小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

押尾コータロー。沁みるアルバムができた理由

ギタリストの押尾コータローさんが、10月11日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』(CBCラジオ)にリモート出演しました。

9月30日にニューアルバム『PASSENGER』をリリースしたばかりの押尾さんに、コロナ禍での本作制作秘話やギター愛を小堀勝啓が尋ねます。

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試しながら制作

アルバム『PASSENGER』では16本ものギターを使ってレコーディングしたそうです。
なぜこんなにギターを使ったのでしょう?

「16枚目にもなると、スタッフ、レコーディングエンジニアといろいろ試しながら楽しんで録音しましたね」

ギター選びはもちろん、大理石の床の上で弾いてみたり、床に布を敷いてみたり。
さらに昔の電子ピアノについているインプット部分にギターを挿して、エフェクターを使ってみたりとマニアックなことも。
結局音が良くないのでやめたりと試行錯誤の繰り返しだったようです。

「ギターもそろそろネタがなくなってきたなとか言いながらね、一曲ずつ全部違うギターにしてみようかなという話になったんです」

そんなわけで15曲収録、16本のギターを使ったアルバムが出来上がりました。
 

まるで我が子のデビュー

本作では、今までライブでしか使わなかったギターもレコーディングに使用したそうです。

「1曲目『GOLD RUSH』って曲は愛媛県のKAMEOKAってギターなんですよ。そのギターはライブ専用で、バラードを弾かせたら秀逸なギターだったんですよ。レコーディングで名前を飾ってあげたら、このギター、めっちゃ喜ぶと思って」

ちなみにこのKAMEOKAは、愛媛県のギタールシアー(ギター作家)亀岡さんの作です。

ライブにもレコーディングにも参加してないギターも、このアルバムで紹介しようという思いで、全曲異なるギターで録音したという押尾さん。

「我が子をデビューさせてあげたいみたいなね。この子も紹介してあげないと、もう不憫で不憫で、みたいな」
 

フレットレスのアコギ

今回、デビュー前のギターたちだけでなく、フレットレスギターも使用。フレットレスベースやウッドベースの響きが好きだと言う押尾さん。

「フレットレス(エレキ)ギターって、カシオペアの野呂一生さんとかも使われてるんですけど、アコースティックギターではあんまり聴いたことないなあと思って」

押尾さん、行きつけのギターショップでフレットレスギターが作れるかを問い合わせると、二つ返事でOK。

「職人さんがすぐフレット抜いてくれて、 綺麗にちゃんと処理をしてくれたんです。だから、すぐレコーディングできたんですよ。その職人魂に感激しましたね」

フレットレスのアコースティックギターを弾いて、押尾さんが改めて思ったことは、三味線、バイオリン、チェロなどの演奏家のすごさだそうです。しかも三味線もバイオリンもチェロもフレットの線がありません。

「ギターは良いことに、フレットを抜いたところの跡が残ってるんですよ。それを消すこともできるんだけど、消さない方がいいじゃないですか。それで助けられました。とはいえ難しかった」
 

若手にもリスペクト

長いギタリスト生活の中でも、まだまだやっていないことがあるという押尾さん。若手からも刺激を受けるそうです。
最近は、30代で押尾さんよりも上手いギタリストが大勢出てきてるんだとか。

「そんな奴らに、まだまだ押尾はスゴイだろってイイ格好しないといけないので、あの手この手を使って、まだまだ若いのには負けられないぜって思いながらやってます」

彼らがやっていないことをしようと考えながら、そして彼らがやっているスゴイと思う部分は取り入れながら活動しているそうです。最近の押尾さん注目の若手を聞くと…。

「崎山蒼志さんって弾き語りやる人なんですけど、まだ高校生かな。めっちゃギターも上手くて、ギターのカッティングも上手くて、歌も凄くて、世界観を持ってるんです。こんなヤツが出てきたのかと思いましたね。若手からいっぱい教えられることがあります」

もう一つ名前が挙がったのがギターデュオのDEPAPEPE。30代と40代の二人なので、年齢的には若手はありませんが、年上の押尾さんから見れば刺激的な若手だそうです。

「DEPAPEPEのメロディセンスとか素晴らしいなと思って、いつも嫉妬したりするんですよ。いい曲作るわと思って。やっぱり、そこはリスペクトしてますよね」
 

エンターテイメントの明暗

大阪在住の押尾さん、コロナが落ち着いてきた9月22日、人数制限をしながらも大阪城ホールでコンサートに参加。

「南こうせつさん、イルカさん、森山良子さん、杉山清貴さん、馬場俊英さん。このメンツで言うと、僕と馬場俊英さんが一番若手っていうメンツでした」

南こうせつさんに至っては71歳、古希を過ぎています。

「高齢な方が来てくれたんです。これすごくないですか?南こうせつさんと同世代の方とか、僕らの世代の50代とかが来て、それって本当にライブを生で見たいっていう人が年齢を問わずいるってことですよね」

人数制限はあっても、エンターテインメントにとっては明るい兆しです。かたやコロナ禍で持ちこたえられず廃業したライブハウスもあります。それが、名古屋の聖地だった名古屋ブルーノート。通常なら11月6日に押尾さんのライブがありました。

「もし名古屋ブルーノートが再開するなら、何かお手伝いしたいです。本当に何もできなくて本当に非力で申し訳ないなと思って、楽しみにしてた人もいるし、名古屋ブルーノートはいっぱいラインナップも載ってて、こっちも宣伝したしね。残念です」
 

作者には沁みるアルバム

コロナ禍で作られたアルバム『PASSENGER』について。楽しみながら制作したそうですが、今では通常と違った思いがあるようです。

「何かいちいち、曲のタイトルが全部、沁みてくるわけです。その時は、こんなコロナ禍になるとは思ってなかったんで」

3曲目「韋駄天」は、オリンピックを控え、NHK大河ドラマ『韋駄天』もあり、マラソンランナーを応援するような曲をと作ったのですが、まさかのオリンピックが延期。

「8曲目『週末旅行』だってそうだし、6曲目の『Shanghai Lover』だって、今度、また中国行くしなあと思って曲を作ったんです。今聞くと全部沁みてきますよね」

リモートながら生演奏で「GOLD RUSH」を披露した押尾さん。

「生で聞いたら、風圧とかすごいだろうなあ」と言う小堀勝啓に、「また演奏しに行きます」と答える押尾さんでした。 
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2020年10月11日08時18分~抜粋

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