小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

36年振りの主演『信虎』。寺田農が自分をアマチュアという理由は?

11月12日に公開が迫った映画『信虎』(監督:金子修介・宮下玄覇)で、36年振りの主演を務める俳優の寺田農さんが、11月7日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』(CBCラジオ)に出演しました。

寺田さんを学生の頃から映画で観ているという、現在71歳の小堀勝啓が本作について、また長く俳優を続ける秘訣も聞きました。

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人は見かけが100

スタジオに登場した寺田さんの出で立ちはネイビーのジャケットに白いパンツ、白いスニーカー。

小堀「ギラッとした色気がすごくあるなあと思いました」
寺田「昔から思ってたけど、人間って男も女も、見た目100%だね」

寺田さん曰く、性格が良いとか、頭が良いはその次だそうです。

寺田「特に私みたいな役者で表に出る人はね、カッコよくっていうのが自分の意識の中にありますね」
 

引き受けた理由

戦国武将人気ベスト10に必ず名が挙がる武田信玄ですが、本作はその父親である信虎の物語です。

息子の信玄に追放され、国を乗っ取られ信虎は、信玄亡き後、織田信長との決戦にはやる孫の勝頼を止め、武田家存続に知恵を巡らせます。
これまでありそうでなかった信虎にスポットを当てた作品です。

監督は平成ガメラシリーズの金子修介さん。共同監督・脚本・プロデューサーが宮下玄覇さん。

寺田さんは、金子監督、宮下さんの3人で会った時、「なんで主演が俺なの?」と尋ねたそう。
誰かに断られて、回って来たと予想していたそうですが、帰ってきた答えは違いました。

「77歳で間もなく喜寿を迎えそうな割には、まだまだ何かやりそうなスリリングなところがある。それと色気がある」という答えに、二つ返事で受けたそうです。

 

正統派時代劇

小堀「ガメラの金子修介さんが、どんな戦国絵巻を見せてくれるかなと思ったら絢爛豪華。しかも大正統派の重量級の映画にしましたね」

寺田「一昔前の日本映画の時代劇、特に戦国物なんかのきちんとした撮り方をしていたんです」

宮下さんは、骨董商でお茶、茶道具の専門家であり、さらに歴史家でもあるということで、ロケで借りたお寺も、信長がお茶を飲んだところと由緒ある場所ばかり。

寺田「僕は長い間、東映とか松竹とか、京都で時代劇をずいぶん撮ってきましたけど、今回5~6カ所行ったところは初めて行くお寺ばっかり。つまり普通には貸さないんですよ」

お寺自体が重要文化財指定を受けたいお寺もあるそう。柱の一本、床板の一枚、それらの持っている重厚感と光り具合は、セットでは出せないと語る寺田さん。
 

主役がすること

本作には、重文指定級の美術、調度品が、刀も含めて山のように出てくるんだそうです。

寺田「そういうものが舞台背景、シチュエーションとしてドンとそこにあればね、役者なんてちっぽけな作業でね。スッと頭を剃って墨染の衣装を着て、そこに座って何か喋れば、それだけで絵にもなるんですよ」

歴史があり、美しい調度品があれば、役者は何もせずとも画面が成り立つという寺田さんですが、即座に小堀は否定しました。

小堀「絶対思ってないでしょ。『絶対、俺が出なきゃ』という感じですよね?信虎と同じで画策してますよね」
 

この人、いったいどんな人?

小堀「僕は学生時代、ATGの『無常』や岡本喜八監督の『肉弾』で寺田さんを見て、大河ドラマには出るわ、特撮ヒーローものに出るわ、バラエティーにも出られてるし、どういう人かなと思ってたんですよ」

寺田「そういう人なんですよ。また、あなたに『信虎みたいだ』と言われるかもしれないけどね(笑)、僕は偉大なるアマチュアだと思ってる。プロフェッショナルじゃないのよ」

学生時代に舞台から映画の世界へ入って60年の寺田さん。
映画ができると、また次の映画へと活動してきたんだそうです。

実は寺田さん、完成してしまうとその作品から興味をなくしてしまうそうです。映画は結局監督の物という理由からなんだとか。

しかし、その中でも常連として作品に参加していた相米慎二監督と実相寺昭雄監督は別格だそうです。

寺田「これは一緒にやってて、どんな上がりになるのかすごく楽しい。ワクワク感があるからもちろん見る」

そんな寺田さんにとってのプロフェッショナルとは?

寺田「何か面白いことないの?って思う人はアマチュアなのよ。
同じシリーズを何十年やってらっしゃる方がいるけどね、僕はそういう人がプロフェッショナルな役者さんだと思うね」
 

好奇心でやってきた

小堀「映画に舞台に、ジブリ作品の声優もされてる。同じ人が、こんなに軽々といろんなことが出来るのか?特別なことがあるんですか?」

寺田「それは敢えて言うと、好奇心ですかね」

自分の知らない世界には、一回は首を突っ込んでみたい性分だそうです。そこで、つまらなければ、二度とやらなければいい、と言います。

寺田「何か面白いことないか?っていう好奇心。野次馬ですね。それで今に至る」

小堀「野次馬もここに至れば名馬ですね」

寺田さんは、その旺盛な好奇心でAV監督までやり、AVを撮った後はストリップ劇場の演出もしたそうです。

寺田「だから事務所も含めて、周りのみんなが許してくれてますよね。そのために大いなる迷惑を被っている人も山のようにいるかもしれないけれども、それは、まあご勘弁を頂きたいというわけです」

JR甲府駅南口に信玄像がありますが、北口には新たに信虎像ができたそうです。
これが寺田さんに似ていると話題に。本作『信虎』を観て足を運んでみてはいかがでしょう。
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2021年11月07日10時34分~抜粋

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