シンガーソングライターの伊勢正三さんが、2月9日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。
昨年16年ぶりとなるオリジナルアルバム『Re-born』では、全曲書き下ろしでソングライターとしての力量を見せつけた伊勢さんですが、今回はギタープレイヤーとしてのこだわりについても語ります。
歌は浮かんでくるもの
小堀「去年出たアルバムがすごく良くて。正やんは基本、恋する男だなあと思います」
小堀は、16年ぶりのオリジナルアルバム『Re-born』収録曲の「冬の恋」が気に入っているようで、歌い出しから歌の世界に入り込む、と言います。
伊勢「歌って作ろうと思ってできるんじゃなくて、浮かんでくるんですよ。あそこんところは、ある時、ピアノでコードをパーンって弾いた時に、いきなり浮かんできたんです。ああいうタイプの曲ができたのは、『22才の別れ』とか『雨の物語』以来かもしれない」
「22才の別れ」は1974年、フォークグループのかぐや姫にいた頃に作った曲。
「雨の物語」は1977年、イルカさんの6枚目のシングルとして書いた曲です。
小堀「僕は『冬の恋』を、グラシェラ・スサーナにカバーさせたいなと思いました」
伊勢「あれはフレンチポップスを意識して、アレンジするときもコード感浮かんできたりしてたんで、その意見は本当に当たってるんですよ」
自分は歌書き
伊勢「僕の自覚としては、自分は歌書きなんですよね。特に音楽が得意だったわけじゃないんだけど」
小堀「かぐや姫の中では抜きん出た音楽性の人、というイメージがあります」
伊勢「そんなことないですよ。僕、かぐや姫に入ってた時、自分のギターも持ってないぐらいだったし」
かぐや姫時代の伊勢さんは、クラウンレコードのスタジオにあったギターを借りて弾いていたそうです。
伊勢「僕の師匠は石川鷹彦さんです。あの人の弾いたフレーズを、なんとなく真似して弾いてるうちに弾けるようになったんです」
石川鷹彦さんはアコースティックギタリストの象徴的存在。1970年代、数々のミュージシャンのバックを務めました。
押さえるのは一瞬
意外にも、運指や指慣らしをほとんどやったことないという伊勢さん。
伊勢「だからアマチュアのヤツと一緒で、ライブの度に『指が痛てぇ』って言いながら弾いてるんですよ。昨日だって、ギターソロが長かったから、こんなんなっちゃった」
小堀に手を見せる伊勢さん、割と華奢な手をしていました。
伊勢「押尾コータロー君みたいに指がデカいと、自分の作ったコードが押さえられるのになぁって思うんですけどね」
良い音色を出したい
手が小さい人の方がコード押さえがいいという話もありますが…
伊勢「左手でフレットを押さえる時はすごい力を入れるんです。アコギはずっと押さえてると指にくる。だから、弾く瞬間のほんの0.何秒だけ、キュッて力を入れることを自然に覚えちゃった。逆にエレキを弾くと強く押さえすぎてピッチが悪いんですよね」
小堀「そういうもんですか」
伊勢「エレキとアコギは全然違う楽器です」
さらに、こんなこだわりも。
伊勢「上手に弾こうっていうよりも良い音色で弾きたいので、リードを弾く時は、ピックじゃなくて指で弾くことが多いんですよ。そうすると柔らかい音が出るんです」
歌う時はピックで弾いているのですが、間奏に入るとピックを口に咥えて指で弾き始めます。女性ファンは、そんな仕草にぐっとくるんだとか。
他人の歌を歌ってみたい
自身を「歌書き」と表現する伊勢さんですが、意外な野望があるようです。
伊勢「カバーアルバムっていうか、他人の歌を歌ってみたいなって思う時がある」
具体的には坂本九さん、西田佐知子さん、ザ・ピーナッツなどの昭和歌謡を歌ってみたいんだとか。
伊勢「日本が音楽に対して純粋だった頃…たぶん昭和30年代だと思うんだけど、あの頃の日本の歌ってすごくいいんですよ。うまく洋楽を取り入れて、演歌でもないし、いわゆる『歌謡曲』というジャンルです」
アルバム『Re-born』の中にも、中村八大さん作曲の「黄昏のビギン」(1959年)に影響を受けた曲があるそうです。
伊勢「当時の曲は凄いオシャレですよね。中村八大さんとか、いずみたくさんとか、宮川泰さんなんかの作曲家ってすごいなぁと思う」
俺って本当は何が好きなんだ
なぜ昭和の歌謡曲に魅かれるのでしょうか。
伊勢「AORっぽいものをやりたいとか、経験を積むとジャズコード入れたりするじゃないですか。そうすると逆に歌うのは難しくなる。俺って本当は何が好きなんだろうと思うと、あの頃の歌なんです」
入浴中に鼻歌で出てくるのも昭和歌謡なんだとか。
伊勢「余裕があれば、そういうこともやりたいなと思ってますけど、歌書きとしては、新しい恋の歌をたくさんを生み出したいと思います」
(尾関)
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2020年02月09日10時02分~抜粋