小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

怒髪天・増子直純「裸で歩いたら捕まるから、心ぐらいは裸で行こうぜ」

7月11日、ニューアルバム『夷曲一揆』をリリースしたばかりの怒髪天・増子直純さんが、15日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

自らの音楽を"ジャパニーズR&E(リズム&演歌)"と呼ぶ怒髪天。今回は音楽を続けている原点についての話題です。

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男らしいジャケット

「冗談みたいに男らしいジャケットですから」

新作『夷曲一揆』をこう表現する増子さん。白い褌を締めた男のジャケットです。

「増子さんは褌が似合うなあと思ったんですが、これは違う人なんですね?」と小堀に、「これはグループ魂のドラムの"石鹸"こと三宅弘城って、朝ドラも出てたんですよ。元々、体操やってたみたいで鍛えてますから、良い身体です」と増子さん。

三宅さんはグループ魂のみならず劇団ナイロン100℃でも有名。
お子さんのいる家庭ではNHK Eテレの『みいつけた!』の体操のおじさんとしてもおなじみです。

タイトルは?

今回のアルバムタイトルをいきなり読める方は少ないでしょう。

「夷曲(ひなぶり)という言葉は、アルバムのタイトル考える時に調べて見つけた言葉なんです。和歌のことで、田舎から出てきたやつが歌った田舎風の歌であるとか、訛りが残ったまんま歌った歌だとか、あと、田舎を歌った歌をいうんです。

北海道から東京に出て来て27年。やっぱり田舎モン感はずっとつきまとうんですよ。そういう奴らが起こすレボリューションみたいな」

これが『夷曲一揆』(ひなぶりいっき)の命名の理由。

「東京といったって田舎モンの集まりですから」と、同じく北海道出身の小堀。
「ホントそうなんですよ。やっぱり故郷を背負って戦う生き様こそ、力入りますね」と増子さん。
 

今の若手は可哀想

怒涛の27年間ですが、武道館公演を成し遂げたのは2014年と、遅咲きの怒髪天。

増子「武道館が目標だったわけじゃないんで、たまたまもらったご褒美みたいなもんです。良い曲作って良いライブやるってのが、やっぱりバンドの本懐ですから。それをやってくだけ。特に燃え尽きることもないですね」

小堀「"バンドの本懐"って、よく言ったと思うんですが、ロックバンドのロックバンドたるものは何かという曲が、『夷曲一揆』の中には山のように入っています。バカ野郎、おかしいじゃねえか、と言いまくってる」

この小堀の指摘に、増子さんは堰を切ったように語り出します。

「今の若いバンドが可哀想だなと思うのが、何か言ったり、曲作っても、すぐ揚げ足取られて右だ左だって言われる。そんな簡単なフォルダー分け、出来るわけないじゃないですか。で、変に空気を読まされて、謝らされたりね。

コンプライアンスってのを芸人とロックバンドに求めるのはナンセンスです。そういうこと出来ないからロックバンドをやってんだから。ロックバンドはもっと感情的でね、軽はずみでいいんですよ。

それ、どういう根拠から?なんて言われても、何となく気に入らないからで十分なんです。そう言うんだったら代替案出せよって言われて、出せるくらいだったら政治家になってますからね。できないからロックバンドやってるわけですから」

バンドを組んだ意味

とは言え、『夷曲一揆』を発表する前に一応心配したという増子さん。

「言いたい放題言ってるんで、最初うちのテイチクというレコード会社に、これ出すけど、どうだ?と聞いたんですよ。そしたら『ガンガン行きましょう』って。行けるんですよ!好きなこと言っても全然、どこでも大丈夫なんですよ」

小堀「好きなこと言うと言っても、人の悪口を言って傷つけてるとか、そういうことじゃないからね」

増子「みんなが誰しも思ってることを言ってるだけなんです。そういうのを制限されたり、自主規制みたいにしていくと、結局、ラブソングしか歌えなくなっちゃうんですよ。

当たり障りのないことしか言えなくなって、それはロックバンドではないですよ。ラブソングも素敵なのいっぱいありますけど、ロックバンドっていうのは、それ以上の思ったことを叫んでナンボみたいな。そのためにバンド組んだんですからね」
 

ロックマジック

『夷曲一揆』の1曲目は「裸武士(ハダカブシ)」。
「これは日本でしか生まれないロック」と豪語する増子さん。

「ロックマジックっていうのがあるんです。我々世代は洋楽を聴いて、うわ~カッコいいってレコードなりCDを買って、ブックレットの対訳を見ると、なんだこれ?っていうのがよくあったじゃないですか。バカみたいなこと言ってるだけの曲」

内容がない英語の歌詞でも、良い曲にのせるとカッコよくなる。それが増子さんの言うロックマジック。

増子「その逆で、“すっぽんぽん”って言葉も、ロックソングに乗せると何となくカッコよく聞こえてくるというね」

小堀「しかも歌詞もちゃんとしてる。いきなりアダムとイブの物語、創世記ですね」

増子「やっぱり大人になるにつれて、本心を曝け出せなくなる。仕事の関係とか、人間関係も色々ありますからね。だけど生まれた時、裸なんだから、心ぐらいは裸で行こうよ。物理的に裸で歩いたら捕まりますから、心ぐらいは裸で行こうぜ、という曲です」

ラブ・アンド・ピースと言う理由

話題は続く「HONKAI」について。

「これはね、盛り上がりますね。フェスとかでも初めて聴いた人たちでも一番聞いて、二番聴いていくと、客席の熱が全然違いますね。これがロックだと思いますよ。で、誰しも思うことだと思うし」

こう語る増子さんに、小堀は「70年代の日本のフォークが持ってた本音の部分が見事に出てる。ボブ・ディランも大喜びという感じです」と絶賛。
今の社会情勢に物申す、まさにプロテストソングのような歌詞です。

「本当に危機的状況と言うかね。自分たちが若い頃思ってたよりも、状況どんどん悪くなってる。ロックバンドって平和じゃないとやってられないんで、それはラブ・アンド・ピースって言いますよ。バンド出来なくなりますんでね。

戦争行ったら居酒屋も行ってられないですから。思想云々の全然前の段階です。そういうの困るんだよねって話ですよね」

自論を展開する増子さんです。

この地方でのライブは?

秋からは全27公演の全国ツアー『一揆一友TOUR~権べ&田吾~』を行う怒髪天。
タイトルには、この年代ならではの由来が。

「これ、昔、ファミコンの『いっき』っていうゲームがあって、それのプレイヤー1の方が"権べ"で、プレーヤー2が"田吾"だったんです。わかる人にしかわからないですけど」

『いっき』は1985年(昭和60年)に発売されたファミコンソフト。スーパーマリオの人気の最中、独特の世界感とセリフ回しで「天下のクソゲー」という愛称で親しまれたゲームですが、メーカーのサン電子は愛知県江南市(現在の本社所在地は名古屋市)の地元企業です。

閑話休題。
このツアーは来年の1月13日(日曜日)、名古屋のReNY Limited で開催です。
9月1日から一般発売になりますが、最近は怒髪天も売り切れるようになってきたのでお早めに。ライブのチケットが売り切れるのはバンド冥利に尽きるという益子さん。

さらに9月23日(日曜日)、岐阜県中津川市で開催される『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018』にも出演します。

増子「いまCDバブルが弾けてね、売れなくなって大変だって言ってますけど、やっぱり自分で出張ってって、汗かいてライブやってナンボ。これが本来のバンドの姿なんです。我々はCDバブルの時もCDは売れてなかったんで、今とそんなに変わらないですけどね」

生活に疲れた方、怒髪天のライブで一度、心を裸にしてみては?盛り上がりすぎて「物理的に裸」になってしまわないよう、くれぐれもご注意を。
(尾関)
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2018年07月15日08時24分~抜粋

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