河原崎辰也 いくしかないだろう!

あの「シャンプーハット」が、50年ぶりにアップグレード!?

こどもが髪を洗う時に、目に水が入るのを防ぐ「シャンプーハット」。
「幼い頃に使っていた」という方も多いでしょう。

1969年(昭和44年)の発売以来、一度も形状を変えずに販売され続けてきたこの「シャンプーハット」が、先日なんと50年ぶりにリニューアルしました。
10月6日の『河原崎辰也 いくしかないだろう』では、メーカーにその理由を尋ねました。

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あの「ピップエレキバン」の会社

お話を伺ったのは、ピップ株式会社 商品開発事業本部の相良裕子さん。

そもそも、シャンプーハットは、あの「ピップエレキバン」でお馴染みのピップ株式会社が作っている商品だったのです(し、知らなかった…)。

実はシャンプーハットの歴史は、現存する商品の中でも古く、ピップを代表する商品なのだそうです。

発売開始以来、パッケージと本体にデザインするキャラクターと色を変えるだけで、形状は発売当時から50年間変わっていなかったのです。

開発のきっかけ

そもそも「シャンプーハット」が開発された経緯を伺いました。

当時のお風呂文化は現代とは異なってシャワーはなく、お湯を桶ですくってバシャ―っと頭にかけていたため、シャンプーが目にしみたそう。

開発担当者が自分のこどもが髪を洗うのを嫌がる様子を見て「シャンプーが垂れてこないような帽子を作ったらどうか」と思い、試作に取り掛かったのがきっかけだったのです。

シャンプーハットと言えば、あの波打つ独特の形状。これはトタン屋根のたわみを参考にしているとのこと。
水の重みに耐えられ、丸くくりぬかれた頭部のフチにも水が浸入しないようにと考えられたものなのです。

あのサイズはどうやって決められたのか。実は近所の何百人ものこどもの頭をメジャーで測って、直径を決めたんだとか(笑)。

今回のリニューアルに至るまで、形状が発売当時のまま50年間変わらなかったということは、当初からの完成度の高さ、考え尽くされた形状であったと言えますね。

リニューアルに踏み切った理由

もともと「シャンプーハット」をアップグレードすることは、ベビー担当者の長年の課題として、歴代の担当者が試行錯誤を繰り返してきたそう。

例えばこどもが遊べるようシャンプーハットから音や光が出るなど、現行品に装飾を加える方向で進めていましたが、それでは値段が3~4倍に上がってしまいます。

当時販売されていたシャンプーハットの定価は550円。
3倍となれば1700円近くなるため、リーズナブルな商品価格を保ちながら、現行品以上の性能を出すことが難しいなどの様々な課題にぶつかり、斬新なリニューアルが実現できませんでした。

また、ここ数年「知っているけど使わない」という家庭が増えていたこともあり、改めてどうして使わないのか調査したところ、「水嫌いのまま大きくなっちゃうから」という意見が目立ちました。

シャンプーハットは元来“こどもを水から守る”商品でしたが、“こどもを早く水に慣れさせたい”という親心に改めて気づかされ、本来とは逆の答えにハッとしたそうです。

そこで、“水から守る”のでなく、“水に慣れる”“水嫌い卒業にチャレンジする”という新発想のもと、できた新商品が…

「ピップステップ!シャンプーハット」です!!

名前…(笑)

この商品名は担当者の相良さんが、販売直前、晩酌中に偶然思い付いたものなんだとか!

「ピップステップ!シャンプーハット」の特徴

新しいシャンプーハットでは、「楽しく水ぎらい卒業にチャレンジできる」という新コンセプトのもと、シャンプーハットに穴を開け、段階的に水に慣れていくことができる同社独自の「3ステップ卒業設計」が採用されました。



シャンプーハットに小さい穴と大きい穴をあけた部分を作り、ハットの位置を変えることで段階的に水嫌いを卒業できるようにしたのです。

まずは、今まで通り穴が開いていない部分からスタート。

次のステップでは、小さめの穴が開いているところを顔の正面に向けて使い、水がしずくとなって落ちてくることで、水との触れ合いを楽しめるとのこと。

そして最後の大きめの穴では、顔まで水が流れてくる仕掛けとなっているので、やがて水に慣れるようになるそうです。

開発での苦労

穴の位置やサイズを調整して作った試作品は、その数なんと200枚以上。完成まで1年半の歳月がかかったそうです。

社内ではマネキンの目元にカメラを設置して、最適な形状を研究。
実際、どのように顔にかかっているのか、どのくらいの水量が出るかを検証して開発を進めました。

時には会社の給湯室を占領して、水浸しにしてしまったこともあったそう(笑)。

また「水に慣れるのはこども」ということから、どのように水が流れれば慣れていけるのか、どう流れるのかなど、こどもの目線で考えたとのこと。
担当者のこどもたちに繰り返しモニターをするなど、多くの試作を繰り返すことで最終の商品設計に辿り着きました。

新しいシャンプーハットへの反響

モニター調査には大阪府内の保育園の親子に協力を仰いだところ、なんと8割以上の方から「気に入った!」との嬉しい回答が。
さらに、その感想も手応えのあるものでした。

「シャンプー後もずっとかぶっていた」
「穴があいて水が落ちているのを楽しそうに見ていたので良かった」
「こどもが自分でシャンプーをする練習になるので買いたい」
「とても楽しそうに自分で使おうとしていた」

こうして先月末、50年ぶりにリニューアルしたシャンプーハットが発売されたのです。

最後に聞いてみた

試行錯誤の末、ようやく完成した「ピップステップ! シャンプーハット」。

その生みの親にして名付け親である相良さんですが、名前がひらめいた時の晩酌のお供を伺うと…「お刺身・から揚げ」だったとのこと。

アイディアに行き詰った皆さん、お刺身・から揚げを食べると、いいアイデアが浮かぶかも、しれません…?



(清水藍)
 
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2019年10月06日17時21分~抜粋

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