2017年5月9日(火)

チェッカーズ解散から25年 「テナー吹き」の自我に目覚めた藤井尚之

渡辺美香のWhat a Wonderful World / エンタメ

今年2月にサックス奏者としてのリードアルバム『foot of the Tower』をリリースした元チェッカーズの藤井尚之。

ジャズの名曲を紹介する音楽番組『渡辺美香のWhat a Wonderful World』へ出演し、現在のサックスプレイヤーとしての思いを渡辺美香アナウンサーに語りました。

実は非難を浴びたソロデビュー

熱狂的なチェッカーズファンだった渡辺は、当時の藤井を「一歩引いたクールさが人気だった」と評します。
苦笑しながら「わかんないですけど」と語り始める藤井。

「もう52(歳)ですからね。デビューが18でお子ちゃまですよ。バブルとともに現れ、バブルとともに去っていった、バブルなバンドでしたね(笑)」

「NANA」「Blue Rain」「素直にI’m Sorry」など作曲の才能を見せていた藤井は、メンバーの中でもいち早くソロデビューを果たしました。

「バンドをやりながらソロをやったんですよね、当時。言い方はアレなんですが、バンドのバラ売りっていうのをこれまで(他のバンドで)やってなかったみたいで、それぞれのメンバーが得意なものをやることになって、たまたま僕の場合は音楽だったということだったんですけれども」

ところがこのデビューは、ファンから非難の的となってしまいました。

「なんでバンドがあるのにソロをやるの?ってところで『バンドを大事にしていない』というようなことを言われましたね。バンドが有名になっていたので、個人が有名になったらもっと凄いバンドになるんじゃないかと思ってたんですよ」

「テナー吹き」って言われたい!

1992年のチェッカーズ解散後、本格的にソロ活動へ邁進していったように映った藤井ですが、その心境は複雑だったようです。

「自分にどういうことが出来るのかもよくわかってなかったし、背伸びをしているところもあったでしょうし。やっぱりバンドという大きな船が沈没して(笑)なくなってしまったんで、本当にやるべきなのか、わかってなかった時期なんでしょうね。
音楽という括りで言えば(歌も作曲も)好きだったんですけど、自分が表現できる武器はやっぱりサックスなんだろうなと、いまこの歳になって改めて思って『foot of the Tower』を出したのかなと思うんですけど」

さらにテナー・サックスという楽器についての思いを語ります。

「他人から『藤井尚之って何?』と聞かれた時に、テナー吹きって言われたい!と思ったんですよ、ここにきて(笑)。わかりやすく言えば、ストーンズのキースみたいに右にいればキースだ、テクニックじゃないって、そんな見え方したらカッコいいだろうなと思ったんですよね。
リード楽器の宿命というか性(さが)なんでしょうけど、メロディを吹くポジションってハーモニーを重ねるバッキングとは違って、シングルで存在感があるじゃないですか。バンド時代に鍛えられたと思うんですよ。キャッチーな、誰でも口ずさめるメロディを付けなきゃいけなかったから。ジャジーな手数の多いものより、メロディアスなものを追求しちゃってるのかなと」

リードへの拘わりから見えた課題

話題は新作『foot of the Tower』へ移ります。
渡辺からの「やりたいことが全部詰まったアルバムですか?」との問いに答える藤井。

「レコードっていうのはその人の通過点だと思うんで、また次にやらなければいけないこともあるし…このアルバムは発見でもあるし、反省材料でもあるんですね」

今作のレコーディングでは、まずサックスのリード(振動して音を出すためにマウスピースに取りつけるもの)に拘ったという藤井。

「リードは一生かけて背負っていく問題なんですよ。天然素材ゆえに長く使えないので。ひと箱購入するじゃないですか。10個くらい入ってるうち(相性のいいリードは)1枚あるかないか。使っちゃうとハリがなくなって買い替えの繰り返しだったんですよ。
でも待てよと。いいリードはちゃんとケースに入れて取っておくべきだと。今回は取っておいた当たりのリードを使ったりしましたね」

ところが、リードを良くしただけでは足りない問題に直面したようです。

「そういう当たりリードは、なじんでいて軽く音が吹けるんです。でも気合いを入れると吹きやす過ぎて、逆に物足りなくなってしまうんです。力いっぱい吹けないという。
精神的なものとか全てを自分でコントロールできないと、プレイヤーとしてはまだまだだなと。奥が深いですね」

先の発言の「発見でもあるし、反省材料でもある」ところは、まさにこの一点のようです。
その克服のために、藤井尚之はサックス片手に闘っている最中です。

こうしてくたばりたい

今年は兄の藤井フミヤとのF-BLOODの活動、そして5/19(金)には名古屋ブルーノートでスペシャル公演も控えている藤井。
最後に「テナー吹き」としての思いを、熱さとクールさの同居したコメントで語りました。

「先の見えた人生というか(笑)こういう人間として見られたい、こうしてくたばりたいと思ったんでしょうね。サックス吹いてる時が一番自分らしさが出せているのかなと思います」

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