ドラ魂キング

止まぬ五輪選手への誹謗中傷…SNSの悪質な書き込みにIOCの対策は?

現在、東京2020オリンピックが開催中で、連日アスリートの活躍が報じられていますが、一方で五輪出場選手個人に対し、SNSを使った誹謗中傷が問題となっており、背景には採点を巡る不満があるようです。

後世に東京五輪について語られる際、コロナ禍とSNSでの誹謗中傷のイメージが付いているかもしれません。

8月4日放送『ドラ魂キング』では、東京五輪に影を落とすSNS問題について、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が説明しました。

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SNSの攻撃が選手個人に

選手への誹謗中傷に対し、日本の選手で初めに声をあげたのが、卓球男子の水谷隼選手。

混合ダブルスで中国に勝利し、金メダルを獲得した際には厳しいメッセージが殺到し、その後も体操の橋本大輝選手や村上茉愛選手、サーフィンの五十嵐カノア選手などに批判が殺到しているとのことです。

特に体操やサーフィンは、人間の採点によって勝負が決まる競技ですので、その採点に対する不満が原因と見られています。

また、開催前には水泳の池江璃花子選手に対し、出場を辞退するように迫るメッセージが送られるなど、開催の是非が選手個人に向けられてしまう事態となっていました。

これは国内からのメッセージだけではなく、今やスマホで簡単に日本語に翻訳したメッセージが送られるため、外国からもSNSを通じてやってきていました。

そうすると、選手はメンタルに悪影響を与えないよう、SNSを見ないようにする防衛策を取らなければなりません。

しかし、今や選手が自らSNSで情報を発信する時代であるだけではなく、IOCも五輪を盛り上げて欲しいという考えから、選手に対しSNSの活用を促しています。

ファンにとっては選手を身近な存在に感じられるメリットがありますが、選手が批判の声に直接さらされるというデメリットがあり、 SNSは諸刃の剣といえるでしょう。
 

法律による対策はまだ先

SNSの誹謗中傷は一般社会でも問題となっていて、人の生命をも脅かす事態となっています。

日本では今年、改正プロバイダー責任制限法が閣議決定。

インターネットで誹謗中傷の書き込みを行なった投稿者を特定しやすくする法律が成立しましたが、これにより「自分が特定されるなら、人を攻撃するような書き込みは止めよう」という抑止力になるかもしれません。

ただ、施行は来年秋頃といわれていて、まだ実効性を持つのは先という状況。

現在の五輪出場選手に対する保護については、IOCは「悪質な書き込みの監視を強める」と表明し、選手向けに24時間体制で相談窓口を儲けてはいるものの、実効性は少なそうです。
 

SNSへの対策はどうする?

SNSでは誹謗中傷よりも圧倒的に祝福のメッセージの方が多いとは思われますが、宮部和裕アナウンサーは、「2通あると本人にはダメージだと思う。1通だったら変わった人かなと思うんですけど、複数来ると『本当にそうなんじゃないか』って、恐怖感を感じちゃうんでしょうね」とコメント。

北辻「誹謗中傷を選手個人に背負わせるのは重すぎますよね。

例えば、IOCが悪質な発信者を速やかに情報をもらうルールを作るとか、やっぱりスポーツ界も本腰を入れて対策しないといけないステージですね」

今後も大型のスポーツイベントは続きますし、SNSによる誹謗中傷は全世界からやってくるものですので、対策は世界規模で行う必要がありそうです。
(岡本)
 
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2021年08月04日16時44分~抜粋

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