小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

鍵盤シンガーソングライター、ヒグチアイの曲は記憶のありかを探る曲?

鍵盤シンガーソングライターのヒグチアイさんが、7月8日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

高い声全盛の昨今、低い歌声が特徴のヒグチさん。歌詞が聞きやすくなんとも心地よいのですが、それなりの苦労はあるようです。

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正直です。嘘はついてないです。

「すごく聞きやすい声だから、ちゃんと歌詞を書けって、すごい怒られてました」とヒグチさん。

ヒグチ「自分の中で、この部分はこれは決まりっていうのはあって、他の部分で書き直しっていう時でも、ルービックキューブみたいに全部ゴチャゴチャにして固めなきゃいけないっていう、歌詞の書き方なんです。だから、いつもゴチャゴチャして、全然違う気がするとか言いながら書いてます」

小堀「語呂合わせして小器用にまとめたような曲ができないんですね」
ヒグチ「そういう風にできたらいいなって思うんですよ。言葉も音楽になるなと思うと、そういう音楽もやってみたいなと思うんです。でも似合わないし、自分に一生懸命言いたいことを書き続けてると、まとまらなくなって…」

小堀「だから正直に聞こえますよ」
ヒグチ「正直です。嘘はついてないです」

凛とすること

ヒグチさんは6月20日、セカンドアルバム『日々凛々』をリリースしたばかり。

このタイトルについて「いいですねえ。自分を見てると、フニャっとした人なもんで"凛々"には憧れるんですよ」と言う小堀ですが、「でも"凛々"は疲れるかもしれんなあと思うし」と付け加えます。

「私も憧れる"凛とする人"がいるんですが、なれないんです。でも、緩い自分を受け入れられたら、もしかして凛として、日々笑顔で生きていけるのかなって思います。私の中の"凛とする"ってのは、これだというのはありますけど、でも、できないです」とヒグチさん。

小堀「歳をとると、どういう時も"これが俺だ"ってわかってきて、まあ嫌いじゃなくなるんだけども、そこまで行くには何十年も時が要ったかなという気はする」

小堀の“これが俺だ“に「もう、ありますか?」と尋ねるヒグチさん。

小堀「だらんとした怠け者なんだなと言うことがわかった。でも、頑張らないけど諦めもしないみたいな。投げやりじゃなくて、緩く生きていることが気持ちがいいということがわかった」
ヒグチ「でも理想です。そうなりたいです」

私のための私でいるには

アルバム『日々凛々』の1曲目、「わたしはわたしのためのわたしでありたい」を聴いた小堀は「もはや文学ですよ」と一言。

「私は私のためであるって思える日が来たら、それは、どんな気持ちになった時なのかなとか思います。でもご飯食べてる時に、食べかけのものを下げられそうになると"下げないでください"とか言えなくって。

なんかそういう時に、私は私のためであるにはどうしたらいいんだろって思うんです。今はまあいいかなと思って、そういうところは諦めちゃってるんですけど。50歳ぐらい過ぎてくると言えるようになると聞いたんです」

思いの丈を語るヒグチさん。

「若い時はカッコつけるけど、50過ぎると平気で言いますよ。それが、たとえ付け合わせのパセリだったとしても」と答える、68歳の小堀です。

記憶の場所を刺激したい

歌詞、楽曲ともに様々な顔を持ちバラエティに富んだアルバム『日々凛々』。

「ヒグチアイっていう人がどういう人かっていうのを探す聴き方もあるけど、もしかしたら、自分の中にあるもう一人の自分に会えると思う」と小堀。

「嬉しいです。記憶は忘れちゃうんですけど、実は、頭の中に全ての記憶があるって言う話を聞いたことがあるんです」

記憶のある場所がどこなのかを忘れるだけ、と言うヒグチさん。

「その場所を教えてあげられる曲が書けたらいいなと思ってるんですよ。だから、その引き出しをいっぱい引っ掻いてくれる、ここにあるよ、そういえばこんなことあったとか、こんな思いをしたなって。私の曲でいっぱい思い出して欲しいです」
 

地図のような曲を

「18歳まではこどもで、特別だと思ってた自分が、大人になったら、その大人の中に行かなきゃいけない。自分が死ぬまで、そこの中にでいろいろ比べなきゃいけないっていうか、そこが苦しいところは今もありますね」

不安げなヒグチさんに「大丈夫です。大人もみんな一緒ですから」と小堀。

ヒグチさんの曲に対して「自分を思い知らされた部分のある曲もいっぱいありましたよ。そうそう、俺もここを通ってきてるとか、まだそこにいるとかっていう曲もあるし」というのが小堀の感想でした。

ヒグチ「そういうのを自分の中でも感じていきたいので、たくさんもっと曲書いていきた、書けたらいいなって。そういう人生経験をしていけたらいいなって思ってます」

小堀「書きかけのノートがいろんとこにあって、その断片がきっとあると思うんですが、それが少しずつハマりながら、聞いてる我々に地図をくれるみたいな作品が出てくるじゃないかなって思ってます」

ヒグチ「私もそこは期待してます」
小堀「おじちゃんも期待してます」 

年齢差40歳、人生相談のようなインタビューでした。
(尾関)
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2018年07月08日08時20分~抜粋

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