現在も目にすることができる『ひまわり』、実は日本も大きな貢献をしています。

昔の映画はフィルムで撮られていて、オリジナルはネガとして保存されています。
それをプリントして世界で上映されるのですが、そのプリントがだんだん劣化していくので、10年に一度ぐらいはオリジナルのネガから、もう一回新しいプリントを起こします。

しかし制作国でも『ひまわり』のネガは紛失していて、プリントしか残っていません。

そこで2011年と2015年、さらに2020年の3度に渡り、日本で修復が行われ、現在はHDレストア版が公開されています。
 

イタリア人らしい序盤

第二次世界大戦で引き裂かれた夫婦。マルチェロ・マストロヤンニ扮するアントニオと、ソフィア・ローレン扮する、その妻ジョバンナの物語。

前半はいかにもイタリアの若夫婦らしい陽気な新婚の日々が描かれています。

マストロヤンニ扮するアントニオが新婚の朝、「俺の親父は新婚の朝、卵を2ダース、24個も食って精を付けたんだぜ」とニヤッとすると、いやらしいという顔でソフィア・ローレンもニヤリ。

小堀「いかにも愛と情熱の国イタリアだなあというシーンです」

マストロヤンニは甘い風貌で、そしてソフィア・ローレンはグラマーな女優として人気でした。
 

夫は戦地へ

やがて第二次世界大戦は、この明るい夫婦にも暗い影響を与えていきます。

アントニオに召集令状が届き、なんとか夫を戦争に行かせないようにしようとする妻ジョバンナ。「夫は心の病」と偽り、アントニオを精神病院になんとか入院させます。

しかし、似たようなケースがあったことから病院と役所は仮病と見破り、遂にアントニオは戦地へ送られます。

そこは当時ソ連領だったウクライナ。
激戦地であることに加え、冬の極寒で兵隊たちは次々に倒れていきます。
 

夫を探してウクライナへ

やがて終戦を迎え、当時の敗戦国イタリアへは続々と傷ついた兵士たちが帰って来ます。
ジョバンナもアントニオの帰りを待っていますが、待てど暮らせど帰って来ません。

役所へ出向いたり、帰って来た兵士に聞いたりと、アントニオの消息を尋ねて歩きます。

そのうちに戦地でアントニオと一緒だったという男を見つけます。
その男によれば、味方のほとんどが飢えと寒さで死んでおり、おそらくアントニオも生きてないだろう、ということでした。

その場所がウクライナだと聞いて、旅立つジョバンナ。
 

夫、発見。しかし

ウクライナはひまわりオイルの一大産地でもあり、広大な土地に一面の黄色いひまわりが咲いています。
ここに夫がいるんだろうか?と佇むジョバンナ。

あるお婆さんが「ひまわりや麦畑やどの木の下にもにも、イタリア兵もロシア兵も何の罪もない農民や老人も子供も、みんなここに埋まってる」と呟きます。

諦めきれないジョバンナは捜し歩くうちに、向こうの村にイタリア人が住んでいるという噂を聞きつけます。

そこでは、まだ少女のような若いロシア娘と結婚して、幼い子供と暮らすアントニオの姿がありました。
放心するジョバンナ。
 

不朽の名作

二人は一瞬見つめ合いますが、言葉を交わさないままジョバンナは汽車に乗りイタリアに帰ります。
窓の外を眺める彼女の目には一面のひまわり畑。そこへ流れるのがヘンリー・マンシーニのテーマ曲。

「見てるだけで、胸がキューンと締め付けられるような映画です。戦争で引き離された二人はもう一回会う事になるんですけども、一回狂った歯車は戻ることがないんですよね。
ひまわりの映像と全編に流れるメインテーマ。本当に不朽の名作です」

実は小堀、最初に見た時にアントニオとジョバンナは会うことがないままだと記憶違いしていたそうです。

小堀「改めて見直したら、二人はまた会ってて、そこからまた話があって…という映画でした。いやあ戦争というものは、本当にいろんな人の運命を狂わせるなあ。そして青い空とひまわりの黄色。これはウクライナの国旗の色なんだなあと思いました」
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2022年04月17日11時03分~抜粋

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