時代劇研究家・ペリー荻野注目!進化する新作時代劇3作品

小堀勝啓の新栄トークジャンボリー / カルチャー

コラムニスト・舞台作家・時代劇研究家など様々な顔を持つ、ペリー荻野さんが、6/3放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

80年代前半にCBCラジオで放送されていた深夜番組『今夜もシャララ ぽっぷるfeeling』。この番組に"女子大生DJ"として出演していた荻野さんは、同時期の人気番組『小堀勝啓のわ!Wide とにかく今夜がパラダイス』のパーソナリティでもあった小堀とは旧知の仲です。

同じく女子大生DJとして活躍していた、吉村和加代(旧姓)さんも相づち係として加わりつつ、同窓会感覚で話が進んでいきました。

黄門様も実際は諸国漫遊してません



「時代劇って、どこまで本当なの?」とよく聞かれるという荻野さん。専門家の先生と対談するなど、いろいろ時代考証してみると、やはりフィクション・脚色が多いそうです。

例えば、『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)で江戸城の天守閣が堂々と登場しますが、史実では1657年の「明暦の大火」で焼失しており、主人公の徳川吉宗の時代には江戸城の天守閣は存在していません。
(ちなみに江戸城の天守閣として登場するのは、実際は姫路城の映像です)

天守閣というのは元々軍事施設です。「もう平和なんだし、天守閣は別に要らないだろう。建築費より城下の復興に金を回した方がいい」という考えから、大火の後に再建されることはなかったのです。

他には『遠山の金さん』のモデルになった、江戸町奉行・遠山金四郎景元。トレードマークである背中の桜吹雪の彫り物は、「実は桜の花びら1枚だけ」「背中ではなく右腕のみ」「桜ではなく、巻物をくわえた女の生首」「そもそも彫り物自体が無かった」などなど諸説あり、本当はどれが正しいのかなかなか確認できないケースも。

もっと根本的な話だと、戦のシーンで颯爽と走る馬。当時の日本にあんな立派なサラブレッドなんかいるわけありません。日本在来種の、こぢんまりとした木曽馬が使われていたのでした。

時代劇というものはエンターテイメントなので、華やかに、観てて気持ち良いものにしなければなりません。
こういう史実と演出の絡み合いで生まれる時代劇の面白さを、世間に知らしめたいと語る荻野さんです。
 

ペリー荻野注目の時代劇映画3選

そんな荻野さんが今年注目している映画が3つあります。

1つ目は、阿部寛主演『のみとり侍』(監督:鶴橋康夫)。5/18から公開中です。

主人公のマジメな侍が仕事で失敗し、怒った殿様に「お前は蚤取りの仕事をやれ!」と言われます。
当時は猫の蚤取りという仕事が本当にあり、主人公もそれをやるんだと思っていたら実は、猫を飼っている女性に夜のご奉仕をするという裏稼業だったのです
そして、初めてのお相手(寺島しのぶ)に「下手くそが!」と罵られるという、お色気コメディ要素を含んだ時代劇です。

2つ目は、岡田准一主演『散り椿』(監督・撮影:木村大作)。9月公開予定です。

原作は葉室麟の同名小説。愛する女性と結婚するために藩を抜け出してしまった、武芸百般に秀でた主人公の侍。しかしその妻に先立たれてしまいます。
妻は遺言で、あるお願いを主人公に託します。そのお願いを抱えて主人公は元の藩に戻って来ます。そこではある事件が起こっていて、主人公は巻き込まれながらも、若い侍に「お前なんか勝手に脱藩したくせに!」などと批判されながらも、妻との約束を果たしていくという、感動の人間ドラマです。

3つ目は、綾野剛主演『パンク侍、斬られて候』。6月末公開予定です。
原作は町田康、脚本は宮藤官九郎、監督は石井岳龍(石井聰亙)という、想像もつかないパンクなニオイがプンプンする布陣です。

「定番の時代劇を観る機会が減っていると言われていますが、こういういろいろ試みのある作品があって、その波動からまた時代劇のいろんなことができてくるのかなあと」と、荻野さんは期待を寄せるのでした。

若い人ならではの時代劇

「若い人は時代劇に興味がない」という意見がありますが、なんのなんの。
東山紀之主演の『大岡越前』、東山の他に松岡昌宏・知念侑李も出演した『必殺仕事人』シリーズ、大野智主演の映画『忍びの国』など、ジャニーズアイドルの人たちもかなり関わってきています。

荻野さんが京都に取材に行って、殺陣の先生に話を聞くと、「ジャニーズの人はもちろん、それ以外にも最近はダンサブルな人が増えている。彼らは足のステップとかの覚えが早い」のだそう。
さらに「自分がどの位置にいるか意識しながら踊っているので、カメラがどこを狙っているのかということに慣れている。フレームからハミ出さずに激しく動ける」んだとか。

他に、撮影技術で言えば、昔はクレーンで撮影していた戦の俯瞰のシーンも、今ではドローンで斬新な映像が撮れるようになっています。
その一方で、CG全盛のご時世ですが、各監督が共通に言うのは、やはり生身の人間同士のぶつかり合いが一番面白いということ。

古臭いと思われがちな時代劇ですが、良いところは残しつつ、まさしく時代とともに進化を遂げているのでした。
(岡戸孝宏)
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2018年06月03日10時46分~抜粋

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