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芥川賞・直木賞発表 意外と知らない賞の違い

7月20日、第167回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表されました。

芥川賞・直木賞といえば日本を代表する文学賞で、普段はあまり本を読まないという方も、この受賞作なら読んでみようかなと思わせるぐらい有名な賞です。

『ドラ魂キング』の火曜日は、これから1週間先まで予定されているニュースに対し、CBC論説室の委員が解説していますが、7月19日の放送では、石塚元章特別解説委員が直木賞と芥川賞について取り上げました。

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ほとんど女性がノミネート

今回の注目ポイントは、ノミネートされた作家に女性が非常に多いということ。

芥川賞はノミネートされた6作品の作者は全員女性で、80年以上続く芥川賞の長い歴史の中で初めてです。

また、直木賞にノミネートされた5作品中、4作品の作者が女性ですが、こちらは2019年には候補者全員が女性ということがありました。

石塚があらためてこれまでの受賞者を調べたところ、芥川賞を受賞した172名中女性は53名と3割強。

ただ、直近10年間に限っていえば、男性が12名で女性が14名と、女性が賞を獲る傾向にあるようです。

石塚は「読者の求めるものとか、作家の描きたいものとか、どっちもちょっと変わってきてるのかなということかもしれないですね」と語ります。

意外と知らない賞の違い

芥川賞と直木賞は同じ日に発表され、並べて報じられるので、意外と同じような賞と思われがちですが、選考される作品のカラーに違いがあります。

芥川賞は文芸雑誌などですでに掲載された短編・長編の純文学が対象となり、わりと新人の作家が獲るケースが多い賞でもあります。

一方、直木賞は純文学というよりも大衆向け小説、エンターテインメント寄りの小説で、すでに単行本になって本屋に並んでいる場合もあり、中堅・ベテランの作家が獲ることが多い賞です。

お笑いで例えると、結成15年以内のコンビが出場する『M-1グランプリ』と、ベテランのコンビが賞を獲る『上方漫才大賞』ぐらいの違いでしょうか。

直木三十五はペンネーム

芥川賞と直木賞はそれぞれ異なる賞ですが、なぜ同日に発表されているのでしょう。

ジャーナリストであり劇作家で、『文藝春秋』を作った菊池寛が1935年(昭和10年)にこの賞を始めたのですが、「純文学と大衆文学のどちらも大事」ということで、同日に発表したそうです。

そして年に2回、1月と7月に発表されていますが、この時期にも秘密があるそうです。

一説によると、菊池寛はアイデアマンで「2月と8月は本が売れないから、直前に賞を発表すると売れる」と考え、この時期の発表としたそうです。

芥川賞と直木賞という名前ですが、それぞれ作家の名字を取っていることは有名です。

芥川賞は言わずと知れた芥川龍之介で、直木賞は直木三十五。

この直木三十五というのはペンネームで、本名は植村さんで「植」の字をバラして「直木」、下の名前は実は31歳の時に三十一と付けて、翌年は三十二、次は三十三としていましたが、三十五の時に菊池から「いい加減にしとけ」と言われて、三十五でストップしたそうです(由来には諸説あります)。

今年はどのような作品が受賞するのか、楽しみですね。
(岡本)
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2022年07月19日17時12分~抜粋

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