八木志芳の私たちは求めてる

伝説のAV映像作家に「現代のセックスレス」について聞いてみた

5月19日、日本のアダルトビデオ黎明期から活躍している、伝説のポルノ映像作家・ヘンリー塚本監督(81歳)が、CBCラジオ『八木志芳の私たちは求めてる』に出演しました。

パーソナリティの八木志芳が映像に対してのこだわりや、セックスレスが増えた現代に思うことなどを尋ねます。

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昭和のエロスへの強い想い

ヘンリー塚本監督は、昭和をテーマとした作品を作り続けています。その理由は、戦後の混乱期、貧しい生活の中を生き抜いてきたことにあるとのこと。
監督にとって忘れようとしても忘れられない時代だっだと振り返ります。

昭和時代をAV作品に反映しようとした際に、自身がその混乱期の真只中を体験していたので、とても描きやすかったとのこと。
その時代の「田舎の風景」などを作品の中に取り入れることによって、奥の深いドラマが撮れるのではないかと考えたと監督。

監督「それで昭和にこだわりましたね。昭和、昭和、昭和。もう涙が出るほど昭和にね、思い入れがあります」

人間の本質の迫る作品を

八木「人間の本質を描いている作品が多い中、監督は戦争や農村の貧困、あと障害者の性も描いていますが、現代だったらたぶんないこと?」

この問いに「常に人と違うこと、人がやらないこと、人が目にしないこと、人が避けたがることにいつも目を向けていた」と語る監督。

あえて誰もが描く世界ではなく、誰も気がつかないような世界の男女の愛を描くことによって様々な壁を取り払ってきたそう。

監督「障害者の性にも興味を持ったし、戦争という時代は必ず犠牲になるのが女子、こども、特に女性。これは、いまだに続いてるものなんですよ。そこに私の作品のドラマっていうものを描こうとすると、目を向けざるを得なかった」

そこに悲しみや悲劇、男の溢れ出る性欲、それらを表現した作品を作れば、感動や興奮、体の奥底で身震いするような感覚を届けられるのではないかと考えたそうです。

80代になっても続けていること

八木「番組ではセックスレスで悩んでいるリスナーが多いのですが、日本が全体的に性に対して後ろ向きというか、草食系が増えてることに関してはどう思いますか?」

「時代の流れなので止めようがない」と監督。
一方で「昭和の時代から生きてきた自分自身の生き様を伝えたい」と続けます。

監督「もっとセックスに対してね、貪欲になってほしい。マスターベーションを今の人たちやりたがらないけれども、相手がいなければ大いにマスターベーションしてほしい」

監督は現在81歳ですが、いまだにマスターベーションをするそうです。男として生きていくためには「これが必要なんだ」ということは積極的に取り組んでいると続けます。

監督「そういうことに億劫だとか、恥ずかしいとか、面倒くさいと思ってはダメ。50になっても60になっても70なって80になっても、元気でいるためには、使うものは使わないと(笑)」

女性の中にも自分と同じことを考えている人がいると断言する監督。
でも、恥ずかしがって言えない。そして、例え付き合っていても、性に関することを言い合うことができない若者たちが増えていると指摘します。

監督「俺たちの時代はダメでもともと。この言葉が身体の奥にまで染みついてるわけ。若者に言いたいのはダメでもともとなんだよ。 失敗があるからこそ成功があるんですよ。失敗、失敗、失敗の連続の中で、やがて成功があるんです。男女の中もそうですよ、相手に好きって伝えない限り触れられないじゃない」

尻込みしていたら、いつになっても彼女もできないし前にも行けない。その勇気が必要だと強く言います。

無様な自分の姿を誰かの救いに

今年3月に『感動と情熱のエロス』(産学社/東良美季 著)を出版したヘンリー塚本監督。
近著の内容を尋ねます。

監督「自分の人生は無様な人生だった。恥ずかしいことの連続だって。それでも自分はAVの世界に入り名を成し、作品が売れてと富も得た。この無様な貧乏で恥ずかしい僕を文章として書いて、読んだ人の何かの救いになればと」

八木「いま若い人たちは失敗も恐れるし、カッコつける人が多い。そういう人たちにちょっと話聞いてもらいたいなと思う」

八木の言葉に監督は「カッコつけるってことも必要なんだけれども、カッコばかりつけてられないのは現実」と答えます。その恥を乗り終えた時に、その人は一歩成長するのだと続けました。
(野村)
 
八木志芳の私たちは求めてる
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2024年05月19日22時43分~抜粋

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