小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

愛知県は聖地がいっぱい。映画、アニメを支援するフィルムコミッションとは?

3月21日『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、「カラー映画の日」にちなみ、映画を支援する「フィルムコミッション」について紹介しました。
いったいどんなことをしているのでしょうか?

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純国産にこだわる

コーナーは映画『蒲田行進曲』のテーマで始まりました。
この曲は、松竹大船撮影所のテーマソングのような曲なんだそうです。3月21日は「カラー映画の日」。

1951年、昭和26年の今日、国産初のカラー映画『カルメン故郷に帰る』という映画が公開されたことにちなんで制定されました。

『カルメン故郷に帰る』は木下恵介監督、高峰秀子さん主演。国産初のカラー映画。それまでもカラー映画はあったのですがフィルムが外国製。『カルメン故郷に帰る』は、富士フィルムと松竹が協力して作った純国産のカラー映画でした。
 

歓迎、映画御一行様

『カルメン故郷に帰る』は、山麓ののどかな村で生まれた女の子が東京に出て、成功して帰ってくるという話。
東京で大人気のストリッパーになって帰ってくるのですが、何かの行き違いで、村では大芸術家になって帰ってくるということになっていました。

芸術を披露してくれるということで、歓迎式典も用意され、村中てんやわんやになっていきます。

小堀「これはオールロケでした。3ヶ月も、浅間山麓に人気女優や映画のご一行が滞在して、当時は大変な歓待を受けたという話を伝え聞いてます」
 

フィルムコミッションの登場

『カルメン故郷に帰る』が今から70年近く前の、のどかな時代の話です。それから時代が進んで、映画のロケが色んな所で行われるようになりました。特に都市部のロケは大変。

交通渋滞の問題。公共施設を使う際の許可が出るのか?アクションシーン、爆破シーンに伴う安全性の問題など、制作サイドは非常に苦労する時代がやってきます。

そこで登場したのが「フィルムコミッション」です。特定非営利団体ですが、多くが、自治体と協力して、スムーズな映画やドラマのロケができるように便宜を図るというシステムです。

具体的には、ロケの許可を取る、通行止めなどの申請を警察に出す、エキストラの手配、制作意図に沿った場所のロケハンなどを行います。もちろん無料です。
 

日本初のフィルムコミッション

「フィルムコミッション」は映画先進国のアメリカで発祥しました。警察、ハイウェイパトロール、道路公社、交通局、消防署、州兵、場合によっては軍隊にも話をつけ、ロケ申請をして、スムーズな映画製作の世話をする。こういうシステムです。

アメリカでは1940年に始まり、今では州や市町村ごとに、たくさんのフィルムコミッションがあります。日本ではアメリカに遅れる事60年、2000年に初めて大阪にフィルムコミッションができました。
 

大阪から全国へ

最初のフィルムコミッションがなぜ大阪に出来たかというと、大阪ではハリウッド映画『ブラックレイン』が撮影されたからなんです。監督はリドリー・スコット。日本からも高倉健さん、松田優作さんなどが出演していました。

1989年公開の映画で、最初のロケ地は新宿歌舞伎町が候補でした。しかし警察の協力が得られず、比較的融通の利く大阪に変更されました。それでもロケではトラブル続きだったそうです。

結局、10週間の撮影計画を5週間で切り上げ、あとはアメリカで撮影されたんだとか。この時に、アメリカではロケに協力するフィルムコミッションというものがあると分かり、大阪が口火を切って、「大阪フィルムカウンシル」を作りました。

今や、これが広がって、日本全国に 300を超えるフィルムコミッションがあります。
 

愛知はシネマパラダイス?

小堀「愛知県はなかなかのシネマパラダイスです」

県内の市町村には「なごや・ロケーション・ナビ」「愛知フィルムコミッション協議会」を始め、フィルムコミッションが多数あります。

小堀「『劇場版 MOZU』を見た時は、丸の内で、車停めてカーチェイスとか、大変なことをやってるじゃないかとびっくりしました」

『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『ビリギャル』などの映画や、『半沢直樹』、『華麗なる一族』といった人気ドラマの撮影が愛知県下で行われました。
重厚なシーンでは愛知県庁や名古屋市役所、名古屋市市政資料館が使われてたりしますね。
 

映画もアニメもウエルカム

映画、ドラマのみならず、漫画、アニメの舞台にもなってます。『うさぎドロップ』、『響け!ユーフォニアム2』、『終わりのセラフ』などです。テレビ塔が破壊されていたりと、実写ではできない部分が面白いところです。

漫画、アニメともなると聖地巡礼に出かける人がいて、そのための案内ページもできています。これらは全て無償。その理由はなぜなのか?

ヒット作の舞台となると、PR効果で知名度が抜群に上がります。聖地巡礼のブームともなれば外国からも観光客がやってきます。それまで、これといった名物がなかったところに来てくれて、お金も落としてくれるので経済効果も抜群です。

『ブラックレイン』の時代は許可を取るだけでも大変だったのが、今では「来て下さい」という状態。各フィルムコミッション、ロケーションナビの呼び込み競争も激しくなっているそうです。
 

助監督はつらいよ

小堀「僕はかつて、ある映画監督から、こんな話を聞いたことがあります」

その監督の助監督時代の話。師匠についた監督がゲリラロケが大好きな人。「お前を助監督に抜擢する」と言われて喜んだそうですが実態は…。

いつもゲリラロケが終わると、現場でトラブルが発生して、必ず警察に呼ばれることに。警察に行くのは助監督の役目。助監督とは名ばかりで、そのための謝り要員だったそうです。

小堀「今や、それが隔世の感があります。どうぞロケに来てください。各フィルムコミッションは市町村、自治体とも合体して協力体制万全。いい時代になりました。名古屋でもどんどんいい映画が出来てくるといいなあと思っております」
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2021年03月21日11時03分~抜粋

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