小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

成長を続ける角松敏生と、その仲間たち

4/22放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に、ミュージシャン・音楽プロデューサーの角松敏生さんが出演した模様の後編をお届けします。

4月25日リリースの、ビッグバンドとコラボしたニューアルバム『Breath From The Season 2018~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』について、パーソナリティの小堀が話を聞いていきます。

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音楽は世代を越える

ビッグバンド編成で、スウィング・ジャズの世界が広がる楽曲揃いの、このアルバム。

小堀「デビューからの角松ファンも、それなりに年を重ねて大人になってくると、この角松敏生が欲しくなると僕は思うんです」

角松さん「逆に、昔4ビートとかスウィング、ジャズとかにアレルギーがあった人でも、今だったら当然聴けると思うし。あと今はね、若い世代にとってブラスサウンドが身近なんですよね。90年代前半から割と吹奏楽が盛んになったじゃないですか。その伝統が今も引き継がれているし、吹奏楽の行進みたいなのも今ありますしね」

このアルバムは、スタジオミュージシャンのトッププレイヤーが集まってビッグバンドを編成しているので、こういう音楽を学んでいる人たちにとって非常にいい教科書になる、ということです。

角松さん「僕のファン世代の人たちが、『娘もライブに聴きに行きたがっています』ということもあるんですよ。実際に吹奏楽をやられているお子さんをお持ちの方々にはうってつけです」

映画『スウィングガールズ』や、アニメ『響け!ユーフォニアム』など、若者にブラスサウンドの良さを伝える作品も増えている昨今、そんなケースも多いのでしょうね。

成長して帰ってきた逸材

1988年に角松さんがプロデュースを手掛けたブラスセクションバンド・Tokyo Ensemble Labのナンバーを、今回3曲カバーしています。
その中で、ジャズのスタンダードナンバーであり、30年前に角松さんが聴いて衝撃を受けた『Nicas' Dream』は、満を持しての収録だそうです。

この曲を使うに当たり、まず問題だったのがキー。角松さんの歌いやすいキーにすると、高すぎてブラスがとんでもないことになると。どうしてもキーを低く設定しなきゃならないと。そのまま低音の魅力で押し切るやり方もあるんだけど、トラックが非常にパワフルになりそうなのでバランスが取れないと。

そこで角松さんが思いついたのが、「女性シンガーと、オクターブを変えてユニゾンデュエットをする」というもの。

角松さん「ただ、これだけの難曲を歌いこなせるのが僕の周りにいないんですよね。それで白羽の矢を立てたのが、35周年ライブで久しぶりにデュエットをして、その歌唱力の凄さに圧倒された、吉沢梨絵」

吉沢梨絵さんは1997年、21歳の時に角松さんプロデュースで歌手デビュー。その後、劇団四季に入団しミュージカル女優として、浅利慶太さんの下で10年以上のキャリアを積みます。

そして2016年、角松さんのデビュー35周年記念ライブで再会し、デュエットを披露したのでした。
それで今回のアルバムで起用したところ、「化けた、化けた吉沢梨絵」と、改めてその成長ぶりに角松さんは舌を巻いたといいます。

角松さん「ミュージカル界ではベテランの域に達している彼女は、監督の言われた通りに歌うのが完璧なんです。だから、久しぶりのプロデュースだったんですけど、思った通りの素晴らしい歌をやってくれましたね」

これは是非ともCDで確かめてみたいものです。

スタッフも成長します

東海エリアでは、5月22日(火)に日本特殊陶業市民会館でアルバムリリースのライブツアーが行なわれます。
当然ここでもビッグバンド編成の、大人数での豪華なステージとなります。

角松さんの昔からのライブの定番曲であり、今回のアルバムにもサルサ風にアレンジされて収録されており、今度のライブでも披露されるであろう『TAKE YOU TO THE SKY HIGH』。

この曲のサビでは、観客が飛ばした大量の紙飛行機が会場を飛び交うというのが、昔からの恒例となっています。これは観客が自発的に始めたことなんだそう。

この曲が放送で流れている最中、実は番組ディレクターが若い頃に、角松さんのコンサート会場のバイトをやっていたことが判明。

角松さん「バイトの人は、この紙飛行機を片付けるの大変だったでしょうね」

小堀「恨みを持っているような感じでしたね(笑)。今回も飛ぶのかなあ」

角松さん「でも最近は、紙飛行機の片付けもすごいシステマティック(組織的)になって、もうみんな慣れた感じでやってますけどね」

スタッフも進化を遂げているのでした。

「売れる」形はいろいろ

最後に、角松さんが今後の意欲を語ります。

これからも個性的なことをやっていきたいなとは思うんですけど、(プロデューサーとして)商業的に成功するためにはどうすればいいかというのも考えないと
今は、CDがタイアップ付いてバカ売れするのが全てではないんですよね。例えば、今の40代50代の人って、『若い子が知ってないと売れてない』みたいに思っているおじさん・おばさんがいるんですけど、それは大きな間違いで」

「目に見えなくても、いろんな所で確立してるマーケットって、いっぱいあるんですよ。『アルバムが10万枚以上売れないといけない』とかいう計り方じゃないんですよ、今は。
僕のように、35年以上やってていまだにバンドを引き連れてツアーをやれるってこと自体が、(商売として成立する)ありがたいことなんです」

「テレビに出ることが売れてる基準でもないんでね。それは昔の感覚なので。だから、そういった中で自分は1個1個の目標に向かって“点”を打ってるところなんです。『こういうことをやると音楽もまた面白くなるだろうな』という目論見があるんですけど、それを浅知恵にしないように、じっくりこういう作品を出しながら様子をうかがっているという感じですね。だからオリジナルアルバムを出してないんです」

しっかり前を見据え、開拓を続け、なお成長しようとする角松さん。
小堀も呼応します。

「僕の番組もそうで。コマーシャリズムで売れて翌年はもう聴かない曲を紹介するんじゃなくて、自分が好きなものや本当に良いと思ったものを新旧問わずほじくって。それを好きになった人たちがあちこちに行ってみたらいっぱいいた、という形にしたくて」

長い付き合いながら改めて意気投合した、角松さんと小堀なのでした。
(岡戸孝宏)
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2018年04月22日08時27分~抜粋

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