ドラ魂キング

新型コロナ第7波。救急医療の現場が直面している新たな課題

新型コロナウイルスの新規感染者数が20日、全国で15万人を超え過去最多となりました。

CBCラジオ『ドラ魂キング』、各分野の専門家・エキスパートが世の中の出来事をコンパクトに解説する「エキスパ」のコーナー。

7月21日の放送では、CBC論説室の後藤克幸解説委員が、これまでにないペースで感染者が急増する第7波の特徴と注意点について、最新情報を解説しました。

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感染者数の増加は「異常なペース」

この日、東京だけでも感染者数が3万人を超えました。これも過去最多となる数字です。

第7波の特徴は、急速な感染の広がりにあります。第5波のピーク時(昨年9月)の新規感染者数は1日に2万人、第6波のピーク時(今年2月)には、1日10万人を超えていました。

今回の第7波は、すでに1日15万人を超えています。7月1日~2日の感染者数は、第5波と同じく2万人程度。わずか半月で過去最多の15万人を超えるのは異常なペースといえます。

20日、WHO(世界保健機関)は、世界に広がりをみせるオミクロン株系統のBA.5が「これまでのウイルスのうちで最も感染力が強い」という認識を示しました。

世界中で置き換わりが進んでいるBA.5の感染力の強さは、従来のオミクロン株の1.3倍。日本の研究者からは、新規感染者数のBA.5の割合は7~8割に近づいていて、8月には100%になるという予測が出ています。

感染力が強いため、手洗い、換気、密集を避けるなど、基本的な感染対策の徹底がより一層重要ということです。

重症患者が減った理由

一方で、第7波には重症者数が少ないという特徴もあります。

今後少しずつ増えるとは思いますが、この時点では167人。第5波のピーク時には2,200人、第6波のピーク時には1,500人だったことを考えると、かなり少ない数字です。とはいえ、BA.5の重症化リスクについてはまだわかっていません。

専門家の話によると、日本で感染を経験した人は累計で1000万人を超えています。ある程度の免疫があるため、感染しても重症化しにくい人が増え、波を重ねるごとに重症者が減ってきているという見方もあるそうです。

また、重症化リスクが高い高齢者において、ワクチンを3回接種した人の割合は80%以上と高い数字です。
これも、重症患者が以前よりも減っているひとつの要因とされています。

救急専門医の切実な声

では、医療現場は以前に比べて余裕があるのでしょうか。実は救急医療は新たな課題に直面しています。それは例えば「発熱だけ」で救急車を呼ぶ人、夜間・休日の救急外来に訪れる人が増えているという現状です。

先日、名古屋市内の救急専門医から後藤解説委員に「ぜひ市民の皆さんに周知をしてもらえないでしょうか」と、切実な声が寄せられました。

後藤「発熱のみや軽度の症状の場合には、時間外診療・救急外来・救急車を呼ぶのではなく、できれば解熱剤を用いて水分をしっかりと補給した上で、一晩様子を見ていただいても大丈夫です。
その上で、平日日勤帯の発熱外来や、かかりつけ医を受診することをおすすめします。

このままでは本当に緊急を要する患者さんの救急搬送と、外来での受け入れが遅れてしまい、助けられる患者さんを助けられない事態が起こってしまうことが心配です」

新たな課題への対応が必要

第6波の時のように、人工呼吸器やECMO(エクモ)が足りないという医療ひっ迫はありませんが、救急現場が非常に苦労をしているという第7波らしい新たな課題が浮かび上がっています。

医療現場と行政だけではなく、私たち市民の意識改革も含めた社会全体での新たな課題への対応、取り組みが必要になってきているということです。

救急車を呼ぶのは、呼吸困難や意識混濁などの緊急事態のみ。「冷静に自分の容体を見つめながら対応することが必要」とまとめた後藤解説委員でした。
(minto)
 
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2022年07月21日17時08分~抜粋

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