2017年12月5日(火)

アレンジの秘密はエアPV 瀬尾一三、ヒット曲のアレンジを語る

小堀勝啓の新栄トークジャンボリー / エンタメ

日本を代表する音楽プロデューサー、アレンジャー、作曲家の瀬尾一三さんが、12月3日の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

瀬尾さんが長年に渡って手掛けてこられた音楽制作、特にニューミュージックの名曲裏話に思わず唸る、パーソナリティの小堀勝啓です。

あれもこれも瀬尾さん

日本の上質なポピュラーミュージックは全てにおいて瀬尾さんが関わっていると言っても過言ではないでしょう。

例を挙げれば、1988年以降の中島みゆき作品、バンバンの「『いちご白書』をもう一度」やチャゲ&飛鳥の「万里の河」、杏里の「オリビアを聴きながら」などの編曲やプロデュースはもちろん、ドラマ『3年B組金八先生』の音楽制作でも知られる瀬尾さん。

11月22日に『時代を創った名曲たち 瀬尾一三作品集 スーパーダイジェスト』(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)が2枚組で発売されました。曲名やアーティスト名には錚々たる顔ぶれが並びます。

ディスク1に入っているのが吉田拓郎さんの「落葉」とかかぐや姫「22才の別れ」、あと「岬めぐり」「白い冬」「我が良き友よ」「『いちご白書』をもう一度」「オリビアを聴きながら」「順子」など。
ディスク2にあるのはNSP、雅夢、徳永英明さんなどです。

中島みゆきとは30年の付き合い

「瀬尾さんといえば中島みゆきさんとの仕事が長いイメージです。中島みゆきさんとはデビューからのお付き合いですか?」と小堀。

「中島さんと仕事したのは、僕の41歳の時なので、今から30年前です」

業界では”育ての親”というイメージですが、そうではないんですね。

「育ってしまった人を、どうにかしてくれって言われて、頼まれてやったような感じです」と瀬尾さん。

中島みゆきの旦那説

中島みゆきさんと言えば、1989年から始めた、演劇とコンサート、ミュージカルをミックスしたような実験的な『夜会』というステージも担当する瀬尾さん。

「あれの音楽に対するプロデュースを全部やってます。アレンジまでして全てしています」

業界の中では、変な話、一時「中島みゆきさんの旦那さんが瀬尾さんなんだ」という話があったそうですが。

「そう誤解されるようなこともありますけども、もし本当の夫婦だと30年続いてないんじゃないですか?」

「音楽的に相当、バシバシいくからですね」と言う小堀。

「そうなんですよ。僕も彼女のプライベート、彼女も僕のプライベートは一切知りません。あくまでビジネスパートーナー。と、言ったら凄く冷たそうに聞こえますけど。二人でどうやったら、音楽を通じて『中島みゆき』というアーティストを作り上げられるかという作業。彼女の中の中島みゆきという部分と、僕とで、一つの『中島みゆき』と言うブランドを作っているという形ですね」

30年続く秘訣

「音楽を続けていくには、やっぱり、あくまで踏み入っちゃいけない。中に入っていっちゃ、お互いがダメっていう部分が暗黙の了解であるんです。二人ともそれを守ってるということはありますよね」

それだけに、舞台にしろレコーディングにしろ、次の作品で会う時には緊張感があるのでは?

「本当にそうなんですよ。それがまたね、お互いの成長を認め合うみたいな感じで、その瞬間も、結構好きです」

「そして、お互いやりあいながら、パシッとかみあった時の快感も良いですよね」と小堀。
「そうなんですよ、本当に。小堀さんが全部言ってくれてます」と瀬尾さん。

逆に何が怖いかと言うと、「こいつ、もう終わったな」と向こうに思われる、また、こっちが思うことですよね。

「そうです。そう思われないようにとか、僕もそう感じないようにとか、お互いどこかで切磋琢磨している。それが30年、続いている秘訣だと思うんです」

アレンジの秘密はエアPV

「瀬尾さんの持ってらっしゃる楽器とか楽曲に対する守備範囲の広さにびっくりします。アレンジにあらゆる種類の楽器を使いますよね?」と尋ねる小堀。

「僕は専門的な教育は一切受けてないので、どれ一つ満足に弾ける楽器はなし、基礎的なものは全部独学です」

ここから瀬尾さんのアレンジの秘密が語られます。

「頭の中で、一応、自分の中でプロモーションビデオみたいに、映像を作るんですよ。エアギターならぬエアPVですけども。それをどうやって音に表していこうかと考えていきます」

「落葉」のギターはウミネコ

例えば吉田拓郎さんの「落葉」。

「こんなに経ってからバラすこともないんですけれども、頭のギターは、僕のイメージでは、あれは夕日の中で黒いシルエットになってるウミネコなんですよ。
クァーン、クァーンっていうのはウミネコが鳴いて、ブラスがバンって入った瞬間は、フェリーが出向して進んでいくところ。僕の中ではそういうイメージなんです」

「22歳の別れ」は部屋のアップから

かぐや姫の「22歳の別れ」。イントロの独特のフレーズはどう発想したのでしょう?

「あれは部屋の中での二人の話です。二人の部屋のアップからずーっと引いていくっていう感じです。
頭のギターは、ほんわかした雰囲気じゃなくて、ちょっと冷たい、凍ったような感じ。でももうちょっと哀愁があって、みたいな。そういうことをいろいろと考えました」

「あれが鳴った瞬間、僕たちは映画みたいに絵が浮かぶんです。それが、やっぱり、アレンジっていうものの凄さだな、と思います」と小堀。

アレンジは架け橋

「かまやつひろしさんの『我が良き友よ』。かまやつさんがギター一本で、かまやつさん独特のわけのわからんコードで弾くやつを聞いたことがあるんですよ」と小堀に、「あれもかっこいいですよ。ジャズっぽい感じで」と瀬尾さん。

「かまやつさんの一人のやつは、元があっての派生ですからね。あれはあれでいいんです。僕が作ったのは、歌の中にも出てくる、僕らより一昔前のバンカラ。ナイーブだけど、ちょっと粗野な感じをどう出すか。じゃあバンジョーを入れちゃおうとかね。
ちょっと古く見せるためにクラリネットを入れたりとか、もういろんな所に、ちょっとずついろんな要素を入れてます」

白線が入った帽子をかぶってるヤツ、そういう画が浮かぶという小堀。

「なにしろフレーズが短い曲ですので、何回も繰り返しても飽きがこないように、あれは凄くいろいろ考えましたね。
いわゆるシンガーソングライターとかアーティストの人たちと、聴く人たちの間の架け橋が僕の役割だと思っています。どうやれば、聴いてくださる方にも、アーティスト側にも一番いい状態になるかなっていうのを考えています」

自らの役割を語る瀬尾一三さんでした。
(尾関)

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