小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

1本観たら止まらない!ジャン=ポール・ベルモンド傑作選

名古屋市の都心・栄エリアからも近い東区東桜にある名演小劇場。ここで現在「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」が連続上映中です。
11月8日『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、小堀勝啓がこのフランスの俳優の魅力を語りました。

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アラン・ドロンと人気を二分

まず流れたのは映画『恐怖に襲われた街』のメインテーマ。

小堀「このメロディ。エンニオ・モリコーネだと分かりますね。映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ。じゃあイタリア映画?いえフランスです」

ジャン=ポール・ベルモンドは、アラン・ドロンと人気を二分したフランス映画界の大物俳優です。アラン・ドロンは85歳。ジャン=ポール・ベルモンドは二つ上で87歳です。

典型的な二枚目のアラン・ドロンに対して、ベルモンドはいわゆる個性派俳優です。

小堀「写真や映像を見てもらうとわかりますが、なんかヘチマをひねったような顔の人です」

マンガ家のモンキー・パンチさんが『ルパン三世』のモデルにしたとも言われるベルモンド。
ジャン・ジャック・ゴダール監督と組んで、ヌーヴェルバーグという映画の新しい波に乗って活躍。『勝手にしやがれ』、『気狂いピエロ』といった映画史上に名を残す作品に出演しました。
 

ヌーヴェルバーグだけじゃない

ベルモンドという俳優は、前述のゴダール監督とのコラボレーションだけでは語れません。小堀は自身の好きなビートルズを例に挙げました。

小堀「ジョン・レノンを『イマジン』1曲で、愛と平和な人と定義してしまうのと似ているような気がします。それは狭い解釈で、荒々しく尖ったロックン・ローラーのジョン・レノンの一面を語らずして、『イマジン』の深さも出ないんじゃないかと思います」

今回、連続上映されるのがヌーヴェルバーグ期の作品ではない8本。それぞれアクション、ハードボイルド、コメディといった娯楽味たっぷりの作品です。

ベルモンドはスタントマンを一切使わず、自分で演じた人。身体のキレの良さ、ユーモアセンス、哀愁のある演技、テンポの良さなど、どの作品も役者としてのベルモンドの魅力にあふれています。
 

思わず、声を出しちゃった

上映作品のひとつが1975年公開の『恐怖に襲われた街』。
この作品は、後の『ダーティーハリー』、ジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー / 香港国際警察』『ミッション:インポッシブル』など、様々な作品に影響を与えています。

『恐怖に襲われた街』では、ベルモンドが初めて刑事役を演じました。次々と起こる美女連続殺人事件。パリは恐怖のどん底に叩き落とされます。挑戦的なメッセージが警察や新聞社にも送られてきます。

自分の身体の、例えば足とかズボンのところだけ撮影して送りつけ「これが俺の身体の一部だ。少しずつ送っていくぞ、解決できるのか?」と挑戦的な犯人。
映画の分野としてはサイコ・ミステリーに近く、加えてハードボイルドアクションもあります。

小堀「一回この男を手が届くところまで追い詰めるんです。だけど取り逃がしてしまう。パリの古いアパートの上での追跡劇。足元が崩れ落ちたりして、すごくドキドキします。観ながら僕は、何回も『あ~』と声を出しちゃいました」
 

1本観ると病みつき

その後にベルモンドが作ったのが1976年公開『危険を買う男』。
ベルモンドは警察と司法が手を出せない凶悪犯の始末を闇で請け負いお金を稼ぐ男、一匹狼の凄腕ハンターを演じています。

もちろんアクション、スタントは全てベルモンドが自分で演じています。松田優作さんの『遊戯シリーズ』が好きな方にもオススメです。

その他に、いろんな顔を持つ警察官を演じる『警部』。スタントマンとスタントウーマンのカップルのコメディ『ムッシュとマドモアゼル』など8本。作品によって違う味が出るベルモンドの魅力が楽しめます。

小堀「アメリカのジェットコースタームービーのような感じだけではなく、何重構造にもなってるストーリーで楽しませてくれたり、1本観ると病みつきになるんですよ」

まだDVD化されていない作品も含まれるので、スクリーンで観てみてはいかがでしょう。「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」、名古屋では名演小劇場で。全国でも順次公開されます。 
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2020年11月08日11時03分~抜粋

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