2017年10月10日(火)

「ごんぼほってると報いが来るぞ」人間椅子・和嶋慎治の世界

小堀勝啓の新栄トークジャンボリー / エンタメ

テレビ番組『いかすバンド天国』で注目を集めたスリーピースバンド、人間椅子。
ボーカルとギターを担当する和嶋慎治さんが、10/8放送の『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』に出演しました。

10/4にリリースされたばかりの新作『異次元からの咆哮』はジャケットが特徴的です。まずはその話題から、小堀勝啓が尋ねます。

アルバムジャケットは弘前ねぷたの鏡絵

「ジャケットは、僕、ギターの和嶋とベースの鈴木の故郷であります、青森県弘前市のねぷた祭りの山車の画を使わせていただきました」

地元では今を時めくねぷた絵師、三浦呑竜さんの「ねぷた絵」です。
画の題材は『三国志』。これもやっぱり、おどろおどろしいものがあります。

「勇壮な画を、ねぷたの表面、鏡絵って言うんですけど、そこに持ってくるんですよ。これは戦いの場面で、血しぶきがバーッとなって目ん玉が飛び出てるという絵です。表が、いわゆる生命の躍動感だとすればですよ、裏面は見送り絵といいまして、こちらでは美しい女性。大体ねぷたってエロスを出しつつ髑髏とか持ってくるの。死とエロスなんです」

つまり、和嶋さんたちと同じコンセプト、と語る和嶋さん。

「今回20枚目のメロリアルなスタジオアルバムなので、これが非常にいいんじゃないかな、ということで使わせていただきました」

若者が興味を持ち始めた

人間椅子は2013年辺りを境に、再び若い層から支持を得てきました。心境に変化があったんですか?

「自分たちのことを知ってくれている人いるのかな?と思いながら。でも、まあ好きなロックだからやってるって感じだったんですけど。2013年以降は、特に若い人たちが、自分たちのこと知ってくれて。街で声を掛けられたりするんですよ」

若い人たちの心を惹きつけるのは何でしょう?怖いもの見たさでしょうか?

「こういうサウンドが逆に新鮮に映るんじゃないんですか?我々、外見は若干、色物ですけど、サウンドは本格派だと思ってますんで」

人間椅子は妖怪?

人間椅子をご存じない方で外見に興味を持った方は、水木しげるさんの妖怪図鑑を想像してください、と言う小堀。

「我々は、そういう日本の古い妖怪のイメージがやっぱりありますよね。それは、僕たちの大事なアイデンティティだと思ってやってるんですよ。
デビューしたのがほぼ30年近く前。その頃は、あんまりこういう音楽はなかったんです。ジャパメタ(ジャパニーズ・メタル)と言われるジャンルはありましたけど」

土着が基本

ジャパメタとは違う、自分たちなりのものをやりたかったと語る和嶋慎治さん。

「海外のヘビーメタルって、だいたい革ジャンに鋲打ってるでしょ。青森出身の僕としては、あれは似合わないなって思ったんです。土着の物が一番似合うんですよね。長い年月を経て生み出したものですから。
それを膨らませた感じでやった方が良いだろうと、デビューの頃から思ってまして。他人と違う格好をしてやってきましたね」

それが着流しなどの着物にたすき掛けでギターを弾いたりと、人間椅子のスタイルになったわけですね。

「ようやくそれが収斂していったのが、2013年の前ぐらいかな。それまではちょっと迷走もあったんですけどね」

ロックはポップスの一部

和嶋さんは今年2月に自伝『屈折くん』(シンコーミュージック刊)を発表しました。
その風貌から仙人のような境地で、ブレずに活動を続けてきたのかと思いきや、結構大変な日々もあったようです。

「『俺は好きにやってんだ』って気持ちで活動を続けると、それこそ誰も気づいてくれないことになるんじゃないかなあと思います。独りよがりになるんで。自分はそうなりたくなかったし。
実はロックって、ポップスの一ジャンルじゃないですか。大衆芸能の一ジャンルなんですよ。だから人が認めてくれてナンボの表現方法だと思うんで。やっぱり売れたいし、音楽だけで食っていきたいし」

田舎の基本テーマ

話題はニューアルバム『異次元からの咆哮』4曲目の「月夜の鬼踊り」に。東北弁で書かれたこの歌に、小堀勝啓が大きく反応しました。

小堀「これもまた、妙に音とリズムに合うんだなあと思って」

和嶋さん「ここ、我々の得意分野ですよ。これは他の地方の人は作れないんじゃないですかねえ」

小堀「僕、北海道なんですけど、東北と近いものがあるんだなあと思って。『ごんぼほり』とか。駄々をこねるとかいう意味で『おまえら、ごんぼほってるとおっかねえもの来るぞ』みたいに言います」

和嶋さん「ああ、北海道も『ごんぼほり』言うのね」

小堀「だから、これ聴いてて、凄いゾクゾクきましたね」

和嶋さん「田舎の基本テーマとして、ごんぼほってると、怖いのが来るっていうのがあるんですよね。悪いことしてると、必ずなんか報いが来るぞっていうことに繋がるんです」

曲の解説ですが、まるで民俗学の話みたいです。

曲作りは山で

和嶋さんはバイクが好きで、よく山にキャンプツーリングに出掛けるそうです。山に何かインスパイアされるものがあるんでしょうか?

「山というのは自然を相手にするわけじゃないですか。人間はテクノロジーに囲まれてますけど、自然の中の一部であるんだっっていう、まさにアジア的な思想に戻れるんですよね」

全ての存在に神がいる、という気持ちになると語る和嶋さん。

「曲作りで煮詰まって、リフレッシュしたい時に、バイクにちっちゃいギターを積んで、山に行くんですよ。それも誰も来ないようなキャンプ場に行って、一人でそこで曲作りとかしてると降りてきますよ」

本当は山で修行がしたい

キャンプ場って森に囲まれて、何かがいるような気がしますよね。

「確かに霊がいます。ちょっと怖い目にもあったことがあるんですよ。風がテントの周りをグルグル回ってるというのが、この間ありましたね」

和嶋さんにとって、山奥で一人でギターを弾いてると降りてくるのは、釈迦が座禅してると悪魔が来て誘惑したりするエピソードのような、そんなイメージが湧きますね。

「釈迦と言うと話が大きくなってしまいますけど、そんな感じはあります。山の中に一人でいると、ちょっとメディテーションに近いです。修行に近い。本当は1カ月ぐらいいたいんですね。修行したいです。ああいう感じは好きなんです」

大事なことは自分と向き合うこと

「山の中に行くと、向き合うものは自分と自然しかないんですよ。自分と向き合うって、僕は凄い大事なことだと思って。知識を蓄えることも大事ですが、自分がやるべきことって、自分しか教えてくれないですよ」

若い人は、人間椅子を聴いてそういうものを感じて、自分の中の何かが呼び起こされるから、いま人間椅子や和嶋さんが注目されてるんでしょうか?

「楽曲も見た目の第一印象も怖い感じ。なおかつ、ちょっと難しい言葉とか不思議な言葉でやってますけど、根本はそういうことを言わんとしてたりするんですよ」

『異次元からの咆哮~リリース記念ワンマンツアー~』で名古屋に来るのは11月16日、名古屋市中区大須のElectric Lady Landです。
迷える子羊も、何も迷わない人も、魂を解放しにお出かけください。 
(尾関)

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