八木志芳の私たちは求めてる

望まない妊娠・中絶を減らすためには?全米騒然の書籍『射精責任』

望まない妊娠・中絶は、なぜ起きるのでしょう?
その原因は射精の責任をとらない男性側にあると提言する書籍が話題です。

9月3日放送のCBCラジオ『八木志芳の私たちは求めてる』では、パーソナリティの八木志芳が、男女の負担の比較や、避妊の必要性や方法などを話しました。

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あなたは「射精の責任」もっていますか?

その話題の書籍とは、今年7月に発行された『射精責任』(ガブリエル・ブレア著 太田出版)。

「望まない妊娠」はセックスをするから起こるわけではありません。
女性の50倍の生殖能力を持ち、「コンドームを着用したセックスは気持ちよくない」という偏見にとらわれ、あらゆる避妊の責任を女性に押しつける男性が、無責任な射精をした時のみ起きると問う内容で、28個の提言が書かれています。

アメリカをはじめ世界9か国で翻訳されたベストセラーです。

八木は発売前からSNSで話題になり気になっていたことから、早速購入して読んだそう。
著者のガブリエル・ブレアはアメリカ人の起業家で、子育てブロガーとしても知られ、6人の子を持つ女性です。

八木「望まない妊娠中絶について正面から問う本なんですが、私はずっと日本というのは中絶というものに対して、議論を公にしてきていないと思っていた」

女性の負担が圧倒的に大きい

厚生労働省のデータによると、2021年の国内による中絶件数は、およそ126,174件。1日あたり345件となり、毎日決して少なくない数の中絶が行なわれています。

前述したように、本書では「男性の生殖能力は女性の50倍」とあります。

女性の場合、思春期から閉経まで、月に一度排卵が起こり受精可能な卵子がつくられます。対する男性は大体12歳から80歳までの間、ずっと生殖能力のある精子がつくられており、その数字を比較すると50倍ほどになります。

八木「もし望まない妊娠が起きた場合、負担があるのは女性ですよね」

男性にとっての負担は、金銭的な面程度ですが、それすら逃げ出す男性もいます。

中絶手術を受けるのはあくまで女性。術後の心のケアなど考えると、やはり望まない妊娠があった場合、負担があるのは圧倒的に女性なのです。

とくに男性に読んでほしい本

この本を読んで「男性の射精責任を問う」ということ以外にも、八木の知らなかったことや「こんな視点があったんだ」と気がつくことがあったようです。

そのひとつが、パイプカット(精管結索術)。
性欲自体を抑制するのではなく精子を止めるもので、勃起も射精もしますが、生殖能力のある精子は出なくなるので確実な避妊効果があります。
もし再開したくなれば、3年以内に手術によって75%復元することができるそうです。

しかし女性が卵管結索をした場合、生涯に渡って生殖機能を失うことになります。

それ以外の避妊リングやピルなども、まず病院に行って処方してもらわないといけません。
「避妊の負担」ということで男女を比べても、女性の方が身体の面やコストについても大変です。

著者は「異性とセックスをして妊娠をする可能性のある関係の人に読んでほしい」とコメントしていますが、八木は「男性に読んでほしいな」と願います。

日米で似ているセックスの意識

著者のガブリエル・ブレアはアメリカ人ですが、八木は日本とアメリカのセックス観の共通性にも驚いたようです。

八木「セックスの最優先事項と目的は『男性の悦び』だと社会が教えている。これ、私は日本だけかなと思っていたけど、アメリカもそうなんだと思った」

アメリカの一般的な性教育では女性の生殖器について学ぶことはあるけれど、女性のオーガズムについて学ぶことはないと八木。

八木「でも、男性はペニスについて学ぶこともあるし、快感についても学ぶこともある」

そういう部分で、セックスの快楽というのは男性が強いと、なんとなくすり込まれていると感じたといいます。

望まない妊娠・中絶について考えることが、今後の日本の家族計画や恋愛、人とのコミュニケーションにも繋がる大事な要素となる、と語る八木でした。
(野村)
 
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2023年09月03日22時12分~抜粋

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