小堀勝啓の新栄トークジャンボリー

角松敏生、リスク覚悟で挑んだビッグバンドとのニューアルバムを語る

4月25日にアルバム「Breath From The Season 2018 ~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~」をリリースする角松敏生さんが、22日放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

今回は珍しくビッグバンド編成となる角松さんの新作に、親交の深い小堀勝啓も興味津々です。

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昨今珍しいビッグバンドスタイル

小堀「スペシャルゲストですが、意外と久しぶりだって言うことにさっき気が付きました。角松敏生さんです。ようこそ」
角松「僕もびっくりしました。『どうも小堀さん、お久しぶりです』って言うコメントは(ボイスレターで)いつも入れさせていただいてますんで。それだからかもしんないですね」

二人が直接会うのは4年ぶりでした。

小堀「びっくりしたと言えば、今度のアルバムがビッグバンドスタイル。拘りましたね」
角松「ビッグバンドスタイルですからミュージシャンの頭数多いですし、昨今珍しいですわな」
小堀「ビッグバンドって、怖くてできない人が多いんじゃないですか?」
角松「まあ、そうなんですけどね」

大阪の老舗ビッグバンドとの出逢い

毎年春、角松さんが大阪の「ビルボードライブ大阪」で行っているライブがあります。それが4年前から恒例になっている「角松敏生 meets アロージャズオーケストラ」。

アロージャズオーケストラとは、結成60周年になる大阪の老舗バンド。戦後からダンスホールやクラブの箱バンでした。
例えば東京には、東京ユニオン、シャープスアンドフラッツなどがテレビの歌番組で演奏をしていました。一方で「関西の雄」と呼べるのが、このアロージャズオーケストラなのです。

「そのアローさんが、ずっとここ数年いろんなアーティストとコラボをしてて、さまざまなタイトルのスイングジャズ化みたいなのを試みてるんですよ。それで、角松さんやりませんか?みたいな話を頂いたのが最初です」

フォービートやスイングに本格にトライしたことがなかった角松さん、当初は自信がなかったそうです。ただ、自身でビッグバンドのプロデュースを一度手掛けたこともあり、とにかく試しに一回やってみると…。

「自分の曲でビッグバンド化しやすいようなナンバーをチョイスして、リズムアレンジを自分がやって、ブラスアレンジをアロージャズオーケストラにやってもらったんですよ。そうしたら、これがすごく良かったんですよね」

記録に残さないともったいない

以来、年に一度の特別な楽しみとして開催される「角松敏生 meets アロージャズオーケストラ」は、2デイズ公演が常に満員となるそうです。

「3年目にして、初めて自分がいろいろとアレンジも深く食い込んで、勉強させてもらったんですよ。そうしたら、いろんな可能性が見えてきて、これは記録に残さないともったいないなあと思ったんです」

ビッグバンドの人たちは本当のプロ中のプロ。譜面を渡すと2回目ぐらいで完璧に演奏できるそうです。

「そういう世界ですから、人数が多くても、こっちのプロダクションとアレンジがしっかりしていればすぐ録れちゃう。確かにリスクは高いけど、ぜひやってみたいなと思って」

「記録に残す」という目的を叶えた新作が『Breath From The Season 2018 ~Tribute to Tokyo Ensemble Lab~』なのです。

思い出の曲

アルバムを聴いて小堀が気に入ったというのが4曲目の「RAIN MAN」。

角松「小堀さんは流石だなと思いますね。アロージャズオーケストラからジャズ化、スウィング化するっていう話を頂いた時に、一番最初にアレンジしたのがこれなんです」
小堀「これ、二ヤッとしますよ」

角松「4年前、一番最初にこれやったんですけど、お客さんが喜んでました。いわゆるビッグバンドの雰囲気だったり、懐かしさや、いい意味での古さ。そういうことが饒舌な洒落としてドーンと伝わって狙い通りにいった思い出のトラックなんですよね」
小堀「カッコイイっすね」

角松「これはハマりましたね。今回アロージャズオーケストラさんとやってきたスコアをそのまま使ったのが、5曲入ってるんですが、その中の一つですね。毎年やる定番です」

二重三重の仕掛けあり

小堀「ジャケットも洒落のめしていて、古き良きジャズの時代を、再演してるじゃないですか。セピアっぽいカラーで、しかもちょっと禁酒法時代の酒場みたいなところで撮ったような雰囲気」

角松「本当はファッションとかは時代考証的に合ってないんですけど、イメージとしては、クレオールという存在なんです」

クレオールとは白人と黒人の混血の人たちのことです。

角松「1920年代、ジャズエイジと言われた時代。ジャズが根付く時代は、ジャズが黒人発のものだったので、人種差別がいろいろとありました。しかし白人はそのジャズの魅力に気づいているわけです」

作曲家のジョージ・ガーシュインがあの「ラプソディ・イン・ブルー」を ビッグバンドのために書いたのもこの頃です。

角松「黒人にとってジャズは、手っ取り早く差別から抜け出せる非常に大きな手段でもあったんですが、そのまま白人とコミュニケーションをとることが難しい時代でした。そこで白人と黒人の音楽文化を取り持ったのがクレオールの人たちだったんですね。そういう仲立ち人的な出で立ちをイメージしたのがこのジャケットです」

「しかも、シティポップでファンクな角松ワールドとビッグバンドジャズとの仲立ち人になってるみたいで、二重三重の仕掛けがあるようです」と言う小堀に、「仕掛けは、実は結構、やってますね」とニヤリと笑う角松敏生さんでした。
(尾関)
小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
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2018年04月22日08時27分~抜粋

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