小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

クイーンを日本に広めた東郷かおる子、音楽の未来を示唆

元『ミュージック・ライフ』誌編集長、東郷かおる子さんが、4月7日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』にゲスト出演しました。

東郷さんは、70年代前半にいち早くフレディ・マーキュリーはじめメンバーを紹介し、英語圏各国以上に日本でクイーン人気を広めた第一人者です。

かつて『ミュージック・ライフ』の読者であったパーソナリティの小堀勝啓、やはり最初に尋ねたのはクイーンのエピソードでした。

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クィーンをあそこまでにした人

小堀「僕たちの中では東郷かおる子さんが、クィーンをあそこまでにしたっていうイメージがあるんですよ」

東郷「たまたま日本でデビューする前のクィーンのステージを見る機会があって、あのヒラヒラの衣装は絶対、日本の女の子にウケるなと思ったんですよね。
どうしてかというと、少女漫画の世界とクイーンのメンバーが持ってた世界観が共通するところがあったんです」

しかし、実際に会ってみるまでは不安があったそうです。
例え写真で、可愛くて奇麗でも演奏が下手ならダメ。そういう意味で女の子の目は厳しいんだそうです。
 

あのヒラヒラは絶対売れる

イギリスのロックバンド「モット・ザ・フープル」のアメリカツアーで、前座をクイーンが務めることを知った東郷さん。現地でしっかりチェックしました。

「30分ぐらいしか演奏しませんでしたけど、フレディが最初に、あの白いビラビラの衣装でギャーンと出てきた瞬間に凄いなと思って。これだったらミュージックライフが推薦してもいいだろう、という気持ちにはなりました」

当時は男性の著名な音楽評論家が幅を利かせていた時代。
東郷さんや先代編集長の星加ルミ子さんといった女性評論家の意見は通りやすかったんでしょうか?

東郷「どなたとは言いませんが、当時の日本って『アメリカで売れたものが一番』っていう感覚があったんですね」
 

ミュージックライフの凄さ

業界に長くいればいる人ほど「アメリカで売れないと世界的では売れない」という感覚が染みついていたそうです。
しかし若かった東郷さんは…。

東郷「業界の仕組みなんてわかりませんし、私も凄くファン気質なもんでしたから、私が良いと思ったものを、読者の女の子がヤダって言うわけがないというヘンな自信があったんですよ。
アメリカで売れてない?それがなんなの?という非常に小生意気な人でしたね」

当時の東郷さんは非常にきっぷのいい姉さんだったようです。

小堀「僕はミュージックライフという雑誌はスゲエなと思うんですよ。そういう若い姉ちゃんに行って来いと言って、どんどん特集をさせる。そうやってお金を使う会社は素晴らしいですよね」

東郷「やっぱり、初代編集長の草野昌正一さんが偉かったんだと思うんです」
 

皆で歌える歌がない

80年代は洋楽の黄金時代。CDが一番売れた時代です。
90年代に入ってインターネット配信が登場すると、CDが衰退しました。
21世紀に入るとミュージシャン自身が配信するようになりました。

東郷「70年代からの人ってのは、ミュージシャンって非日常の世界に住んでると思ってたわけじゃないですか。滅多に会えない、歌声を生で聞けることも滅多にない。
でも、そういう滅多にないことが、頻繁にあることになっちゃった。だからある意味でスターが出にくいですよね」

レコード、CDに代わって配信で音楽が広がる時代になりました。
これからの世の中はどう音楽と接していくのか?疑問をぶつける小堀。

東郷「何年も前になりますけど、紅白歌合戦見てると、全然その人のことを知らなくても一緒に唱えた曲がいっぱいあったんですよ。おばあちゃんもお父さんもお母さんも妹も、皆、歌えたんですけど、最近は一緒に歌える歌がないんですよね」
 

バラエティに富んだ時代

昔はどこかで流れているので、皆が同じ歌を耳に挟んでいました。また、この音楽は若い人向きとか、この音楽は中年向きとか、今のように音楽の垣根がありませんでした。

現在は皆で歌える歌が少なくなりましたが、こんな状況になっています。

東郷「例えば中学3年生ぐらいのお子さん達が、テイラー・スウィフトを好きで聴いているとすると、テイラー・スウィフトの隣ぐらいの感覚でビートルズを一緒に聴けるわけです。それは凄く素晴らしい世界ではないかなと思うんですよね」

さらに、そのテイラー・スウィフトとミック・ジャガーがコラボする時代となりました。

「私の好きなテイラー・スウィフトが一緒に歌ってるこのおじいさんは誰?実はミック・ジャガーだった、みたいな感性があればいくらでも聴けるんですよ。

私たちの時代は与えられた情報しかありませんでしたから、どっちが幸せなのかよくわかりませんけど、今はバラエティに富んだ時代ですよね」

音楽の未来について、決して悲観視していない東郷かおる子さんでした。 
(尾関)
 
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2019年04月07日08時23分~抜粋

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