小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

悪人しか出てこないけどスタイリッシュ!映画『ジェントルメン』

5月7日から公開中のガイ・リッチー監督の新作映画『ジェントルメン』。

5月9日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、パーソナリティの小堀勝啓がクリーム「サンシャイン・ラヴ」に乗せてこの作品を紹介しました。

※画像は作中のものではなくイメージです

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全員悪人の映画

小堀「これ、登場人物が全員悪人です」

こういう映画は例えばクエンティン・タランティーノ監督『レザボア・ドッグス』、『ヘイトフル・エイト』など。日本だと北野たけし監督『アウトレイジ』があります。

小堀「日本の悪人ばっかりの映画って『仁義なき戦い』とかリアルで生々しいじゃないですか。ガイ・リッチー監督はリアル感というよりスタイリッシュです」

テンポの良いセリフとスタイリッシュな演出で、小気味いい裏社会映画になっているそうです。
 

いきなりスタイリッシュ

舞台はイギリス。

小堀「始まるとね、主人公のマリファナ王・ミッキーが昼間っからパブに入ってきます。いつもの生ビールとおつまみを注文。これがピクルスドエッグというゆで卵の酢漬けみたいなもの」

そしてミッキーがジュークボックスにコインを入れると、昔のロックが流れてきます。
一杯やろうとテーブルの上にバンッとビールを置いて、さてというところで彼の背中越しにドアが開いて、人が入ってきました。

小堀「彼のテーブルのビールジョッキがアップ。バーンと銃声がして、この彼のジョッキのビールにじんわりと血が滲んで来るんです。このオープニングがすでにカッコいい」

 

マリファナ王への道

マシュー・マコノヒーが演じるマリファナ王・ミッキーは頭はいいけれど、貧乏なアメリカ人でした。奨学金を得てイギリス名門オックスフォード大学に入学します。

しかし入学してみると、イギリスの上流階級の息子たちは自堕落で退廃的でした。イギリスは階級社会です。貴族の子弟とか大金持ちの息子たちとかは遊び三昧。

一生懸命、勉強して奨学金を得たミッキーから見たら、この級友たちは恰好のカモでした。ミッキーは勉強そっちのけで大麻栽培に励み、それを彼らに提供。
やがて学生たちを支配する間のカリスマになっていきます。
 

ガイ・リッチー独自の視点

小堀「ここがガイ・リッチー監督の今風な視点なんですが、実は貴族も体面を保つために大変なんです」

貴族の優雅さだけでなく裏事情もストーリーに取り入れています。

広大な屋敷の維持、庭の手入れ、上流社会の付き合いのために莫大なお金がかかり、懐は火の車。
その内情を知ったミッキーは、マリファナを提供する代わりに、イギリスの各地にある大きな庭園をタダで借ります。

いくら階級社会のイギリスとは言え、貴族の土地に非合法なものを育てるわけにはいきません。作ったのは巨大な地下庭園。ドローンで見ようが、地上からは全くわかりません。

小堀「これがまた今風なもんですよ。棚状になった水耕栽培。栽培師から大麻ソムリエとか、いろんなものを抱える巨大な組織になっていきます」
 

予測不能で小気味よい

ミッキーのビジネスは潤う一方。
やがて裕福な中年となった彼は裏社会からの引退を考えます。

この組織の総額は日本円にして総額500億円ほど。大麻ビジネスの買い手を探し始めるミッキーの周りに山のように人が群がってきます。

ユダヤ人の大富豪、ゴシップ雑誌の編集長、下衆な私立探偵、チーマーの連中をなんとか立ち直らせようとしているボクシングジムのオーナー、チャイニーズマフィアの若いボス。ひと癖もふた癖もある人たちばかり。ミッキーの妻でさえ得体が知れません。

小堀「敵味方入り乱れて、予測不能なストーリーが進んでいきます。全くどうしようもない話なんですが、これが実にスタイリッシュ。小気味よいものに出来上がっています」
 

これぞガイ・リッチー

ガイ・リッチー監督は『シャーロック・ホームズ』やディズニーの実写版『アラジン』などで、近年は健全なヒット作を放っていますが、本作ではデビュー作の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『スナッチ』の作風が戻ってきました。

小堀「本来の彼の持ってる毒な部分の新しい映画ができました。やっぱりガイ・リッチーの根底はこういうところだよなあと思わせる、そんな映画に仕上がっていました」

『ジェントルマン』は一見の価値がある作品のようです。 
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2021年05月09日11時02分~抜粋

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